参考文献・URL
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この記事ではJカーブ効果についてわかりやすく解説していきます。
ちなみにJカーブ効果には経済学で使われる場合もあればアルコールで使われることもあります。
が、当ブログは中小企業診断士試験専門です。
なので、この記事でのJカーブ効果は経済学的な解説になります。
アルコールとJカーブ効果については別のサイトをご覧ください。
Jカーブ効果についてわかりやすく説明します
![jカーブ効果 わかりやすく](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
経済学で登場するJカーブ効果とは為替レートが変動した時に
長期的にみた変化と短期的にみた変化が逆になることをいいます。
長期的にみた変化が想定される変化なので
短期的にみた変化は想定外の変化になります。
ここでの為替レートはわかりやすくするためにドルと円にします。
たとえばドル高円安になったとします。
ややこしい話なのでここではそういうものだと思って欲しいのですが
円安になると物価は上がり、円高になると物価は下がります。
これはお金の価値と物の価値は相反すると思ってください。
だから円の価値が下がる円安になったら物価が上がるということです。
で、円安というのは
1ドル100円だったのが、たとえば1ドル120円といった感じで
ドルが一定なら円の数字が上がる状態を指します。
でもアメリカ的には1ドルは1ドルなので
日本からすると、アメリカに輸出して商品を売ったほうが
円に変えたら儲かるわけです。
だから円安になったら輸出が盛んになります。
貿易黒字とは輸出から輸入を引いて、プラスの状態です。
そんなこともあって、今の日本の安倍政権では円安にして輸出量を増やし
貿易黒字にしてGDPを上げようとしているんですね。
それはさておき、理屈上は上記のように円安になったら
長期的に見たら輸出が増えて貿易黒字になるはずです。
ただ、短期的にみたら貿易赤字が大きくなったりします。
とはいえ、長期的にみたら少しずつ貿易赤字から貿易黒字になります。
こんな感じで徐々に変化していくのが
グラフで見たらJのゆるやかなカーブに似ているためJカーブ効果と言います。
逆に円高になったら長期的には貿易赤字になりますが
短期的には貿易黒字です。
なぜJカーブ効果が起こる?
![jカーブ効果 わかりやすく](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
どうしてJカーブ効果が起こるのでしょう?
たとえば円安になったとします。
すると、長期的に見たら輸出量が増えるはずです。
ただ、考えてみてください。
3月2日に1ドル100円だったとして、3月3日に1ドル120円と円安になったからといって
その日から輸入をやめて輸出ビジネスを始めることができるでしょうか?
無理ですね。
たとえばアメリカの取引先企業に
「今日から、御社から輸入をやめます。円安になったんで」
とか、非情なことできません。
やはり輸入する契約を解除するのに時間がかかるでしょう。
相手先企業だって、生活がかかってますし。
また日本の企業だって、円安になったからといって
海外から輸入して商品を作ったり日本のスーパーに卸していたのを
その日から日本国内の会社から仕入れるなんてできません。
日本国内の取引先を探したり
いろいろやることがあります。
こんな感じで、円安になったり円高になったからといって
一瞬で、輸入をやめて輸出を開始したりできないから
Jカーブ効果のような動きになるわけです。
Jカーブ効果を過去問を使ってわかりやすく解説
![jカーブ効果 わかりやすく](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
Jカーブ効果についてさらに理解を深めるために
中小企業診断士試験の過去問題を実際に解いてみましょう。
中小企業診断士1次試験経済学・経済政策平成19年第4問設問3より
経常収支に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ
(一部抜粋)c Jカーブ効果が発生しない場合、為替レートの増価は経常収支を改善させる。
d Jカーブ効果が発生する場合、経常収支は為替レートの減価によって一時的に改善するが、時間の経過ととも悪化する。以上
まずcの肢から。
Jカーブ効果とは別の言い方をすると為替レートの変化があっても
貿易自体に変化が起こるのにタイムラグがあるということです。
タイムラグは時間のズレのことです。
Jカーブ効果が発生しない場合ということは為替レートに変化があっても
タイムラグが生じないってことですね。
で、cの肢では為替レートの増価とあります。
増価とは円高ドル安のことです。
円高になったら輸入したほうが得なので
タイムラグが生じず、輸入量が増えるわけです。
貿易収支は輸出が輸入より多いと貿易黒字、
輸入の輸出より多いと貿易赤字です。
cの肢では増価(円高)なので輸入が増え貿易赤字になりますから
経常収支は悪化します。
したがってcの肢は誤りとなります。
次にdの肢にいきましょう。
今度はJカーブ効果が発生する場合ですね。
なので為替レートが変わったら貿易収支にタイムラグが生じます。
それから、dの肢では減価です。
減価は円安・ドル高のことです。
円安だと輸出したほうが得ですから輸出量が増えます。
輸出量が増えると貿易黒字になりやすいです。
でもJカーブ効果が生じているので、最初は輸出が増えず
貿易収支は最初は悪いけど、少しずつ改善してくるという感じです。
dの肢では『経常収支は為替レートの減価によって一時的に改善するが、時間の経過ととも悪化する。』となっているので、誤りですね。
以上でJカーブ効果についての解説を終わります。