参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
今回は資本の限界効率について解説します。
資本の限界効率はIS曲線の前提知識となってきます。
IS曲線は中小企業診断士試験で頻出です。
資本の限界効率がわからないために
IS曲線が理解できず、中小企業診断士試験に落ちたら最悪です。
そういった意味でも資本の限界効率について
しっかり学習していきましょう。
資本の限界効率の前提として財市場における投資とは?
まず大前提ですが、IS曲線の前提になる資本の限界効率ですが
IS曲線は経済学でも財市場に該当します。
「財市場?よくわからない」という場合には
こちらの記事を先にご覧ください。
⇒マクロ経済学で分析する3つの市場について詳しく解説
で、財市場で投資というと設備投資のことを意味します。
ここが重要です。
投資と言ったら、株式投資とか不動産投資とかいろいろなものがありますね。
でも財市場でいう投資は設備投資のことを意味しています。
ここがわかっていないと
この後の内容がさっぱり頭に入ってきませんから
知っておいてくださいね。
たとえば会社が新しい事業を始めようとしたときに
パンを作る機械を購入したりしますね。
こういったものが設備投資です。
資本の限界効率とは?
資本の限界効率とは現在価値の考え方で出した数字を用いた投資収益率のことです。
「現在価値?よくわからない」という方は
財務・会計のこちらの記事をご覧ください。
⇒将来価値と現在価値の考え方についてわかりやすく解説
ここでは簡単に現在価値について解説しますね。
たとえば5万円を今すぐもらうか、それとも1年後もらうんだったら
どっちを選びますか?
おそらくあなたは今すぐ5万円をもらうと思います。
ではどうしてあなたは今すぐ5万円をもらおうとするんですか?
答えの一つとして、今ゲットした5万円を銀行に預ければ
確実に1年後には数十円であっても利子がつきますね。
つまり今お金をもらっておけば1年後はもっとお金が増えているわけです。
なので1年後の5万円より今もらう5万円の方がうれしいはず。
こんな感じで今の5万円と1年後の5万円って価値が同じように見えて
違います。
もっというと、今の5万円と1年後の5万円なら
1年後の5万円の方が価値は小さくなるわけです。
だから、1年後など将来の金額を現在の価値に直して考えていくわけです。
このことを現在価値っていいます。
で、投資した瞬間に利益がでるわけではありませんね。
利益がでるのは将来です。
このように、
将来手に入る利益(収益率)を現在価値に直して考えるのが
資本の限界効率です。
で、資本の限界効率と比較する対象が利子率です。
利子率とは投資するためにお金を借りる時などにかかる費用のことをいいます。
設備投資するためにはお金が必要ですが、たいてい高額なので
一括現金で支払うことができません。
なので銀行などから融資を受ける必要があります。
融資を受けるからには利子を支払わないといけません。
利子についてよくわからないという方は
こちらの記事をご覧ください。
⇒間接金融と直接金融の違いを具体例を挙げて解説
⇒貨幣の価値とは?分かりやすく解説
資本の限界効率と利子率を比較した時に・・・
質問があります。
資本の限界効率から利子率を引いたときに
プラスだったらあなたは投資しようと考えますか?
つまり資本の限界効率の方が利子率よりも大きい場合って
どういう時なのでしょうか?
この場合、投資した方がよいケースになります。
銀行からお金を借りてでも設備投資して事業を拡張したほうが
お得だといえます。
将来手に入る利益(収益率)を現在価値に直して考えるのが
資本の限界効率でしたね。
なので将来手に入る利益の方が利子率(借金に対してかかる利子)より多いわけですから
お金を借りてでも設備投資した方が会社にとって利益が大きいといえます。
逆に資本の限界効率よりも利子率の方が大きい場合には
投資しない方がよいです。
なぜなら将来手に入る利益よりも借金の返済にかかる利子の方が大きいから
会社にとって損するからです。
資本の限界効率から投資曲線を導き出してみる
以下のような投資案件があったとします。
2.資本の限界効率が8%で投資額が500万円
3.資本の限界効率が5%で投資額が500万円
4.資本の限界効率が2%で投資額が500万円
で、もし利子率が7%だったら
あなたはどの投資案件を実行しますか?
先ほどの解説が理解できていれば
1番の資本の限界効率が10%と2番の資本の限界効率が8%の投資案件を
選ぶと思います。
なぜなら、資本の限界効率の方が利子率より高い案件であるなら
将来、会社に利益をもたらしてくれるからです。
では利子率が4%に下がったらどうですか?
考え方は同じで、4%よりも資本の限界効率が高い1番、2番、3番を
実行することになります。
で、もし上記のようなグラフを小刻みにしていったら
つまり、資本の限界効率を10%、9.9%、9.8%・・・0.9%・・・
みたいな感じです。
すると、こんなグラフになりますね。
右下がりの曲線になります。
上記グラフを資本の限界効率曲線といいます。
利子率が下がれば下がるほど、投資量って
どんどん増えていきましたね。
たとえば利子率が7%のときは1と2の2つの投資案件を
選んだわけですから、500万円×2=1000万円の投資量です。
また、利子率が4%なら1と2と3の3つの投資案件を選ぶので
500万円×3=1500万円の投資量です。
こんな感じで利子率が下がれば下がるほど投資量が増えました。
なのでこんなグラフを導くことができます。
すると右下がりの曲線になりますね。
これを投資曲線といいます。
投資曲線が右下がりになるという結論は
次のIS曲線の前提になりますので必ず覚えておいてくださいね。
以上で解説を終わります。