アリストテレスの「人間はポリス的動物である」の本当の意味とは？

アリストテレスについては以前、詳しく解説したことがあります。

アリストテレスには「人間はポリス的動物である」とか
「人間は政治的動物である」とか「人間は社会的動物である」という名言が残っています。

「人間はポリス的動物である」とはどういう意味なのでしょうか？
以下、詳しく解説したいと思います。

アリストテレスの「人間はポリス的動物である」とは？

アリストテレスの「人間はポリス的動物である」とはどういう意味なのでしょう？

という意味です。

人間には国家が必要だとアリストテレスはいいました。
国家は人間にとってなくてはならない存在だという意味です。
そのため国家共同体の中で人は生きていくわけです。

なぜ国家共同体の中で人間は生きていくのでしょう？
人間には言語能力があるからです。
言語能力というのは他の人と会話するためにありますよね。
つまり、『複数でいる』ということが条件になります。

そういう意味で人間は国家（複数人の集まり）を必要とする動物であると
アリストテレスは考えました。

例えば、お腹がすいたら
「お母さん、お腹がすいたよ」って言葉で
相手に伝えることができますよね。

「君のことが好きなんだ。結婚してよ」とか。

そうやって言葉で相手に伝えることができますし
伝えられた相手も言葉で言い返すことができます。

そうやって人間は言葉のキャッチボールを通じて
生活しているわけです。

そして言葉のキャッチボールを通じて意思の疎通を図れるのは
言語能力が人間にあるからです。

そんな言語能力がある人間が複数集まって国家ができているわけだから
『人間はポリス的動物である』とアリストテレスは考えました。

ところでこちらの図をご覧ください。

家族が中心にいて、
家族を取り巻く村があって、
村を超えて国があるわけです。

今の日本だって、家族がいて市町村があって、都道府県があって日本という国がありますよね。
それと同じです。

で、上記図のように国というのが重要だとアリストテレスは考えました。
国が最高の共同体だとアリストテレスは考えました。

国は家族、村を含んでいるから最高の共同体だというわけです。
どうして国は最高の共同体なのでしょう？
最高善の実現にとって重要だからです。

最高善とは公共の福祉のことです。

あと国は人の在り方を規定するとアリストテレスは考えました。
人の生き方を規定するとはどういうことでしょう？
どのように生きていくのが一番よいか？ということです。

たとえばあなたが就職活動をするということで
会社の説明会に行くというときに相手先の会社から「服装は自由でOKですよ」
って言われたとしましょう。

あなたは本当にスニーカーにポロシャツ、ジーパン姿で会社の説明会に行くでしょうか？
おそらくそんなラフな格好では行かないと思います。

みんな同じようにリクルートスーツなどを着て
就職活動をするでしょう。
しかもスーツの色はたいてい紺か黒です。

でも、あなたは「リクルートスーツは紺か黒じゃないといけないよ」
って誰かから言われましたか？
少なくともその会社の説明会では「自由な服装でいいですよ」ってなっていた場合の話ですからね。

でも、多くの学生は黒や紺のスーツを着て就職活動をします。
どうしてか？それがふさわしい格好だと思っているからです。

日本という国における就職活動の中では
紺や黒のスーツというのがふさわしい格好だと思っているから、
自然とみんな似たような格好になるわけですね。

他にも就職活動時にみんな髪の毛は黒ですよね。
どうして金髪とか茶髪の人がいないのでしょう？
染めていってもいいじゃないですか。

でも、日本の社会や共同体では『黒がふさわしい』という風潮があるから
あえて危険を冒してまで、就職試験に落ちる可能性を高くしてまで
茶髪で就職活動はしないわけです。

そういうふさわしさを決める要素は国家にあるということです。

つまり人の在り方とかふさわしさを決めるのは国家、共同体だということです。

以上でアリストテレスの「人間とはポリス的動物である」の意味についての解説を終わります。

という意味です。