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前回までの記事で費用曲線を使って
完全競争市場について利潤最大化条件、
損益分岐点、操業停止点などについて解説しました。
⇒完全競争市場で利潤最大化するのはどんな時?
⇒完全競争市場だと損益分岐点の場所はどこ?
⇒損益分岐点でなく操業停止点まで生産を停止しない理由
その中で価格がどの位置にあるかで生産量が決まると説明しました。
では仮に生産量が決まったとしても
誰かが(労働)まんじゅうなどを作ってくれないと、
実際にまんじゅうができませんね。
あるいはそもそものお金(資本)がないと
まんじゅうの材料や人件費を支払うことができません。
ではどれくらいの資本や労働がどれくらいの量、
必要になるのか?を考えるのが等量曲線と
等費用曲線になります。
今回は等量曲線と等費用曲線について解説します。
等量曲線(等生産量曲線)とは?求め方は?
等量曲線とは縦軸(資本)と横軸(労働量)という生産要素の
組み合わせによって同じ生産量になる点を結んだ曲線のことです。
具体的に等量曲線の求め方を解説した方が
理解しやすいでしょう。
等量曲線の具体例
100の財を生産するのに必要なL(労働量)とK(資本)の量を
以下の通りとします。
・Lが20ならKは1
・Lが10ならKは2
・Lが5ならKは4
・Lが4ならKは5
上記の条件で等量曲線を作っていきましょう。
ここで資本は機械だと理解した方がわかりやすいと思います。
たとえばLが20、Kが1のところに点をつけます。
こんな感じですべてのところに点を打ってください。
打った点を線で結んでみましょう。
以下のような原点に凸の曲線ができあがりますね。
上記のような感じで無差別曲線と同じような曲線になります。
⇒無差別曲線とは何か?分かりやすく解説
無差別曲線の限界代替率と同じような感じです。
⇒無差別曲線の性質と関係する限界代替率とは?
ではなぜ具体例のような数値になるのでしょう?
等量曲線の具体例
100の財を生産するのに必要なL(労働量)とK(資本)の量を
以下の通りとします。
・Lが20ならKは1
・Lが10ならKは2
・Lが5ならKは4
・Lが4ならKは5
最初、人が20人で機械が1台で100個のまんじゅうを
作っているとします。
そして100個のまんじゅうを作るために
業務を効率化しようと機械を1台増やしたとします。
で、人数が20人のままで機械を1台から2台に増やしたら
100個以上まんじゅうを作れるはずです。
同じ100個しかまんじゅうを作らなくていいなら
機械を2台に増やして効率がよくなったので
労働者が20人も必要でなくなります。
なので機械が2台になったら労働者は10人でOKになりました。
今度はさらに機械を2台導入し
合計4台になりました。
1台機械を増やしただけで10人労働者がいらなくなったわけだから
2台も同時に機械を増やしたら、労働者は全員クビでいいか?
というとそんなこともないでしょう。
最初に導入する機械が、たいていもっとも効率のよい
コストパフォーマンスの高い機械のはずです。
次に購入する機械は、最初の機械よりコストパフォーマンスが悪いはず。
さらにその次に購入する機械はもっとコストパフォーマンスが
悪くなるはずです。
だから、2台機械を導入し、合計4台になったときに
減らせる労働者の数は
10人ではなくて、具体例のように5人くらいになるでしょう。
機械4台、労働者5人でまんじゅうを100個作れるとします。
さらに機械を1台導入し合計5台になったとしても
1人くらいしか労働者を減らせないでしょう。
それくらい、5台目として導入する機械は
まんじゅうを作る中枢ではなくて、
補助的な機械なはずです。
こんな感じで機械を1台ずつ増やしていくとしても
1番効率が上がる機械から導入するのが普通です。
だから首にできる労働者の人数が減ってくるというのが
技術的限界代替率っていいます。
代替というのはとってかわるという意味ですから
機械が人にとってかわるというのが技術的限界代替率です。
で、たとえば100ではなく200のまんじゅうを生産するということなら、
下の図の青線のような感じになるでしょう。
こんな感じで右上に行けばいくほど
財(まんじゅう)を多く生産できるようになるというのは
無差別曲線の考え方でしたね。
⇒無差別曲線とは何か?分かりやすく解説
理論的に説明すると
資本(機械)が増えれば増えるほど、グラフは上にいきますし
労働者の数が増えれば増えるほど、グラフは右に行きます。
だから右上に行けばいくほど、財(まんじゅう)を
より多く生産できます。
ただ、右上に行くほど無差別曲線では効用(満足度)が
高かったわけです。
で、消費者は効用(満足度)が高ければ高いほどよいわけです。
だから無差別曲線では右上に行けばいくほど
消費者が満足するものとなります。
これに対し、生産者は利潤が高ければ高いほど良いです。
で、等量曲線では生産者側の曲線ですが
右上に行くほど生産量が増えるかもしれません。
でも、利潤が高くなるとは限りません。
これは操業停止点や損益分岐点の記事で解説しましたね。
⇒完全競争市場で利潤最大化するのはどんな時?
⇒完全競争市場だと損益分岐点の場所はどこ?
⇒損益分岐点でなく操業停止点まで生産を停止しない理由
等費用曲線とは?
等費用曲線とは費用を一定にしたときに
どれだけ資本と労働量を入れることができるのかを
表すものをいいます。
等費用曲線は等費用線といったりもします。
そして等費用曲線は以下の式で表すことができます。
投入にかかる費用をCとしたときにw×L+r×Kが成り立つのが
等費用曲線です。
ちなみにwは賃金率で時給とか日給のことです。
このwにL(労働者の数)をかけることで
労働に関する費用を求めることができます。
さらに資本のレンタル価格rに資本の量Kをかけると
資本全体の費用を算出できます。
なので、両方を足し合わせることで全体の費用Cになるわけです。
これだけだとわかりにくいと思いますので
具体例で考えていきましょう。
等費用曲線の具体例
C=500L+200K
とします。
上記具体例では最低賃金違反ですけど、労働者の時給が500円、
そして機械が1台200円だと考えるとわかりやすいでしょう。
そして上記C=500L+200Kの式を変形しましょう。
とピンクで囲った式に変形できますね。
このときC(費用)がもし2000だったとしたら・・・
機械を何台買えて人を何人雇えるでしょう?
L(労働者)0人なら機械は10台買えますね。
機械1台200円×10台=2000円ですから。
次にL(労働者)を2人雇うなら2人分1000円引いて
1000円残るので機械を5台買えますね。
Lを4人雇うなら500円×4人=2000円なので
機械は1台も買えません。
なので2000円を使い切るときの
LとKの数の関係については上記のようになります。
では同様の式だけど、C(費用)が3000円使えるとしたら
どうなるでしょう?
今度はL(労働者)が0人、無人だったら
機械は15台購入できます。
Lが2人なら機械は10台買えますね。
2×500円+10×200=3000円ですからね。
Lが4人なら機械は5台買えます。
Lが6人なら機械は0台です。
マンパワーで饅頭を作るしかありません(苦笑)。
以上のデータを利用してグラフを作ってみましょう。
まずC(費用)が2000円のとき、
Lが0ならK(機械)を10台買えますね。
それからLが2人ならKは5台ですね。
だからこんな感じでプロット(点を打つ)します。
今回はピンクの点でプロットしますね。
上のようになりますね。
では残りもプロットし、線で結ぶとこうなります。
こんな感じで直線のグラフになりました。
次にC(費用)が3000円のときのグラフを
同じように作っていきましょう。
今度は青色の線で結んでみますね。
上のような直線になりますね。
等費用曲線の性質
こんな感じで
C(費用)が増えると等費用曲線は右側にシフトします。
これって予算制約線と同じ話ですね。
⇒予算制約線とは?書き方についても解説
それから先ほどの等費用曲線の式をご覧ください。
C=500L+200K
500は賃金率(時給)で200は資本のレンタル価格です。
そして変形した式をみてみましょう。
先ほど作った縦軸がK、横軸がLのグラフの傾きと切片です。
さっきのグラフをみてみると・・・
傾きは横軸(L)が1増えたら5/2マイナス(下る)という意味です。
だからLが2増えたら5下に移動するわけです。
実際、上記グラフを見るとそうなってますね。
ピンク線でLが0のときKが10だったのが
Lが2に増えたら、Kは5減って5のところに来ていますね。
それから切片。
Cが2000のときは2000/200=10
ピンク線のグラフの縦軸上(Lが0のとき)、10のところに
プロットが打たれたいますね。
これが切片です。
ここでもし賃金率が500から1000に上昇したら
つまり賃上げしたら、どんなグラフになるのでしょう?
C=1000L+200Kですね。
この式を変形すると、、、
切片は変化していないけど、傾きが変化していますね。
傾きは横軸に2個すすんだらー10、つまり下に10進みます。
Cが2000円なら、以下の黄緑色の直線になりますね。
ということは、賃金率が上昇すると縦軸の切片は変わってないけど
横軸の切片(縦軸が0のときの横軸の値)が変化することがわかりますね。
では今度は資本のレンタル価格が上昇したら
どうなるでしょう?
今度は以下の式にしてみましょう。
500Lのままで、200Kから400Kに増やしてみました。
これをC=2000だとすると
切片は2000÷400=5となりますね。
また傾きはー5/4なので横軸に4進んだら
下に5下がるグラフとなるわけです。
グラフにしてみると、紫色の線になります。
こんな感じで資本のレンタル価格を増やすと
縦軸切片が下に下がりますが、横軸の切片は
4と変化しません。
以上が等費用曲線の性質です。