前回の記事では
実際に購入した単価などをベースにして
先入先出法や平均法で材料費を計算しました。
⇒材料費の計算方法についてわかりやすく解説
つまり実際単価を使っていたんですね。
これに対して予定単価を使うという方法があります。
では予定単価を使うのはなぜなのでしょう?
予定単価を使うメリットについて解説するために、
逆に実際単価を利用するデメリットについて解説します。
実際単価を使うデメリット
たとえば車を製造するとします。
そこで材料を購入したのですが
まったく同じ材料なのに、片方は単価が@20円
もう片方は単価が@30円だったとしましょう。
材料を仕入れた日が違ったり、
仕入れる会社が違うと
こんな感じで同じ材料でも仕入単価が違うことがあります。
これでできあがった車の原価を計算するために
単価が@20円や@30円を利用したとするなら、
実際単価を使ったといえます。
ただ、同じ材料で同じ製品を作ったのに原価が違うわけです。
これって変な話ですね。
これが実際単価を利用するデメリットです。
では、「平均単価を使えばいいんじゃないの?」
と思った方もいるでしょう。
平均単価なら同じ材料であれば
単価が違うということはなくなります。
ですが、平均単価にもデメリットがあります。
平均単価を使うと計算が遅くなるんです。
月末にならないと平均単価がわからないからです。
なぜなら、いくら@20円と@30円の材料を使うとわかっていても
@20円の材料を何㎏使い、@30円の材料を何㎏使ったか
わからないと平均単価を算出できませんから。
平均単価の計算はすべての材料の仕入れが終わっていないとできません。
ということは月末にならないと原価計算ができないってことです。
これもデメリットです。
つまり
予定単価を使わずに実際単価を使おうとすると
・いつ仕入れた材料かによって原価が変動する
・計算が遅れる(遅くなる)
という2つのデメリットがあります。
では次に予定単価のメリットについて考えてみましょう。
予定単価を使うメリット
ここまで実際単価を使うことによるデメリットについて
解説してきました。
ではこれから製品を作る期首だとして
「まだ材料を使っていないけど、
材料の単価を@20円にして計算しよう」とあらかじめ決めたらどうでしょう?
これを予定単価といいます。
こうすることで材料を消費したら
すぐに原価計算ができるので計算が早くなりますね。
これがメリットです。
それから同じ材料でも実際は単価が@15円と@25円と
単価が違う材料を使っていたとしましょう。
そんな場合でも予定単価@20円を使うことで
どちらも@20円で計算することができます。
そうしたら、同じ製品なのに原価が違うという
変な現象が起きません。
これも予定単価を使うメリットです。
予定単価とは?
ではそもそも予定単価とはどういう単価のことでしょう?
予定単価とは主に計算を早くすることを目的に使われる単価のことです。
別の言い方をすると予定単価とはあらかじめ決めておいた消費単価のことです。
予定単価は別名、予定消費単価とか予定消費価格といったりします。
ところで
簿記2級の工業簿記や中小企業診断士試験の財務会計では
たいてい予定単価は問題文中で与えられていることが多いです。
なので予定単価の算出方法を勉強する必要性は低いと思います。
まぁ、公認会計士試験を受験するなら
予定単価を算出できないといけないでしょうけどね。
以上で予定単価についての解説を終わります。