参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
前回の記事ではAD曲線(別名、総需要曲線)が
どうして右下がりになるのか?解説しました。
⇒総需要曲線が右下がりになる理由
一般的なAD曲線なら右下がりにあります。
ですが、場合によってはAD曲線が垂直になることもあるんです。
この記事ではAD曲線が垂直になるケースについて
わかりやすく解説していきたいと思います。
AD曲線が垂直になるケース1.投資が利子非弾力的な場合
投資が利子非弾力的な場合、
AD曲線は垂直になります。
投資が利子非弾力的な場合っていうのは
投資が利子の変化に対して伸び縮みしない、要するに動かないという意味です。
このことを別の言い方で表現すると
投資の利子感応度がゼロとなります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
⇒なぜIS曲線が垂直になってしまうの?
では具体的にみていきましょう。
まずIS-LM曲線では垂直になったIS曲線を書き、
普段通りのLM曲線を書きましょう。
IS曲線が垂直になる理由はこちらで確認してくださいね。
⇒なぜIS曲線が垂直になってしまうの?
それから下側にAD曲線用に、縦軸が物価P、横軸が国民所得Yのものを
用意しておきましょう。
上記グラフの意味についてはこちらの記事で
解説しています。
⇒総需要曲線が右下がりになる理由
ここではLM曲線において
実質貨幣賃金率をMA(名目貨幣賃金率)/PA(物価)とし、
LMAとします。
すると上記グラフでIS曲線とLM曲線の交点が
利子率がrA、国民所得がYAのところとなります。
そもそも総需要曲線(AD曲線)はLM曲線とIS曲線の交点の
集合体ですからね。交点にこだわってください。
で、IS曲線とLM曲線の交点をEとしましょう。
このことを下側のグラフに反映させると上記のようになりますね。
ここで物価がPAからPBに下落をします。
すると実質貨幣供給量という全体の数字は
大きくなりますね。
分母の物価がPAからPBに下落したわけですから
全体の実質貨幣供給量は大きくなります。
そしてLM曲線は右シフトします。
つまり、LMAからLMBと右側へシフトします。
結果、財市場と貨幣市場が均衡する点は
EからE´になりますね。
すると、利子率はrAからrBに下がります。
がしかし、国民所得YAはYAのままですね。
つまり物価PAがPBに下落しても
財市場と貨幣市場が均衡する横軸はYAのままで変わりません。
ということはPAからPBに物価が下落しても
YAはYAのままですね。
このようなときには財市場と貨幣市場が同時均衡する
国民所得Yと物価Pの組み合わせの集合体であるAD曲線は
垂直になりますね。
これはどういうことか?といいますと、
投資が利子非弾力的な場合、
つまり、利子率が変化しても投資が変化しないケースだと
金融政策をして利子率を下げても投資が増えないから
国民所得が増えません。
投資をしてくれたら工事をしたり人を雇ったり
機械を買ったりして、結果、国民所得Yが増えるわけです。
でも、投資が利子非弾力的だと利子率が下がっても
お金を借りたりして投資しないわけです。
今回のケースも物価PAがPBに下落して
実質貨幣供給量が増えても国民所得Yが増えません。
だから、AD曲線が垂直になってしまうんです。
AD曲線の横軸は国民所得Yです。
国民所得Yが物価Pが下落しても増えないなら
横軸は変化しませんからね。
AD曲線が垂直になるケース2.流動性の罠
流動性の罠のケースでも
AD曲線が垂直になります。
流動性の罠について、
それからグラフについては
こちらの記事で解説しています。
⇒クラウディングアウト効果が起こらないケースについて解説
物価はPAとします。
次に物価PAがPBに下落したとしましょう。
すると物価が下がれば実質貨幣供給量は増加しますから
やはりLM曲線は右シフトします。
そしてIS曲線とLM曲線の交点はEAからEBになったとしても
同じ場所ですね。
変化しません。
ではAD曲線の方も見ていきましょう。
物価が下落してPBになっても
財市場と貨幣市場が均衡するYはYAのままですね。
なのでEAとEBを結びましょう。
やはりAD曲線は垂直になりますね。
以上でAD曲線が垂直になる理由は
物価Pが下落して利子率rが下がっても
国民所得Yが増えないケースで
具体的には流動性の罠のケースと投資が非弾力的なケースです。