参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
よくミクロ経済学の専門書を見ると
『限界費用=価格のときに利潤が最大化する』と書いてあります。
どうして限界費用=価格の時に利潤最大化するのでしょうか?
この記事でグラフを使いながらわかりやすく解説していきます。
会社はどうやって利潤を最大化するの?
会社は売上(総収入)を最大にするために
活動しているわけではありません。
儲け(利潤)を最大にするために活動しています。
会社はどうやったら儲け(利潤)を計算できるでしょう?
⇒利潤と利益の違いについて具体例を挙げて解説
となります。
ですので、儲けを増やす(利潤を最大化する)には2つの方法があります。
儲け(利潤)を増やす2つの方法は
・総収入(売上)を増やす
・総費用(コスト)を下げる
です。
利潤を最大化するときに
総収入線というグラフを作ります。
利潤最大化を検討するために利用する総収入線
まず、
です。
そして総収入(売上のこと)は経済学の場合、TRと表現することもあります。
そして総収入(TR)は
総収入の式
総収入(TR)=価格(P)×生産量(Q)
で表すことができます。
つまり、価格Pに生産量Qをかけると総収入(売上)となるわけですね。
ここで一つポイントになってくるのが
あなたが知りたいであろう『限界費用=価格のときに利潤が最大化する』というのは
完全競争市場という前提条件があります。
⇒完全競争市場の4つの条件についてわかりやすく解説
完全競争市場だと、
総収入(TR)=価格(P)×生産量(Q)
における価格(P)は一定となります。
たとえば、価格(P)=1,000円で一定
みたいな話です。
価格(P)を一定とすることで、
総収入(TR)を単純に計算できます。
総収入のグラフ
縦軸にTR(総収入、売上)、横軸に生産量Qをおきます。
生産量はたとえばお茶碗にしましょうか。
お茶碗が1つ1000円だとします。
すると、TR=1000Qの1000が価格Pです。
しかもこの価格Pは一定とします。
前述のとおり、完全競争市場という前提があるからです。
⇒完全競争市場の4つの条件についてわかりやすく解説
ここで、
総収入の式
総収入(TR)=価格(P)×生産量(Q)
でしたね。
この価格Pが一定という事は
上記グラフは原点0を通って傾きPの直線になります。
中学校の一次関数ですからね。
y=ax
と同じですね。
yはTR、aが1000、xがQと一致します。
価格Pが一定だからこそ、一次関数となり
原点を通る直線になるわけです。
今、
価格P=1000円としていますから、
売上は原点を通りますね。
生産量が0なら売上は0円になりますからね。
生産量が1なら1×1000円=1000円の売上、
2なら2000円の売上になりますね。
P=1000円で一定にしているので
横のお茶碗の生産量が増えるほど、
どんどん売上が計算上は増えてきます。
計算上は横軸のお茶碗の生産量Qが増えるほど
Pが一定なので、ずっとどこまでも増えていきます。
ここまでまとめますと
総収入(TR)は原点を通って傾きがP(価格)の直線です。
では利潤最大化の生産量はどうなるでしょう?
前提として
です。
利潤(儲け)は総収入(売上)から総費用(いろんな経費)を引けば出ますから、
難しい話ではありませんね。
ではここからが本題です。
限界費用=価格の時に利潤最大化する理由
まずこちらのグラフをご覧ください。
どうやったら利潤が最大化するのでしょう?
青色の直線はここまで説明してきたTR(総収入、売上)です。
それから赤色の線は前回解説したTC(総費用)です。
⇒総費用について詳細はこちら
ところで、利潤=総収入ー総費用
でしたね。
ということは青色の線と赤色の線の間が一番あいているところが
利潤が最大化するわけです。
ただ、赤色の線が上で、青色の線が下のところは利潤がマイナスになります。
逆に青色の線が上で赤色の線が下で、しかも間が一番あいている(距離が離れている)ところが
利潤が最大化するところです。
上記グラフで『利潤が最大』と書いてあるところをご覧くださいね。
そしてここからが重要です。
総収入TRを平行にTC(総費用)とくっつくところまでずらしていきます。
つまり、2つの直線は平行となります。
そして利潤が最大と書いてある矢印(TRとTCの間の距離)が
利潤最大となります。
生産量だったらQ1が利潤最大です。
どうしてここで利潤が最大になるといえるのでしょう?
たとえば、Q1がお茶碗1万個だったとしましょう。
9999個でも1万1個でもダメです。
利潤最大となるQ1よりちょっと短い矢印(緑色)になってますね。
だから青色の線2つが平行でつながっているときに
垂直距離を測ってあげることで利潤が最大化することがわかりますね。
また、青色の線2つが平行だということは
TRの傾きとMC(限界費用)の傾きが等しいことになります。
限界費用とTC(総費用)の関係については前回の記事で
詳しく解説しています。
⇒限界費用についてわかりやすく説明
たとえば、P=1000円(一定)としたら、
限界費用MCも1000円となります。
しかも、限界費用MC=1000円のところは
生産量Q1=お茶碗1万個
と決まるっていう理屈です。
つまり、P=MCとなり、Q1が決まるわけです。
ここでは前提として完全競争市場ですので、
完全競争市場における利潤最大化条件は
P(価格)=MC(限界費用)
となります。
「ちょっとわかりにくいんですけど・・・」
という方のためにもう少し簡単に説明してみますね。
利潤最大化条件は
P=MC
ということは、逆にP=MCでないとき、利潤が最大化しないことを
証明すればよいわけです。
たとえば、
限界費用MC=900円だったとしましょう。
価格P=1000円でMC=900円だとすると、
P>MC
ですね。
ここで生産量Qを1個増やすと、
総収入は価格Pの1000円だけ増えますね。
限界費用は900円なので、総費用TC=900円増えます。
⇒限界費用についてわかりやすく説明
ということは1000円ー900円=100円だけ儲けは増えます。
なので、生産量を増やせばもっと儲けが増える余地が残っているわけです。
利潤最大というのはこれ以上、増えないってことなので、
P>MCの状況ではだめだということです。
逆に限界費用MCが1100円だったら
P<MC
となります。
生産量を1個増やすと総収入は1000円増えるけど、
総費用は1100円増えるわけです。
損しますね。
なので、逆に生産量を減らせば儲けを増やすことができます。
なのでP<MCでは利潤は最大化しません。
今度はMC=1000円のとき
つまりP=MCのとき、
生産量を1個増やすと総収入も総費用も1000円ずつ増えます。
生産量を増やしても減らしても利潤は増減しないってことです。
だからこの状況が最大だってことになります。
最大というのはこれ以上、上がないってことです。
儲けが増える余地がないから利潤最大ということになります。
よってP=MCが利潤最大化条件となります。