参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
寡占市場は小数の企業間で成り立っている市場でしたね。
⇒寡占市場とはどんな特徴をもつ市場なのか解説
ただ、寡占市場は小数であっても3社かもしれませんし
4社かもしれません。
ただ、3社や4社よりも
2社しかその市場に存在しない複占市場の方が
分析しやすいです。
クールノー均衡で複占市場について解説しましたが
2社だからこそ、グラフを使って分析できるわけです。
⇒クールノー均衡とは何か?生産量の求め方も解説
2社にすることでチェスとかオセロみたいな
ゲームみたいな感じで分析することができます。
これがゲーム理論の考え方になります。
ゲーム理論でまず重要なのがナッシュ均衡を
見つけることになります。
このナッシュ均衡の生みの親は
ナッシュさんです。
2015年に亡くなっています。
86歳でした。
ビューティフルマインドという映画があります。
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この映画はナッシュの人生を描いた映画です。
ちなみに同じタイトルでこちらもありますが
こちらはナッシュ均衡のナッシュさんとは
全く違いますのでご注意ください(苦笑)。
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話を元に戻してナッシュ均衡ってどういうものなのでしょうか?
ナッシュ均衡とはお互いが相手の戦略にしたがって
自分の利得を最大にする戦略の組み合わせのことです。
別の言い方をすると
ナッシュ均衡とはすべてのプレイヤーが
相手の戦略に対して最適になっている状態をいいます。
ゲーム理論では利潤という言葉を使わずに
利得という言葉を使うことが多いです。
⇒利潤と利益の違いについて具体例を挙げて解説
この記事では実際にゲーム理論のナッシュ均衡の問題を
解きながら解説していきたいと思います。
ゲーム理論・ナッシュ均衡の例題1
さっそく例題を一緒に解いていきましょう。
以下の利得表では、表の各項の左側の数字は会社Aの利得で
右側の数値が会社Bの利得とします。
たとえば上記表で、会社Aが現状維持で会社Bも現状維持のとき、会社Aの合計利得が8、会社Bの合計利得が14です。
また、会社Aが20%引きを選択し会社Bが現状維持を
選択した時、会社Aの合計利得が10、会社Bの合計利得が12という意味です。
それから、会社Aが現状維持を選択し、会社Bが20%引きを
選択した時の会社Aの合計利得が5、会社Bの合計利得が7です。
そして会社Aが20%引きを選択し、会社Bも20%引きを選択した時の会社Aの合計利得が13、会社Bの合計利得が15です。
それからナッシュ均衡とはすべてのプレイヤーが
相手の戦略に対して最適になっている状態をいいます。
なので、お互いが相手の戦略に対して最適になっているので
そこから動かないわけです。
だから落ち着くわけです。
このことを均衡といいます。
もう一度利得表をみてみましょう。
まず会社Aは現状維持を選択したとしましょう。
会社Bは現状維持を選択すると14、20%引きを選択すると7
となりますね。
14と7なら14の方が利得が大きいので
会社Bは必ず14の方を選びます。
つまり会社Bは現状維持を選びます。
会社Bが現状維持を選びました。
すると会社Aは現状維持の8を選ぶか、
20%引きの10を選ぶかといったら、
8より10の方が大きいので20%引きの10を選びます。
とすると、最初は会社Aは現状維持を選んだのに
20%引きに戦略を変更してしまいましたね。
なので、3番目として会社Aは20%引きを選びました。
すると、会社Bは現状維持の12と20%引きの15で
どちらを選ぶか?というと、12より15の方が
利得が大きいので、20%引きを選びます。
4番目として会社Bは20%引きを選んだわけです。
すると会社Aは現状維持を選択すると5
20%引きを選択すると13なので
20%引きの13を選ぶことになりますね。
で、ですね。3番目のときに
会社Aが20%引きを選んだら会社Bは20%引きを選びました。
で、4番目で会社Bが20%引きを選んだら会社Aも20%引きを選びました。
ということは、もし5番目として会社Aが20%引きを選んでも
また会社Bは20%引きを選びますし
6番目として会社Bが20%引きを選んでも会社Aだって
20%引きを選ぶので、動かなくなりましたね。
つまり均衡になりましたね。
ということはナッシュ均衡は
ピンクで囲ったところになりますね。
ゲーム理論・ナッシュ均衡の例題2
例題1でナッシュ均衡の解き方について解説しましたが
「よくわからないな」という方もいたでしょう。
なので、さらに別の例題を使って
ゲーム理論におけるナッシュ均衡の解説を
していきたいと思います。
以下の利得表では、表の各項の左側の数字は会社Xの利得で
右側の数値が会社Yの利得とします。
それぞれ相手の戦略を踏まえて考えていくわけですね。
もし会社YがA戦略を選択したら
会社XはA戦略を選ぶべきか、それともB戦略を選ぶべきか
どちらでしょうか?
会社XがA戦略を選択したら利得は3、
B戦略を選択したら利得は2となりますね。
3と2なら3の方が大きいので
会社XはA戦略を選択することになります。
つまり会社YがA戦略を選択したら会社Xも
A戦略を選択することになります。
今度は解く順序を変えていきますね。
いろんな解き方があることが分かった方が
ゲーム理論、ナッシュ均衡の理解が深まると思ったからです。
例題1では会社XがA戦略を選択した押して
会社YがA,Bどちらの戦略を選択するか、みました。
例題2では2番目に会社YがB戦略を選択した場合を
考えていきましょう。
会社YがB戦略を選択し場合、
会社XはA戦略の5か、B戦略の4か
どちらかを選ぶことになります。
会社Xは利得5のA戦略を選ぶことになりますね。
こんな感じで会社YがA戦略を選んでも
B戦略を選んでも、会社Xは確実にA戦略を選ぶことを
支配戦略といいます。
つまり会社Xの支配戦略はA戦略だといえます。
別の言い方をすると、どっちにしても
同じ方を選ぶことを支配戦略といいます。
例題1では支配戦略はなかったですね。
こんな感じで似たような問題でも
ちょっと違うところもあるのでご注意ください。
次に会社Xに焦点を当ててみましょう。
会社XがA戦略を選択したら会社Yは
A戦略、B戦略のどちらを選ぶでしょう?
会社YはA戦略を選んだら3、B戦略を選んだら1ですね。
3と1なら3の方が利得が大きいので
会社YはA戦略を選ぶことになります。
次に4番目として会社XがB戦略を選んだら、、、
会社YはA戦略7かB戦略4を選ぶことになります。
7と4なら7の方が利得が大きいので
会社YはA戦略を選ぶことになります。
ということは会社XがA戦略を選ぼうが
B戦略を選ぼうが、会社YはA戦略を選んだ方がよいわけですね。
なので、会社Yの支配戦略も会社Xと同じでA戦略となります。
ということは、会社Xも会社YもA戦略を選ぶということになります。
で、ナッシュ均衡とはすべてのプレイヤーが
相手の戦略に対して最適になっている状態をいいます。
問題を解くときの考え方としては
今みたいに解いてきたときに、同じ枠の中で
両方に四角や三角がついているものがナッシュ均衡ってことです。
なので、例題2では会社XがA戦略を選択して
会社YがA戦略を選択した場合がナッシュ均衡となります。
以上でゲーム理論におけるナッシュ均衡の解き方に
関する解説を終わります。