参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
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ここでは自由貿易をすることによって
どのように余剰が変化するのかを一緒に考えていきましょう。
余剰分析をしていくので
余剰分析の知識がないと、こらからの内容が
まったく理解できないと思います。
なので、余剰分析に自信がない方は
先にこちらをご覧ください。
⇒【分かりやすく解説】余剰分析とは?
⇒外部不経済の余剰分析についてわかりやすく解説
では本題に入っていきましょう。
目次
自由貿易の余剰分析|仮定
自由貿易における余剰分析をしていくにあたり
まず先に仮定から。
まず自分たちの貿易の状況が
他の国に影響を与えないと仮定します。
これを小国モデルといいます。
もし自国の影響が他の国に影響してしまうとすると
計算が複雑になってしまいます。
結果、余剰分析が難しくなってしまうわけです。
それから完全競争市場とします。
⇒完全競争市場の4つの条件についてわかりやすく解説
⇒完全競争市場で利潤最大化するのはどんな時?
⇒完全競争市場の需要曲線は右下がり?水平?
⇒完全競争市場だと損益分岐点の場所はどこ?
あと、貿易にかかる取引費用は0とします。
自由貿易の余剰分析(貿易開始前)
まずA国が貿易を開始する前の余剰について考えてみましょう。
まず消費者余剰から。
消費者余剰は需要曲線(D)上にある供給曲線(S)との均衡点E、
それからEから縦軸上に水平にある点P2、P3でできる三角形です。
生産者余剰は三角形P2EP1となりますね。
「よくわからない」という方は
こちらをご覧ください。
⇒【分かりやすく解説】余剰分析とは?
総余剰は三角形P3EP1となります。
![総余剰](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
で、A国と貿易をしている相手国をB国としますと、
B国の余剰も貿易開始前はA国の余剰とまったく同じになります。
つまり、消費者余剰は三角形P3EP2、
生産者余剰は三角形P2EP1、総余剰は三角形P3EP1
です。
自由貿易の余剰分析(貿易開始後)
貿易開始後、国際価格をP4とします。
すると、需要曲線Dと価格P4の交点がbになります。
つまり、貿易前は点Eだったのが、貿易後点bに変化しました。
なので、消費者余剰は三角形P3bP4となります。
![自由貿易開始後の消費者余剰](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
次に生産者余剰について考えていきましょう。
生産者(会社)からみると価格がP2からP4に下落しました。
商品を生産する側からすると、
価格が下がったら儲けが減るので、やる気がでません。
なので、供給曲線Dと価格P4の交点aまで
生産量は減ります。
よって生産量はQ2に減少します。
![生産者余剰](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
生産者余剰は三角形P4aP1となります。
よって総余剰は以下のグラフのようになります。
![総余剰](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
総余剰はP3baP1で囲まれた領域となります。
自由貿易の余剰分析(貿易開始後の輸入)
貿易開始後、A国は以下のような状態になりました。
では、輸入はどうなるのでしょうか?
![総余剰](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
消費者の需要量は価格P4と需要曲線の交点bから
真下にあるQ3となります。
これに対して供給量(生産量)は先ほど解説したように
Q2となります。
なので商品を欲しがっているお客さんはQ3だけ必要なのに
商品を作る供給者はQ2しか作りません。
Q3とQ2の差を超過需要というんでしたね。
⇒超過需要とは超過供給とは何か?グラフを使って解説
⇒超過需要とは?具体例を挙げて解説
超過需要ということは、
もっと商品が必要な状態です。
なので必要な分(Q3-Q2)だけ輸入すればよいわけです。
よって輸入量はQ3-Q2となります。
自由貿易の余剰分析(A国における貿易開始前後の変化)
A国において貿易開始前はこうでした。
![総余剰](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
貿易開始後はこうでした。
![総余剰](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
貿易開始前後でみると、三角形Eabだけ
総余剰が増えています。
この三角形Eabが自由貿易によるA国の利益です。
自由貿易の余剰分析(B国における貿易開始後の変化)
A国の相手国となるB国における
貿易開始前の総余剰は、A国とまったく同じです。
つまり総余剰は三角形P3EP1となります。
わかりやすくするために
B国における貿易開始後の国際価格はP2よりも高い価格P4に
設定されるとしましょう。
![余剰分析](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
価格がP4に上がってしまったので、
消費者としては欲しくなくなります。
たとえば今までバナナが1本100円だったのに
200円に上がったなら、「だったらいらない」
という人が増えてくるはずです。
ただ、国際価格により価格がP4に上がると
国内の価格も上がります。
生産者からすると、国際価格がP4と高いので
海外に輸出した方が儲かります。
海外に売った方が儲かるということは
生産者は別に国内だけ安く売る必要がないわけです。
だから国内の価格も上がります。
価格が上がるため、需要量はQ1からQ2に減少します。
値段が上がったら買わない人が増えるのは当然のことですからね。
よって消費者余剰は以下のようになります。
![消費者余剰](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
消費者余剰は三角形P3aP4となります。
もとの消費者余剰はP3EP2なので、明らかに
貿易開始後、面積が小さくなっていますね。
次に生産者余剰をみていきましょう。
供給曲線Sと国際価格P4の交点bから
まっすぐに線をおろしたQ3が生産量となります。
こんな感じでB国の場合、供給量がQ1からQ3に
増えることになります。
なので、生産者余剰は、、、
![生産者余剰](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
元の生産者余剰は三角形P2EP1だったのが
三角形P4bP1と明らかに面積が増えていますね。
そして総余剰は、、、
![総余剰](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
上記のようになります。
B国みたいに自由貿易後、価格が上昇する場合
需要量はQ2に減少し、供給量はQ3に上昇します。
需要より供給の方が大きいので超過供給の状態です。
⇒超過需要とは超過供給とは何か?グラフを使って解説
で、超過供給というのは商品が余った状態です。
ただ、余った商品は海外に輸出すればOKです。
なので(Q3-Q2)分だけ輸出することになります。
それから貿易開始前と貿易開始後で余剰は
どのように変化したのでしょう?
貿易開始前の総余剰はP3EP1でした。
が、貿易後の総余剰はP3abP1となり、
三角形abEだけ余剰が増えました。
これは輸出の影響といえます。
最後にまとめますとA国、B国ともに自由貿易によって
利益を得ているわけですね。