参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
生徒さんから
「どうして損益分岐点で利潤が0になるのに
どうして企業は操業停止点まで生産を続けるの?」
とか、「損益分岐点と操業停止点の違いって何?」
といった質問を受けることがあります。
損益分岐点についてはこちらの記事で詳しく解説しました。
⇒完全競争市場だと損益分岐点の場所はどこ?
今回は完全競争市場を前提に、
操業停止点について詳しく解説していきたいと思います。
操業停止点はどこ?
前回の記事で損益分岐点をちょっと下回ったぐらいでは
生産をし続けるということを説明しましたね。
⇒完全競争市場だと損益分岐点の場所はどこ?
ではどこまで下がったら生産をやめるのでしょう?
結論としてはAVC(平均可変費用)とMC(限界費用)が同じになる点まで生産を続けることになります。
上記グラフでいうと黄緑色の点までです。
すると生産量はどうなるでしょう?
生産量はMC(限界費用)とMR(限界収入)の交点です。
MR(限界収入)は③の黄緑色のラインです。
完全競争市場では価格は一定でしたね。
この③の水平な黄緑線が限界収入(MR)となります。
ですから、以下のグラフのaが生産量になります。
では総収入はどうなるでしょう?
総収入は価格P×生産量Qです。
なので、
黄緑色の枠内全体が総収入となります。
③は価格Pでaは生産量Qなので
③×a=総収入だからです。
長方形の面積は縦×横ですからね。
縦に③を横にaを置き換えると③×aが総収入になるのが
わかると思います。
続いて総費用ですが、
総費用はAC(平均費用)×Q(生産量)です。
今回のQは点aのところです。
この総費用の式の意味が分からない方は
こちらの記事をご覧ください。
⇒完全競争市場で利潤最大化するのはどんな時?
経済学って数学みたいに積み重ねで理屈が成り立っているので
大変な学問ですね。
話を元に戻しますと、□の赤線内が総費用になります。
なので、緑枠の総収入から赤枠の総費用を引いたら
利潤が出るので、今回はオレンジの枠内だけ赤字に
なっていますね。
このケースでは生産を停止することになります。
どうしてでしょう?
損益分岐点ではなく操業停止点で生産を停止する理由とは?
損益分岐点のときには生産を停止しませんでしたね。
詳しい理由はこちらで解説しています。
⇒完全競争市場だと損益分岐点の場所はどこ?
緑の斜線のところ(総収入)を見てください。
AVC(平均可変費用)×Q(点a)になっています。
ということは、これはVC(可変費用)になりますね。
平均に個数をかけたら元の数に戻りますからね。
たとえば40人クラスで模擬試験を受けたら平均点が60点だったら・・・
40人×60点=2400点
となり、元の合計点数になっています。
これと同じで平均可変費用に生産量(個数)をかけたら
もとの可変費用の合計に戻るわけです。
たとえば饅頭屋さんでいうと材料費(お餅や粒あん代)が可変費用になります。
材料費を払って饅頭を作って売ったのに
材料費代さえも売上が上がらないなら
やればやるだけ赤字が加速してしまいます。
だから生産を中止するしかありません。
損益分岐点では材料費よりは売上が上がっていました。
だから材料費よりも儲かった分を
饅頭を作る機械代(固定費)や家賃代(固定費)の月々の支払いに充てることができます。
だから損益分岐点では生産を続けた方が得なわけです。
でも、材料費さえ支払えない操業停止点では
饅頭を生産することさえ赤字が加速するので
やる意味がないです。
だから操業停止点で操業が停止します。
以上が損益分岐点ではなく操業停止点で
操業を停止する理由であり、そもそもの損益分岐点と
操業停止点との違いです。
ではついでに供給曲線も考えてみましょう。
完全競争市場における供給曲線の導出
まず上記グラフのように価格が①の生産量をc、
②の生産量をb、③の生産量をaとします。
するとaのところが操業停止点なので
aまで操業を続けるわけです。
逆にaで操業が停止します。
なので価格が①から③に低下していくにつれて
生産量はcからaへと減らしていくことになります。
つまり、MC(限界費用曲線)上にそって
生産量と価格が決まっていくということです。
(以下のグラフのオレンジ線参照)
さらに価格が③より下回ってしまうと
生産を停止することになります。
生産停止ということは生産量が0ということですね。
だから③の価格より下のところは生産量が0になるので
以下のグラフの水色線のような供給曲線ができます。
したがって、オレンジ線の部分と水色線の部分を合わせた線が供給曲線となります。
以上で解説を終わります。