前回の記事で企業価値について
3つの考え方があることを解説しました。
⇒企業価値とは?3つの定義それぞれ解説
今回は配当割引モデルについて解説していきます。
配当割引モデルは企業価値を計算する方法の一つで
会社を買収しようと思ったときや事業承継のときに利用したりします。
配当割引モデルとは?
![企業価値とは](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
上記図は前回の記事で解説したものです。
⇒企業価値とは?3つの定義それぞれ解説
たとえば狭義の企業価値の一種、純資産を企業価値とするものがありましたね。
で、純資産を企業価値とする場合を株主価値といいますが
株主価値は理論株価に発行済み株式数を掛け合わせることで
算出することができます。
ただ、「理論株価ってどうやって出すの?」と
思うでしょう。
で、理論株価を算出する方法にはいろいろありますが
今回のテーマである配当割引モデルが代表的です。
つまり配当割引モデルとは
理論株価を算出する方法のことです。
配当割引モデルの計算式について詳しく解説
配当割引モデルは前回の記事で解説した企業価値の株価バージョンと考えると
わかりやすいでしょう。
⇒⇒企業価値とは?3つの定義それぞれ解説
企業価値というのは未来に渡って利益を生み出していく元だと
解説しました。
株を買って株主になるのは「将来の配当を手に入れたいから」
と考えると、配当を生み出す元というのは今の株価だと考えることができます。
![配当割引モデル](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
上記図でDnは1株当たりの配当とします。は
Dnのnは1にも2にもなる、よく数学で登場するものと同じです。
だから上記図で言えば、D1、D2、D3みたいにnは変化します。
また、D1は1年目、D2は2年目・・・を意味しています。
![配当割引モデル](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
で、D1やD2の下に矢印がありますが、
矢印の長さが配当の大きさだと思ってください。
年度によって配当の額も違ってきますから
その年によって矢印の長さは違ってくるわけですね。
![配当割引モデル](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
そして、上記図のように各年度の配当を現在の価値に割引ます。
この割引いた額を合計したものを株価とするのが
配当割引モデルといいます。
ただ、上記株価を正確に予測することは難しいです。
なので、もっと簡単に理論株価を算出するモデルができました。
モデルは2つあります。
ゼロ成長モデルと一定成長モデルの2つです。
配当割引モデルの一つゼロ成長モデルとは?
![ゼロ成長モデル](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
ゼロ成長ということから成長しないという意味になりますが、
言い方を変えると、経営が安定している会社のことを指します。
安定している会社なら毎年同じ配当がもらえると仮定するわけです。
![配当割引モデル](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
上記図なら、D1もD2もD3も金額は同じと仮定するってことです。
これを計算式にすると
![ゼロ成長モデル](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
となります。
PV0は理論株価です。
で、D(1株当たりの配当)をr(割引率)で割ることで
PV0(理論株価)を算出しています。
ゼロ成長モデルの場合にはD(1株当たりの配当)は毎年同じだと
仮定しているので、上記計算式のようになります。
これによって理論株価がわかれば、
あとは理論株価×発行済株式数とすることで
企業価値を最終的には算出することも可能です。
配当割引モデルの一つ一定成長モデルとは?
一定成長モデルは『一定』という言葉が入っているように8%なら8%と
一定の数字に固定するモデルです。
一定の数字にすることで計算しやすくしているんです。
![一定成長モデル](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
一定成長モデルは上記の計算式になります。
上記計算式の注意点ですが、分子がD1となっているところです。
D1とは1年目の1株当たりの配当ということです。
で、D1を(r-g)で割ります。
rは割引率、g成長率です。
ゼロ成長モデルよりも一定成長モデルの方が
数値は大きくなりやすいですね。
なぜなら、分母でrを成長率のg分だけ引くわけなので。
分母は数字が小さい方が全体の数字が大きくなります。
たとえば2分の1と3分の1なら2分の1の方が大きいですよね。
これと同じでゼロ成長モデルにも存在する分母のrが
g分だけ小さくなるわけですから全体の数字は大きくなります。
これは当然ですね。
成長している方が、成長していないよりも
理論株価は大きくなるのはなんとなく理解できると思います。
以上で配当割引モデルについての解説を終わります。