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1次試験

外部不経済の余剰分析についてわかりやすく解説




参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編

分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
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この記事では外部不経済の余剰分析について解説していきたいと思います。
前提として、外部不経済、余剰分析、私的限界費用、
社会的限界費用の知識が必須になります。

まだご覧になっていない方は
先にこちらの記事をご覧ください。
【分かりやすく解説】余剰分析とは?
外部不経済と外部経済とは?例を挙げてわかりやすく解説
私的限界費用と社会的限界費用とは?

それでは本題に入っていきましょう。

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外部不経済の余剰分析(仮定)

経済学では仮定で成り立っていることが多いです。
外部不経済の余剰分析でも仮定があります。

仮定を知らないと
この先の解説が「違うだろ!」と
反発したくなってしまう可能性があります。

なので必ず仮定について確認しておいてください。

外部不経済の仮定

外部不経済を分析するための仮定

1.完全競争市場である
2.車を追加で1台生産したときの発生する外部不経済は一定
3.その他の条件は一定とする

です。

上記仮定の中で重要なのは
2の『車を追加で1台生産したときの発生する外部不経済は一定
です。

車を1台作るごとに空気が汚されてしまうとします。
たとえば1台作るごとに1000円ずつといった感じで
一定の金額で外部不経済が発生すると考えます。

それでは実際に余剰分析をやっていきましょう。

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外部不経済の余剰分析

まず先ほどの仮定をもとにグラフを作成してみましょう。
まずもともとの私的限界費用曲線(X)は
以下のように黒線でひいてみます。

外部不経済

で、私的限界費用曲線に対して車1台あたり1000円分
空気が汚れてしまう、つまり外部不経済が発生するとすると
その分費用がかかっているのと同じことになります。

この1000円を使って空気を浄化して元のきれいな空気に戻すわけです。
なので、この1000円だけ社会的には費用を上乗せするため
黒線から上にシフトした紫色の線が出来上がります。

この紫色の線を社会的限界費用曲線(Y)ができます。

では、上記グラフに需要曲線(D)を加えてみましょう。

余剰分析

一般的な均衡点って需要曲線(D)と私的限界費用曲線(X)の交点になります。
このときの数量をQ1、価格をP1とします。

ただ、Q1のところって最適な生産量ではありません

なぜでしょう?

価格がP1のとき上記グラフだと

消費者余剰はaとdとf
生産者余剰はbとcとg
外部不経済はcとdとfとgとe
総余剰はaとbからeを引いたもの

となります。

どうして余剰分した結果、
上記のような総余剰になるか、解説していきますね。
まず消費者余剰をみていきましょう。
以下のグラフだと黄緑色の領域が消費者余剰になります。

外部不経済


なので、aとdとfになりますね。
それから生産者余剰はオレンジ色の領域です。
なので、bとcとgになりますね。

で、一般的に、生産者余剰と消費者余剰を合計すると
総余剰になります。

でも、外部不経済では違います。
外部不経済は取引当事者以外の第三者に対して
悪影響を及ぼします。
この悪影響の分も余剰に加えないといけません

外部不経済の分だけ余剰に加える

上記グラフの青い矢印分だけ、
つまり私的限界費用曲線と社会的限界費用曲線の距離分だけ
余剰に加えないといけません。

また、このときの生産量はQ1なので
外部不経済分の面積は
以下のグラフの青色領域になります。

外部不経済

 

上記青色の領域は平行四辺形です。
平行四辺形の面積の求め方は底辺×高さです。
高さは以下の図のように
必ず底辺と直角(90°)でないといけません。

これは三角形の面積を求めるときと
まったく同じ考え方になります。

平行四辺形の面積

なので、たとえば上記図なら底辺は6㎝で高さは10㎝ではなく
9㎝ですから、6×9=54となります。

これと同様に外部不経済のグラフでは
原点からP2までの距離が底辺だとすると
原点からQ1までの距離が高さになりますね。

したがって青色部分の面積はP2×Q1となり、
この領域はcとdとeとfとgとなるので
これらを外部不経済分として総余剰から引き算しないといけないわけです。

よって、総余剰=生産者余剰+消費者余剰ー外部不経済
となるので、

外部不経済の総余剰

となるわけですね。

これが生産量がQ1のときの総余剰です。

そしてこの状態はパレート最適な状態ではありません。

では最適なところはどこでしょう?

外部不経済の余剰分析


最適なところは社会的限界費用曲線(Y)と
需要曲線(D)の交点で決まる生産量Q2です。

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外部不経済の余剰分析(最適な生産量の場合)

最適な生産量はQ2でしたね。
では生産量Q2の場合、消費者余剰と
生産者余剰はどうなるのでしょうか?

消費者余剰と生産者余剰

上記グラフのように生産量がQ1の時と比べて
消費者余剰と生産者余剰の面積が減っていますね。

消費者余剰はaとd、生産者余剰はbとcの領域になります。
つまり、生産量Q1のときと比べて消費者余剰はf、生産者余剰はg分だけ
余剰が小さくなるわけですね。

では外部不経済はどうなるでしょう?
外部不経済も生産量が減ったわけですから
面積が小さくなるのは当然です。

ですから、外部不経済は以下の青色の領域になります。

外部不経済

外部不経済は生産量がQ1からQ2に減った分だけ
先ほどよりも減少していますね。
cとdの領域が外部不経済です。

生産量がQ1のとき、外部不経済はc,d,e,f,gでしたから
かなり、減っていることが分かります。

総余剰は消費者余剰+生産者余剰ー外部不経済なので
a+d+b+c-c-dですから

総余剰はa+bとなります。

生産量がQ1のときの総余剰はa+b-eに対して
生産量がQ2のときの総余剰はa+bなので
生産量がQ2の時の方が余剰が大きいです。

総余剰

生産量Q1のところではe分だけ総余剰から引かないといけないので
その分だけ、生産量Q2のときの総余剰の方が大きくなります。

で、このeのところを死荷重といいます。

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外部不経済における余剰分析まとめ

市場に任せてしまうと、生産量がQ1になってしまいます。

外部不経済

この状態は生産量が過剰です。
この場合は外部不経済が発生してしまいます。
するとパレート最適にはなりません。

市場の失敗が発生しているということです。

パレート最適になるのは私的限界費用でなく
社会的限界費用になったときです。

総余剰

試験対策上は社会的限界曲線を供給曲線と考えます。
そして社会的限界費用曲線(供給曲線)と需要曲線で
囲まれた領域、aとbが総余剰になる
と理解しておきましょう。