※アフィリエイト広告を利用しています

1次試験

国民所得とは?わかりやすく解説

国民所得 わかりやすく




参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編

分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]

今回の記事では国民所得とは何なのか、
わかりやすく解説していきます。

スポンサードリンク




国民所得についてわかりやすく説明します

国民所得とは?

まず国民所得を『国民』+『所得』というように
国民と所得を分けて考えましょう。
その方が分かりやすいと思います。

ではまず『所得』という言葉から。
これはこの記事を読んでいるあなたにとっても身近な言葉だと思います。

あなたは所得と聞いて何を想像しますか?
お給料でしょうか。

財布


たとえば、『僕の所得』といえば、
それは自分のお財布の中身のことを指します。

次に『国民』。
国民とは『みんな全員』という意味になります。
つまり国民所得とは『みんな全員』の『お財布の中身』をあわせたもののことです。
だから日本の国民所得だったら、
日本人全員のお財布の中身をあわせたものだってことになりますね。

こんな計算はしないですけど、
半分冗談で家族の国民所得だったら
家族みんなの財布の中身をあわせたものだと考えても問題ないでしょう。
ただ、家族の国民所得って違和感だらけの言葉ですけどね(苦笑)。

ここではわかりやすく国民所得について解説しているので
普段は使わないような『家族の国民所得』みたいな表現だってなんだってやらせていただきますよ。

国民所得で何がわかるの?

ではみんな全員のお財布の中身(=国民所得)をあわせると
何がわかるのでしょう?
1年間の国の豊かさがわかります。

1年間という期間を区切った時に
お財布の中からどれくらいお金を取り出すことができたのか?
あるいはお財布の中にどれくらいお金が入ってきたのか
これがわかれば、みんなの生活の豊かさを把握することができるはずです。
これこそが国民所得です。

では国民所得ってどんなふうに計算するのでしょう?
あるいはどんな風に国民所得が生み出されるのでしょう?

国民所得ってどうやって計算しているの?

いきなり国全体の国民所得を計算するのは計算が難しくなります。
この記事ではとにかくわかりやすく国民所得について解説したいので
まずは1つの企業で考えていくことにしますね。

タコ焼き屋

では1つの企業が所得を生み出す過程についてみていきましょう。
どんな企業でも大丈夫です。
でも、想像しやすくするために
ここではたこ焼き屋さんを例に考えてみることにしますね。
とてもおいしいタコ焼き屋さんがあります。

あなたはタコ焼き屋さんで働いているとしましょう。
あなたが一生懸命、タコ焼きを焼いて
お客さんに販売します。

タコ焼き


そしてできあがったたこ焼きをお客さんに渡します。
料金は一皿100円としましょう。
この記事を書いているのは令和4年です。
そんな安いタコ焼きはありませんけどね。
ただわかりやすくするために、ここではたこ焼きは一皿100円とさせていただきますね。

タコ焼きを受け取ったお客さんはあなたに100円を渡しました。
この100円は国民所得でいうところの所得に入るでしょうか?

答えは『NO』です。

タコ焼きを売ってお客さんから100円をもらったとき
その100円のことを『売上(うりあげ)』(正式名称は売上げ額(うりあげがく)』といって所得には該当しません

この売上げ額から仕入れ額(しいれがく)を引かないと所得に該当しません。

つまり、

企業の場合

売上げ額ー仕入れ額=所得

ということです。

タコ焼きを売って100円もらっても
その100円全部、お店の儲けになるわけではありません。
タコ焼きを作るためにはタコを仕入れたり、
タコ焼きを入れるプラスティックの容器を仕入れたり、
爪楊枝を仕入れたりしないといけません。

たとえば、一皿100円のタコ焼きを売るために
タコやら爪楊枝やらプラスティックの皿などで合計40円かかったとしましょう。
だとすると、一皿100円のタコ焼きを売るためには40円の仕入れがあるから
差し引きでいうと60円残りますね。

40円で仕入れたものを100円で売っているから
差し引き60円が手元に残ります。
この60円がタコ焼き屋さんの財布に残るわけです

ということで売上げ額から仕入れ額を引いたものが所得になります。
ただこの記事では所得という言葉をあえて使わず、
付加価値(ふかかち)』という専門用語で説明していきますね。

つまり、

企業(タコ焼き屋)の場合、
売上げ額ー仕入れ額=付加価値(所得)

ということです。

付加価値ってすごく違和感のある言葉に聞こえませんか?
だって付加は『付け加わった』って意味です。
だから付加価値は付け加わった価値という意味になりますからね。
タコ焼きの何が付け加わったんだよって感じじゃないですか。

まぁ、そんな話はさておき

経済学において付加価値とは

生産活動による新たな価値のこと

です。

この付加価値は経済学用語です。
なので、日常会話で使う付加価値とはちょっと意味合いが違うかもしれません。
どうして経済学では付加価値という用語を使うのでしょう?
それは付加価値という用語を使った方が国民所得の説明が理解しやすくなるからです。

今、例を挙げているたこ焼き。
一皿40円でタコとかプラスティックの皿を仕入れました。
仕入れたもので一生懸命焼いてお客さんの前に出すと
お客さんは喜んで100円払ってくれます。

なぜ、もともと40円の価値しかなかったものなのに
お客さんは100円支払ってくれたのでしょう?
不思議じゃないですか?
40円の価値しかないものが
あなたがタコ焼きを作ると100円に化けてしまうのですからね。

あなたがタコ焼きを焼いて作るという生産活動によって
60円分の新しい価値を付け加えたからです。
60円分が付加価値です。

だからお客さんは40円というもともとの仕入れに
60円を付け加えた100円を支払ったということです。

くどいようですが、

経済学において付加価値とは

生産活動による新たな価値のこと

ですからね。

という感じで
経済学においてはタコ焼きを作るなどの
生産活動によって生み出されたものを所得(付加価値)と考えます。

これが経済学における所得です。

というわけで一企業においてどうやって所得を生み出すか?
生産活動によって新たな価値を生み出す、つまり付加価値によって
所得を発生させているということです。

ここまでは一企業レベルで解説しました。

では一国全体に拡大して考えていきましょう。
一国全体には一企業ではなく、星の数位企業が存在していますよね。
それぞれの企業が様々な生産活動をしているわけです。

たとえば、TOYOTAだって車を生産していますし
ガラスの会社だって、ガラスを生産しています。
結果、車の売上やガラスの売上などがあるわけですね。

で、一国全体での売上げのことを総生産額といいます。
この総生産額は一国全体の売上を意味します。

では総生産額=国民所得でしょうか?
違います。

これは先ほどの一企業の話で考えるとわかりますね。
タコ焼き一皿を100円で売っても、
その100円は所得にはなりませんでしたよね。
100円から仕入れの40円を引いた60円が所得でした。

つまり、一国全体の売上に相当する総生産額から
一国全体の仕入れ額に相当するものを引かないと国民所得になりません。
一国全体の仕入れに相当するものを『中間生産額(ちゅうかんせいさんがく)』といいます。

では総生産額から中間生産額を引くとどうなるのでしょう?
一国全体での付加価値が残り、『付加価値総額(ふかかちそうがく)』といいます。

総生産額ー中間生産額=付加価値総額(国民所得)

です。

付加価値総額というのはみんなの財布に入る所得を合計したものです。
つまり、これこそが国民所得
です。

ただ、100年分の国民所得とか3年分の国民所得みたいな話ってないですよね。
国民所得というのは1年間で考えます。

なので、1年間の間にどれくらい生産活動が行われたのか?
これを計算することによって国民全体のお財布の中身(豊かさのこと)がわかるわけです。

スポンサードリンク




国民所得に対する批判

国民所得に対する批判というものもあります。
よくなされる批判としては
『本当の意味での豊かさというものを反映していないのではないか?』です。

前回の記事で家事労働を国民所得の計算に含めないと解説しました。

極端な話、家族全員が家の掃除をしないとしましょう。
となったら庭は草がボーボーで荒れ放題。
風呂もカビだらけ、トイレは黄ばみがひどすぎて悪臭が漂っているような
だれも住みたくないような家になっているとします。

でも、旦那さんは証券会社の執行役員、奥さんは公認会計士としてバリバリ活躍、
息子は外科医としてバリバリ働いて稼いでいるとします。
国民所得計算上ではとても豊かな生活に該当します。
家事労働を含めていないからです。

でも、家だけ見たら、本当に豊かなのか?
といったら正直微妙ですよね。

環境破壊

あと、地球温暖化などの環境破壊という問題。
環境破壊は豊かさという面ではマイナスですよね。
でも、いったいいくらのマイナスなのでしょうか?

地球温暖化によって1年間、いくらのマイナスが発生したのか、
計算することはできません。
だから、環境破壊を国民所得の計算に含めることができません。

地球温暖化が進みまくり、
家の中は荒れ放題だけど豊か、みたいなことが起こり得てしまうわけです。
これが国民所得に従来からまつわる批判の一つです。

スポンサードリンク




国民所得に対する批判に対抗する指標とは?

こういった国民所得の批判にこたえるために
たとえばNNW(国民純福祉)という指標があります。
たとえば家事労働をプラスに加えたり、環境破壊をマイナスにしたりという感じで
調整したりして、本当の豊かさを計算しようとする指標です。
凄く理想的で素晴らしい指標ですよね。
そんな指標があるのなら国民所得なんて、
可及的速やかに排除してNNW(国民純福祉)一本にしたほうがよいのではないでしょうか。

でも、国民純福祉(NNW)は実用には至っていません
なぜなら、家事労働であったり環境破壊を数字で表すのが難しいからです。

スポンサードリンク




国民所得とは?わかりやすく解説まとめ

ということで国民所得とは何?って聞かれたら
付加価値総額のことだと答えます。

総生産額ー中間生産額=付加価値総額(国民所得)

ですね。

ただし国民所得とは何か?と中小企業診断士試験や公務員試験で聞かれたら
解答の仕方は2つあることにご注意ください。

なぜなら、

総生産額ー中間生産額=付加価値総額(国民所得)

と、左辺の『総生産額ー中間生産額』と右辺の『付加価値総額(国民所得)』は
同じことを指しています。

言いたいのは

・国民所得とは付加価値総額である
・国民所得とは総生産額から中間生産額を引いたものである

と2つの表現ができるということです。

だから国民所得とは何ですか?
って問題が出たら
『国民所得とは付加価値総額である』と答えてもOKですし、
『国民所得とは総生産額から中間生産額を引いたものである』と答えてもOKだということです。
こんな感じで国民所得とは何か?と聞かれたら2通りの答え方があるということも
知っておきましょう。

では理解できたかどうか?問題出しますよ。

問題

国民所得とは総生産額のことである。
〇か×か?

答えは×ですね。
国民所得とは総生産額から中間生産額を引いたものですからね。

ということで真の豊かさを反映しているかどうかは別として
国民所得という概念は国際間比較などもしやすいことから、
今現在、経済学や政治学などでも豊かさをはかる一つの尺度になっています。