参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
金融政策とはどういうことなのでしょう?
まず専門的な金融政策の定義について解説したうえで
わかりやすく解説していきたいと思います。
金融政策とは?わかりやすく説明します
まず学問的な金融政策の定義ですが
金融政策とは中央銀行がお金を駆使して経済の安定や発展をはかるために行う
政策のことをいいます。
で、金融政策と似た用語に財政政策があります。
⇒財政政策とは?わかりやすく解説
財政政策は政府が行う政策です。
これに対して金融政策は中央銀行が行う点で違います。
で、中央銀行はマネーサプライを調整していくことになります。
マネーサプライのサプライは供給のことです。
だから、現実の経済に出回っている貨幣の量のことを
マネーサプライといいます。
要するに貨幣供給量のことですね。
式でいうと
マネーサプライ=貨幣乗数×ハイパワードマネー
となります。
マネーサプライについてはこちらの記事で
詳しく解説していますのでご覧ください。
⇒貨幣供給量の求め方をどこよりも分かりやすく解説
話を元に戻します。
中央銀行はマネーサプライを調整していくわけですが、
マネーサプライを増加させる政策もあれば
マネーサプライを減少させる政策もあります。
マネーサプライを増加させる政策のことを金融緩和策といい、
減少させる政策のことを金融引き締め策といいます。
現実社会に出回っているお金の量を
増やすことを金融緩和策といって
現実社会に出回っているお金の量を減らすことを
金融引き締め策っていうわけですね。
財政政策でも拡張的財政政策と緊縮的財政政策があったのと
同じようなものです。
金融政策って具体的にどうやって行っていくの?
マネーサプライ=貨幣乗数×ハイパワードマネー
でしたね。
なので貨幣乗数かハイパワードマネーのどちらか1つでも
増やすことができればマネーサプライを増やすことができます。
つまり金融緩和策を実行することができるわけですね。
逆に貨幣乗数かハイパワードマネーのどちらか1つでも
減らすことができればマネーサプライを減らすことができます。
つまり金融引き締め策を実行することができるわけです。
ではどうやって貨幣乗数を増やしたり
減らしたりすることができるのでしょうか?
貨幣乗数についてはこちらの記事で詳しく解説しているので
具体的に知りたい方は先にこちらをご覧ください。
⇒貨幣供給量の求め方をどこよりも分かりやすく解説
貨幣乗数の式は
=(現金預金比率+1)÷(現金預金比率+支払準備率)
でしたね。
貨幣乗数の式で中央銀行が操作できるのは
支払準備率だけですね。
現金預金比率は中央銀行が操作することはできませんからね。
なので金融政策として中央銀行が貨幣乗数を増減させるなら
支払準備率を操作することになります。
支払準備率とは預金のうち、日銀に預けないといけない割合のことです。
詳しくはこちらをご覧ください。
⇒貨幣供給量の求め方をどこよりも分かりやすく解説
話を元に戻します。
=(現金預金比率+1)÷(現金預金比率+支払準備率)
ですから支払準備率は分母にありますね。
分母の数字は大きければ大きいほど
全体の数字は小さくなりますね。
たとえば1/2と1/10があったとします。
分母が2と分母が10ですね。
この場合、分母が大きい方が全体の数字は小さくなるので
1/10の方が1/2より小さいです。
なので、支払準備率は分母にあるので
支払準備率が大きければ大きいほど貨幣乗数の値は小さくなります。
貨幣乗数が小さいということはマネーサプライは小さくなるわけです。
つまり支払準備率を小さくすると金融引き締め策となります。
マネーサプライ=貨幣乗数×ハイパワードマネー
でしたから。
また、支払準備率とは預金のうち、日銀(中央銀行)に
預けないといけない割合のことです。
これが大きくなるということは市中でまわす現金が小さくなるわけなので
その分、マネーサプライが小さくなることは想像できるでしょう。
逆に支払準備率を小さくすると貨幣乗数は大きくなります。
マネーサプライは大きくなるわけですから、
金融緩和策となるわけです。
ハイパワードマネーを増減させるには・・・
まず
です。
なので市中に流通している貨幣の量が増えるとハイパワードマネーは増えるということです。
また、
マネーサプライ=貨幣乗数×ハイパワードマネー
ですから、
ハイパワードマネーの増減によっても
マネーサプライを増減させることができます。
ところで日本銀行が債券を買うことを買いオペレーションといいます。
債券を買う場合、日銀は市中の銀行に現金を支払います。
結果、市中に存在する現金の量が増え
ハイパワードマネーが増えるわけです。
ハイパワードマネーが増えるということは
マネーサプライが増えるので、金融緩和策となります。
逆に日本銀行が債券を売ることを売りオペレーションといいます。
債券を市中の銀行に売るので、現金は市中の銀行から日銀に流れるわけですね。
市中の銀行が債券を買ったわけですからね。
お金を支払うのは市中の銀行になります。
となりと、市中の現金は減るので
ハイパワードマネーは減り、マネーサプライは減ることになるわけですから
金融引き締め策となるわけですね。
以上のような方法を日銀(中央銀行)がとることで
金融引き締め策を行ったり金融緩和策を行うことを
金融政策というわけですね。
金融政策の効果は・・・
まず前提としてIS-LM曲線の知識が必要です。
もし「IS-LM曲線って何?」という場合には
先にこちらの記事をご覧ください。
⇒IS-LM分析についてわかりやすく解説
で、こちらがIS-LM曲線です。
ここでもし貨幣供給量(M)を増やすと
以下の図のように貨幣供給曲線が右側にシフトします。
⇒貨幣供給量が増加・減少すると貨幣供給曲線はどうなる?
そしてLM曲線も右側にシフトします。
⇒LM曲線のシフト要因についてわかりやすく解説
日銀の金融政策によって(名目)貨幣供給量が増加した結果
LM曲線が右シフトします。
そしてISとLMの交点の位置にある均衡国民所得Y1は
Y2に増加し、均衡利子率r1はr2に減少します。
これは市中に出回る貨幣の量が増えるので
貨幣の価値が下がるからです。
なんでもそうですが、シャネルのカバンだって
世の中に出回っている数が少ないから価値が高くて
みんなほしがるわけです。
でも、シャネルのカバンがコンビニで買えるくらい
世の中に出回っていたら、「欲しい」という気持ちが薄れ
値段を下げないと売れなくなります。
これと同じことです。
お金が出回ったら、お金のありがたみが薄れてくるんですね。
お金の価値が下がるってことは
お金を借りてでも欲しいって気持ちも薄れます。
すると利子率は下げないとお金なんて借りようと思いませんね。
お金をそんなに欲してないのに利子が高かったら
「誰が金なんか借りるか!」となるに決まってますからね。
で、利子率が下がるってことは
「じゃ、ここで機械でも買って会社を作ろうか!」
と投資し始める人も出始めるわけです。
で、投資が増えるというのは需要が高まるってことでしたね。
⇒総需要の式について分かりやすく解説
投資が増え、需要が高まると国民所得は増えます。
⇒IS曲線とは?導出の仕方についてもわかりやすく解説
これを金融緩和策といいます。
逆に貨幣供給量を減らすとLM曲線は左にシフトし
最終的には国民所得Yが減少します。
これを金融引き締め策といいます。
<h2<金融政策をしても効果がないケース
金融政策をしても効果がないケースは
・流動性のわな
・投資が利子非弾力的
な場合の2つが考えられます。
流動性のわなのケース
流動性のわなは上記図でLM曲線が水平のところです。
もし貨幣供給量を増やしてLM曲線が右側にシフトしたとしても・・・
ISとLMの交点にある均衡国民所得自体は
変化しません。
なので金融政策をしても効果がありません。
これは金融緩和策をとっても利子率が変化しないから
投資も増えず国民所得が増えないからです。
投資が利子非弾力的なケース
投資が利子非弾力的なケースはIS曲線が垂直になります。
⇒なぜIS曲線が垂直になってしまうの?
また投資が利子非弾力的とは
利子が変わっても投資量が変わらないという意味です。
貨幣供給量を増やし、LM曲線を右側にシフトさせてみましょう。
上記のようにLM曲線が右シフトし、利子率は減少しましたが
投資が利子非弾力的なので投資が増えません。
そのため国民所得は増えません。
以上で金融緩和策に関する解説を終わります。