「多国籍企業って、いろんなタイプがあるらしいよ」
経営の授業やビジネス書で、
そんな言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。
たとえば「インターナショナル型」とか
「グローバル型」「マルチナショナル型」…っていう分類。
でも、正直こう思いません?
「名前だけ聞いてもピンとこない」
「ていうか全部海外にも会社があるってことじゃないの?」
実はこれ、バートレット&ゴシャールっていう
学者コンビが提唱した、有名な理論なんです。
この記事では、その「4つの型」を
GEやユニリーバなどの具体例と一緒に、
やさしく解説していきます!
目次
バートレット&ゴシャールが示した「多国籍企業の4分類」とは?
さてさて、ここからが本題。
バートレット&ゴシャールが出した4つの型、
いよいよご紹介です!
(1)インターナショナル型
トップバッターは、
「インターナショナル型」の多国籍企業からいきましょう。
これはアメリカ企業に多いタイプの多国籍企業で、
彼らの本の中ではGEやP&Gなんかが例に挙がってます。
この型のポイントは──
大事なノウハウはぜんぶ本社にギュッと集めておいて、
「それじゃ現地の子会社さん、これ使ってやってね〜」
って感じで配っていくスタイル。
つまり、本社のやり方を
そのまま現地で活かす、そんなイメージです。

たとえるなら、
本部が作った合格必勝ノートを全国の予備校に配って、
「この通りに教えてください!」ってやる感じ。
現場の講師は自分のやり方より、まず本部のメソッドを使う。
教室は違っても、カリキュラムはほぼ一緒。
──これがインターナショナル型の多国籍企業です。
インターナショナル型の2つの強みとは?
このタイプには、強みが2つあります。
1つ目は、世界中の拠点同士が
ノウハウをシェアできること。
たとえば、フランス支社で
「このやり方、めっちゃ売上伸びたぞ!」
という方法があれば、
それをブラジル支社でもサクッと真似できる。
つまり、どこかの成功体験が、
他の国の成功にもつながりやすいってわけです。
2つ目は、本社の知識や成功パターンが、
そのまま他国でも通用すること。
本社が作り上げた売れる仕組みを、
そのまま輸出して活かせるから、
スピード感があるしムダが少ない。
イメージとしては、
実績のある参考書を全国の受験生が使って、
「このやり方で合格できたよ!」って
解法テクニックをみんなで共有してる感じ。
それぞれ別の予備校に通ってても、
同じノウハウが使えるから、
みんな効率よく勉強できるし、
下手な独自路線より結果が出やすい。
──そんな仕組みが、
インターナショナル型の
多国籍企業では回っているんです。
(2)マルチナショナル型
続いて、「マルチナショナル型」の多国籍企業。
これはヨーロッパ企業に多いタイプの多国籍企業で、
たとえばユニリーバやフィリップスがその代表です。
この型の特徴はというと──
もう、とにかく自由!
現地の子会社がそれぞれ、
「うちはうちのやり方でいきますんで」ってスタンスで、
めちゃくちゃ自立してます。
そのぶん、現地のニーズへの対応力がものすごいんです。
「その土地に合わせて動ける力」が、
この型のいちばんの強み。
たとえばユニリーバなら、
同じLUXの石けんでも、タイでは「マンゴー&ハニー」
みたいな南国系の香りを出していたり、
日本ではローズ系の華やかな香りにしたりと、
国によって中身がガラッと変わります。
パッケージの色やデザインも
その国向けにローカライズされていて、
広告の打ち出し方まで、
現地の文化に合わせて細かく調整してくるんです。
こうやって、マーケットごとに
まったく違う顔を見せてくる企業──
それ、たぶんこの型です。
(3)グローバル型
で、最後に登場するのが「グローバル型」の多国籍企業。
これは日本企業に多いタイプの多国籍企業で、
たとえば松下電器とか花王なんかが例として出てきます。
この型のスタイルは、けっこうシンプル。
ノウハウもリソースも本社に集めて、
それを世界中に一気に展開する!って感じです。
海外の子会社はどう動くかというと…
基本的には「本社の指示どおり動く」だけ。
つまり、実行部隊です。
インターナショナル型とちょっと似てるけど、
大きな違いが1つ。
こっちは、拠点同士で学び合ったりする機会がほぼゼロ。
もう、「本社が決めた通りに動いてね!」
っていう、命令一方通行型です。
でもね、それだけに強みもあります。
それが、「グローバルの効率性の追求」。
たとえば──
世界中で同じ製品を、同じ仕様で、同じ流れで作って、
同じデザインで売る。
パッケージも広告もぜんぶ一緒。
だから、生産ラインも広告素材も、
一括で作ってコストを抑えられるんです。
イメージとしては、
全国模試のマークシートを全員が同じ時間、
同じフォーマットで受けるみたいな感じ。
「東京の会場だけ記述式、札幌は面接」
なんてバラバラだと、
運営も集計もめちゃくちゃ手間かかりますよね?
でもルールを全国一律にしちゃえば、
印刷も管理も一発で済むし、
コストもミスもぐっと減らせる。
──これが「グローバル型」の効率の強さなんです。
インターナショナル型 vs グローバル型の違い
インターナショナル型とグローバル型、
どちらも「本社主導」で動く多国籍企業ですが、
実は中身がけっこう違います。
インターナショナル型は、
本社が持っているノウハウを各国に展開しつつ、
現地での応用や工夫はアリ。
拠点同士が情報を共有する文化もあります。
一方、グローバル型は本社が
ガッチリ全部を決めてしまう中央集権型。
各国の拠点は「言われた通りに動くだけ」で、
横の連携もなし。
ざっくり言えば、
インターナショナル型は「型を配る」
グローバル型は「型にハメる」
──そんな違いです。
(4)トランスナショナル型
で、ここまで3つ紹介してきましたが──
バートレット&ゴシャールは、
「この3つだけじゃ足りないでしょ」って言うんです。
むしろ、
✔ グローバル統合も大事
✔ 現地ニーズにも応える
✔ 各拠点が学び合えるようにもする
この3つのいいとこ取りを目指した理想形。
それを、彼らは「トランスナショナル型」と呼びました。
…名前はちょっとカッコよすぎるけど、
言ってることはかなり本質です。
バートレット&ゴシャールの理論をサクッと理解!まとめ
というわけで、今回は
バートレット&ゴシャールが提唱した
「多国籍企業の4つの型」をざっくり解説してみました。
・「本社中心で効率重視」なインターナショナル型/グローバル型
・「現地主義で自由奔放」なマルチナショナル型
・それらのいいとこ取りを狙ったトランスナショナル型
──それぞれに強みと戦い方があるって、
ちょっと面白くないですか?
たぶん、あなたが働いている会社も、
どこかの型に近いはずです。
気になったら、
ぜひ周りの人とも話してみてください。
「うちってどの型っぽい?」
「理想の型って、これだよね?」
そんな会話から、
仕事の見え方がちょっと変わるかもしれません。