参考文献・URL
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前回までの記事でAS曲線とAD曲線、
それぞれの導出方法について解説しました。
⇒AD曲線の導出をやっていきます
⇒総供給曲線(AS曲線)を導出してみます
今回はAD曲線とAS曲線をまとめて
AD-AS曲線として考えていきましょう。
AD-AS曲線がシフトする要因
AD-AS曲線のシフト要因を同時に考えると
複雑になります。
なので、AD曲線、AS曲線それぞれのシフト要因について
考えていきましょう。
AD曲線のシフト要因
まずAD曲線のシフト要因を考えるにあたって
IS-LM曲線を考えてみましょう。
AD曲線はIS-LM曲線をもとに作られた曲線ですからね。
⇒AD曲線の導出をやっていきます
IS-LM曲線において(r1,Y1)の点で均衡しているとします。
もしIS曲線が右にシフトしたら、
Y1がY2となるので、国民所得Yが増加していますね。
ところでIS-LM分析には前提があります。
物価Pは一定と言う前提です。
なので物価Pが一定でIS曲線が右シフトした場合、
国民所得が増加するってことです。
物価Pが一定で国民所得が増加するなら
AD曲線は右にシフトしますね。
AD曲線は縦軸が物価Pで横軸が国民所得Yですからね。
物価Pが一定で変化せず、横軸の国民所得Yだけが増加する訳なので
右シフトしますね。
よってIS曲線が右シフトしたらAD曲線は右シフトします。
結果、AD曲線は右にシフトします。
同様にLM曲線が右シフトすると、
やはり物価Pが一定で国民所得Y1がY3に増加するため、
AD曲線は右シフトしますね。
つまり、IS曲線が右シフトしてもLM曲線が右シフトしても
AD曲線は右シフトします。
逆にIS曲線が左シフトしてもLM曲線が左シフトしても
国民所得Yが減少するのでAD曲線は左シフトします。
AS曲線のシフト要因
次にAS曲線のシフト要因について
考えていきましょう。
ちなみにAS曲線は古典派とケインズ派で
違うんでしたね。
⇒総供給曲線(AS曲線)を導出してみます
古典派のAS曲線は垂直。
ケインズ派のAS曲線はこんな感じ。
でした。
シフト要因を考えるなら古典派の方が
グラフがシンプルなのでおすすめです。
で、古典派の場合、完全雇用国民所得(YF)だと考えます。
つまりみんな働いている状態です。
みんな働いている状態なので、
そう簡単に国民所得は増えないでしょう。
失業者が働くようになったら
明らかに国民所得が増えますけど、
古典派だとそう考えません。
ではどんな場合には国民所得Yが増えるのでしょうか?
たとえば会社の売上が上がるケースです。
どんな場合に会社の売上が上がるでしょう?
たとえばAIが普及し、
無人のコンビニが増えたりすることで
働いている人がいなくても売上が上がれば
国民所得Yは増えることになります。
Yが右にシフトするのでAS曲線も右シフトします。
他にも、今の日本は少子高齢化で
働く人口が減っています。
でも、人口が爆発的に増加し労働者人口が増えれば
古典派は完全雇用だと考えるので
みんな働くため、国民所得が増加し右シフトするでしょう。
逆に労働者人口が減ったり、効率が悪い経営者が増えると
国民所得が減り、AS曲線は左側にシフトするでしょう。
財政政策とAD-AS曲線の関係
拡張的財政政策をすると
IS曲線が右側にシフトするんでしたね。
⇒IS曲線のシフト要因まとめ
IS曲線が右シフトということは
先ほど解説しましたように①AD曲線も右シフトしますね。
そしてAD曲線が右シフトした結果、
②AS曲線との交点が移動するため、物価Pが上昇して
落ち着きます。
でも古典派だと最終的に
国民所得は変化しません。
ではケインズ派の場合はどうなるのでしょう?
まず①拡張的財政政策を行ったとします。
するとIS曲線が右シフトするので
⓶AD曲線も右シフトします。
そして⓷物価PがP1からP2に上昇し、
また国民所得YもY1からY2に増加します。
前回の記事では解説しましたがケインズはは
非自発的失業を認めています。
⇒総供給曲線(AS曲線)を導出してみます
非自発的な失業者が拡張的財政政策によって
雇用が生まれ、失業者が減るため国民所得Yが増加するわけですね。
金融政策とAD-AS曲線の関係
こちらのグラフは金融政策を行った場合における
LM曲線の変化です。
金融政策を行うと貨幣供給量が増加するため
LM曲線が右側にシフトするんでしたね。
⇒金融政策とは何か?わかりやすく解説
LM曲線が右シフトするとAD曲線も右シフトするんでしたね。
なので、古典派の場合、
拡張的財政政策をした場合と同様に国民所得は変化せず
物価Pが上昇します。
ケインズ派の場合も同様に
最終的には国民所得が増加し、
物価Pも上昇します。
したがって財政政策も金融政策も
AD-AS曲線の変化は同じになります。
つまり、古典派の場合、財政政策をしても金融政策をしても
ただ物価Pが上昇するだけで、国民所得Yが変化しないので無効となります。
そもそも古典派の場合、完全雇用が実現していると考えているので
財政政策や金融政策をする意味なんてないのは
なんとなくわかっていただけるでしょう。
でも、ケインズ派の場合には財政政策も金融政策も
物価Pが上がっても国民所得Yが増加するので
有効な政策といえるでしょう。