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以前、インフレ供給曲線について解説したことがあります。
今回の記事ではインフレ需要曲線について
分かりやすく解説していきます。
インフレ需要曲線を理解するための前提知識
インフレ需要曲線もインフレ供給曲線と同じで
『インフレを需要する』という意味ではありません。
インフレ率版の総需要曲線(AD)のことです。
・インフレ率(物価上昇率)と失業率の関係
・総需要曲線の傾きを決める要因
・総需要曲線の求め方を例題を使って解説
・総需要曲線の導出|グラフを使って解説
・AD曲線が垂直になるケースをグラフを使って解説します
では総需要曲線(AD曲線)ってどんなものでしょう?
総需要曲線というのは何と何から導かれるものでしょう?
AD(総需要)というのはIS曲線とLM曲線の交点から求められるものが総需要(AD)でしたね。
ではISLM分析のエッセンスを数式で示してみますね。
ΔY=α(mーπ)+βg
ΔY=Y(今期)ーY(前期)
(今期と前期の国民所得の差、つまり国民所得Yの増分)
m、g:貨幣供給M、政府支出Gの変化率
α、β:正の定数
π:インフレ率
この数式はIS-LM分析、それからAD曲線のポイントを
抜き出して書いた数式になります。
上記式はIS-LM曲線のエッセンスを示したものです。
たとえばIS-LM、総需要ADを考えた時に、
貨幣供給Mを増やすと何が起こるでしょう?
貨幣供給Mを増やすとLMが右にシフトして国民所得Yが増えます。
貨幣供給Mを増やすとLMが右にシフトして国民所得Yが増える意味がわからい方はこちら
・LM曲線のシフト要因についてわかりやすく解説
それから国民所得Yが右シフトするとAD曲線も右シフトしますね。
国民所得Yが右シフトするとAD曲線も右シフトする意味がわからない方はこちら
・AD-AS曲線がシフトする要因について解説
あるいは政府支出Gを増やした場合、
IS曲線は右シフトして国民所得Yが増加(右)します。
政府支出Gを増やした場合、IS曲線は右シフトして国民所得Yが増加(右)する
意味がわからない方はこちら
・IS曲線のシフト要因まとめ
そういったことを
ΔY=α(mーπ)+βg
ΔY=Y(今期)ーY(前期)
(今期と前期の国民所得の差、つまり国民所得Yの増分)
m、g:貨幣供給M、政府支出Gの変化率
α、β:正の定数
π:インフレ率
の式に照らして考えてみましょう。
貨幣供給Mを増やすとか、政府支出Gを増やすというのは
貨幣供給の変化率mや政府支出の変化率gがプラスをとっているということです。
mやgがプラス、そしてαやβも正の定数なので
ΔY=α(mーπ)+βg
の式においてΔYもプラスになります。
ということは前期から今期にかけて国民所得Yが増加することを示したことになりますね。
それから物価水準が上昇するとIS-LMで何が起こりますか?
物価Pが上昇した場合は実質貨幣供給量が減少してしまいます。
だからLM曲線は左にシフトします。
LM曲線が左に動けば国民所得Yは減少しますね。
物価Pが上昇した場合は実質貨幣供給量が減少しLM曲線は左にシフトする理由は
こちらの記事の解説の逆を考えるとわかります
⇒総需要曲線が右シフトする要因
そして物価Pが上昇するということは
ΔY=α(mーπ)+βg
の式においてインフレ率πがプラスをとるということです。
インフレ率πの前にー(マイナス)がついていますから
全体を表すΔYはマイナスになります。
ということは前期から今期にかけて国民所得Yは減少することを意味します。
こんな感じでISLMで学んだ貨幣供給Mや政府支出G、
それから物価水準Pが国民所得にどんな影響を与えるのか?ということを式で表したのが
ここまで何回もお見せした、
ΔY=α(mーπ)+βg
ΔY=Y(今期)ーY(前期)
(今期と前期の国民所得の差、つまり国民所得Yの増分)
m、g:貨幣供給M、政府支出Gの変化率
α、β:正の定数
π:インフレ率
の式になります。
この数式を使ってインフレ需要曲線を求めていきましょう。
インフレ需要曲線の求め方
前期の国民所得$Y_{ー1} $、今期の国民所得をYとすると
ΔY=α(mーπ)+βgの式は
Y-$Y_{ー1} $=α(m-π)+βg
となります。
そして前期の国民所得$Y_{ー1} $を右辺に移項してみましょう。
Y=$Y_{ー1} $+α(m-π)+βg
となります。
この式をインフレ需要曲線といいます。
つまり、
Y=$Y_{ー1} $+α(m-π)+βg
$Y_{ー1} $:前期の国民所得
Y:今期の国民所得
m、g:貨幣供給M、政府支出Gの変化率
α、β:正の定数
π:インフレ率
です。
ではインフレ需要曲線をグラフにしてみましょう。
縦軸をπ(インフレ率)、横軸を国民所得Yとします。
するとπとYの間に入っている係数ですが、
αは正の値ですが、πの前に入っているのはマイナスなので
πとYの間には係数としてはマイナスの関係が成立しています。
係数がマイナスの場合、右下がりのものとして示されます。
それからインフレ需要曲線というのは
必ず通るポイントがあります。
それは前期の国民所得$Y_{ー1} $と
とそれからもう1つは貨幣供給の変化率mの2つの組み合わせです。
前期の国民所得$Y_{ー1} $と貨幣供給の変化率mの2つの組み合わせを
必ず通るような右下がりの線こそがインフレ需要曲線です。
どうして必ず通るのでしょう?
前期の国民所得$Y_{ー1} $や貨幣供給の変化率mは
前期にすでに決まっているものだから
この2つの組み合わせは必ず通るわけです。
ということはたとえば、貨幣供給の変化率mが縦軸でも上の方に変化したら
新しい組み合わせはどうなるでしょう?
となりますね。
なので新しい需要曲線は上のグラフのようになりますね。
ということでインフレ需要曲線は貨幣供給の変化率が上昇したら上にシフトすることになります。
ここでは政府支出Gの変化率gは入れずに解説しましたが
貨幣供給も政府支出Gも国民所得Yやインフレ率に与える影響は同じです。
なので政府支出Gの変化率gが変化した場合もmが増えた場合と同様に
インフレ需要曲線は上にシフトします。
なのでmもgもインフレ需要曲線がシフトに与える影響は同じです。
ということで貨幣供給の変化率や政府支出の変化率が上昇した場合には
インフレ需要曲線は上方にシフトします。
・右下がりである
・前期の国民所得$Y_{ー1} $と貨幣供給の変化率mの2つの組み合わせは必ず通る
・貨幣供給の変化率や政府支出の変化率が上昇した場合には
インフレ需要曲線は上方にシフト
です。
以上で解説を終わります。