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1次試験

フォードシステムの特徴をわかりやすく解説

フォードシステムの特徴




フォードという名前を聞いたことがあると思いますが
アメリカの自動車メーカーです。

この自動車メーカーの創業者がヘンリーフォード1世という人ですが
この人が1903年に作ったフォードモーターズで採用した生産のやり方をフォードシステムといいます。

ヘンリー・フォードは経営学でよく登場する有名人で、
世界の自動車王と言われているほどの人です。

世界の自動車王はトヨタじゃないんですね。
フォードさんは前回解説したテーラーの科学的管理法が
浸透していく時代に活躍した人なんです。
テーラーの科学的管理法をわかりやすく解説

今回の記事ではフォードさんが開発した
フォードシステムの特徴をわかりやすく解説していきたいと思います。

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フォードシステム登場以前について

フォードシステムの特徴

フォードが登場する以前ですが
自動車というのはぜいたく品でした。

ちなみにぜいたく品=経済学でいうところの上級財ではないですからね。
この辺の知識があやふやな方はこちらの記事をご覧ください。
上級財と下級財の違いを例を挙げてわかりやすく解説

19世紀半ばくらいから今は知っているガソリンで動くような自動車が
登場してきたんですけど、
現代でも、もちろん200万円くらいしますけど
一般家庭でも自動車を保有していますね。

フォード

ところがフォードが登場する以前(馬車に乗るのが一般的な時代)は
車1台の値段が非常に高かったんです。
年収数年分くらいの価格でした。

なので、一部のお金持ちといった特権階級の人が
趣味的に乗るようなもので、
一般庶民が乗るようなものではありませんでした。

ヘンリーフォードという人は経営者としては優れていた人で
「絶対、自動車は流行るだろう」と確信していました。

ただ、当時の自動車の価格は異常に高かったわけです。
そこでいかに安く車を作るか?を考えていました。

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フォードシステムの特徴

フォード


まずはフォードシステムって何でしょう?
フォード車が採用した大量生産方式といったものをまとめて
フォードシステムといいます。

ここからフォードシステムの特徴を3つ挙げていきますね。

特徴(1)標準化

フォードは作業工程を標準化させました。
いくつも工場があるのですが、
そこの工場の中で行っていく作業を全部同じ作業にしました。
つまり作業を統一させたわけです。
これを作業工程の標準化といいます。

それから部品の細分化をやっていきました。
使える部品は何でも使うという意味です。
互換性という言葉がありますね。
使える部品は一か所だけでなくて複数のところで
色々使えるようにすることによって楽しようと考えるわけです。
これが部品の細分化です。

他にも製品の標準化もしました。
T型フォードって形や色が全部一緒です。
だから同じものを作るだけでよいのです。

だからどこの工場に行っても作っているものは同じ。
ヘンリーフォードはフォードモーターズで作る自動車を
T型フォードという1車種だけにしました。
つまりT型フォードってみんな形が同じというわけです。

しかも色も黒だけ。
つまり、黒色のT型フォードしか作らないとしました。

これにどういう意味があるのでしょう?
製品・部品の標準化、規格化です。

つまり黒色のT型フォードしか作らないわけですから
部品だって1種類だけでいいわけです。

それから専用機械といって
T型フォードを作るためだけに開発した機械を使うので
効率よく車を作ることができます。

あと黒一色で車ができるので、
黒だけ大量にまとめ買いすることで
安く材料を仕入れることができます。
だから、車の製造コストを抑えることができました。

特徴(2)ベルトコンベアーシステム(移動組立法)

ベルトコンベアーシステム

2番目の特徴はベルトコンベアーシステム(移動組立法)です。
ベルトコンベアーシステムは日本語では移動組立法といいます。
移動組立法って何かというと生産ラインを同期化したり移動化したりすることをいいます。

フォード以前の生産ラインって
車を作るとしたらどういった形か?というと
人が動いていました。

つまり、車を作るところを固定しておいて
人があっちこっちに移動していって
部品持って行って組み立ててみたいにやっていました。

それをフォードシステムでは逆にしたのです。
人は動かないで車が動いてくれます。
車が動いてこっちにやってくるので人は部品を取り付けるだけ。
そして次の工程のために車が移動します。
また次の人が部品をつけてまた車が移動して次の工程に行く感じです。

こんな感じで人でなくて車を動かすことによって
人が動く手間を省くということをやっていったのが移動組立法です。

フォード以前は労働者の作業分担があいまいだったので
移動して作業していたんです。

たとえば、タイヤを取り付けに行ったり
ハンドルを組立に行ったりしていたんです。

これに対してフォードはベルトコンベアーから流れてくる部品を
組み立てる仕組みを作りました。

作業者が歩かないで車だけが動いていって
作業していくようなシステムを何というか?というと
これをベルトコンベアーシステムといいます。

ベルトコンベアーシステムは
フォードさんが精肉工場で牛を解体してやっている作業を見てて
「自動車製造でもできるんじゃないか?」と思い付いたんだそうです。

労働者は待ちながら作業することになります。
ベルトコンベアーシステムの特徴は徹底した分業化で
労働者は細分化された工程の一部だけ担当していました。

ある人はタイヤの取り付けだけやるし
ある人はハンドルの取り付けだけをやるわけです。

ベルトコンベアーシステムのメリットは
労働者は待っているだけなので
無駄な移動時間がなくなるし
熟練しやすくなりますね。

同じことばかりやるわけなので。

フォードシステムができたのは
前回解説したテーラーと同じ20世紀初頭のアメリカの話です。
テーラーの科学的管理法をわかりやすく解説

当時、工場で働いている労働者の多くは
未熟練で、工場労働に不慣れな人が多かったんです。

ところがベルトコンベアーシステムであれば
365日、毎日、同じ車のタイヤの取り付けだけとか
やっているので、熟練するのが早いわけです。

こんな感じで生産ラインの同期化とか移動化をやっていくことによって
作業者が歩くことなく作業する事が可能となりました。

以上のようにフォードはベルトコンベアーシステムを完成させました。

ただデメリットもあります。
デメリットとしては365日毎日同じことばかりやるので
仕事としては単調でつまらないということがあります。

ベルトコンベアーは現代では当たり前のように
利用されている方法です。
でも、工業製品の生産現場に初めて大々的に導入したのが
ヘンリーフォードのフォードシステムです。

特徴(3)フォーディズム

フォードシステムで大事なのは
大量生産方式を作り出したというところもあるのですが
もう1つはフォード社の考え方というところが
もう1つポイントとなってきます。

フォードの考え方のことをフォーディズムといいます。

フォーディズム=フォードの経営思想です。
フォード社の考え方をフォーディズムといいますが
フォーディズムの特徴として「企業は何のためにあるのか?」
ということを考えていきます。

普通に考えていくと、
企業は何をするところか?というと
一般的なミクロ経済学の知識を使っていくと
『利潤の追求』とか『利潤の最大化』という話になっていくと思います。

でも、フォーディズムはそうではありません。
これも特徴になってきます。

フォーディズムによると企業の目的とは
『利潤の追求でなく一般大衆に対する奉仕である』ということです。

一般大衆に対する奉仕ですが
これはT型フォードの車を買ってくれた人限定の話ではありません。
それだけでなく実際にフォード社に働いている人にも
奉仕といったものが実現できるようにしていきました。

こんな感じでフォード社は消費者に対して低価格で
車を提供し一方、フォードで働いているスタッフに高賃金を支払うことで
スタッフの家族も幸せになるという両面において
両面において奉仕をやっていったというのがフォーディズムの特徴です。

さらにフォーディズムの考え方として利潤はどうなのでしょう?
一般大衆に対して奉仕をした結果得られるものが利潤だということです。
利潤は二の次ということ。
奉仕を最初にした結果、得られるのが利潤だとフォーディズムは考えます。
つまり優れた奉仕の結果得られるのが利潤だということです。

したがってフォードシステム以前の利潤第一というわけではありません。
奉仕をして、その奉仕を追求していった結果、
利潤としてあらわれるんだというように考えます。

具体的に何をしたのか?というと
1つは大量生産をやっていった結果、
安いコストで車を作れます。

したがってT型フォードは以前の車と比べると
かなり安い価格で提供することができるようになりました。
これが1つです。

もう1つはT型フォードはバカ売れしましたから
会社は儲かりました。
儲かったからフォード社で勤めている人も高賃金がもらえるといった
2つのことを実現させました。

フォーディズムにより、
他の自動車メーカーの車の3分の1という低価格で販売し、
たくさん車が売れるので、他社の2倍以上のお給料を支払えたそうです。

ちなみに当時のお給料になりますが、
フォードの労働者は1日5ドルのお給料に対して
他社の平均は1日2ドルだったんだそうです。

フォードと前回解説したテーラーと共通しているのは
労働者は高賃金でやる気がでるという基本思想です。
テイラーの科学的管理法をわかりやすく解説

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フォードシステムによるその後の影響

フォードシステムが成功したことで
アメリカだけでなく世界的に自動車社会がもたらされました。

それからフォードシステムをいろんな会社が真似しました。
たとえばマクドナルドの生産のやり方は
フォードシステムの模倣です。

マクドナルドはもともとは
コックさんが作るお店だったんですけど、
こういったシステムをやめて分業化しました。

つまり、ハンバーグだけを焼く人とか
ポテトだけ作る人とか、分業してやるようになりました。

それからフォードシステムによって
20世紀経済の特徴である大量生産・大量消費の基礎を構築したんです。

フォードが登場する以前は
自動車を買える消費者と自動車を作る労働者は
別の人でした。

自動車自体高額だったから自動車を作る労働者が
車を買えなかったわけです。

今だとクルーザーを買える人と作る人は違うでしょう。

フォードが考えたのは一部のお金持ちだけを相手しても
市場が広がらないですよね。

だから、フォード車の値段を安くしました。
と同時にフォードの労働者の給料をアップしたんです。

その結果、フォードの労働者自体が
フォードのお客さんになって
市場が広がっていったんですね。

次の記事ではフォードシステムのメリットとデメリットについて解説します。