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どうやったら費用を最小化できるか?
考えていきましょう。
そのために等費用線が必要になります。
今回の記事では等費用線とはどういう線なのか?
解説していきたいと思います。
等費用線とは?
等費用線は等しい費用の線ということです。
費用は英語でTotal Costというので、経済学ではTC(総費用)と略したりします。
なので等費用線は以下のような式になります。
たとえば、賃金w=1時間900円、労働時間(労働の投入量)L=8時間としましょう。
それからKは資本(の投入量)で元々はお金のことです。
ここではK=900万円として、銀行から900万円融資を受けたとしましょう。
で、銀行から融資を受けたから利息を支払わないといけないので
銀行に支払う利子率r=1%としましょう。
この場合、
TC=900円×8時間+1%×900万円=7200円+9万円=97200円
となりますね。
上の式の意味はTC(総費用)はまず人件費は8時間労働で時給900円なので7200円ですね。
それから銀行からの融資ですが、900万円のうちの1%を支払わないといけないので9万円となります。
つまり、7200円は従業員に支払うお金で9万円は銀行に払う利子で
どちらもコストなので、どちらもまとめてTC(トータルコスト、総費用)97200円となります。
また、以上の計算を公式にすると
となるわけですね。
この等費用線を以前解説した等量曲線のグラフに
重ねていきましょう。
⇒技術的限界代替率の求め方(公式を使って)
労働L、資本Kの平面の中に等費用線を加えていくってことです。
TC=wL+rKをLとKの平面に移し替えたいので、
この式を縦軸をKにとっている関係で
K=の式に変形する必要があります。
TC=wL+rKをK=から始まる式に変形すると
となりますね。
変形してできた式は中学1年生のとこにやった一次関数と同じです。
y=ax+b
みたいな関数ですね。
yがKでaxのaが-w/rでxがL、bがTC/r
と一致します。
なので、-w/rは傾きで、TC/rは縦軸切片となります。
グラフにするとこんな感じです。
等費用線の式は
です。
傾きが(-w/r)とマイナスなので等費用線は右下がりの線になります。
縦軸の切片はTC/rです。
横軸の切片はK=0を代入するとわかります。
L=TC/wとなり、これが横軸切片です。
費用最小化
今回の記事で重要なのは、TCを最小化する(費用最小化)ことです。
ただ、前提があります。
等量曲線、今回は生産量Qを1000個としますが、
この生産量1000個は不変です。
この辺に関しては前回の記事で詳しく解説しました。
⇒技術的限界代替率の求め方(公式を使って)
⇒等量曲線の特徴
なので、等量曲線は不動です。
この前提条件で、どうすればTCが安くなるか?という話になります。
具体的には等費曲線の縦軸切片や横軸切片の値をなるべく
原点の方向に寄せることで、TCは下がります。
とすると、
等費用線が点Eを通るところまで下げることができます。
これが費用を最小にしたときの等費用線です。
つまり、等量曲線(等生産量曲線とも)と等費用線の接点Eで
費用最小化が実現します。
仮に点Eよりも下まで等費用線が下がってしまったら(もっとTCが下がったら)、
そもそも等量曲線(生産量が1000個)と接することがありません。
ということは、等量曲線上の点はどの点を取っても
生産量が1000個なわけですから
それ以外の点では生産量1000個が実現できません。
なので、どうしても等量曲線と等費用線は接する必要があるわけです。
そういう前提から等費用線と等量曲線が接する点Eこそが
一番TCを減らすことができつつも、生産量1000個を実現できる最小の点と言えます。
だから費用最小化できる点はEとなるわけですね。
また、点Eは等費用線と等量曲線の接点となっています。
とると、
等費用線の傾き(-w/r)と等量曲線に接線引っ張った傾き(-ΔK/ΔL)が等しいことになります。
これは数学の知識です。
-w/rはwが賃金(時給)でrは銀行から融資を受けた時の利子率です。
すると-w/rというのは1%で900円みたいな意味になります。
これを生産要素価格比といいます。
これと-ΔK/ΔL(技術的限界代替率)がイコールの関係になります。
⇒技術的限界代替率の求め方(公式を使って)
ちなみに技術的限界代替率というのは
等量曲線に接線を引っ張ったときにできる傾きのことでしたね。
たとえば1時間労働時間が増えたら、1000個という生産量をキープするときに
何時間設備の稼働を減らすのか?というのが技術的限界代替率です。
まとめますと、
費用最小化条件は
技術的限界代替率(-ΔK/ΔL)=生産要素価格比(-w/r)(
となります。