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1次試験

貨幣数量説とは?わかりやすく説明します




参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編

分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
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今回は(新)古典派の貨幣数量説とはどういう考え方なのか
わかりやすく解説していきます。

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(新)古典派の貨幣数量説とは?わかりやすく解説

貨幣数量説とは

ケインズさんが登場する前に古典派(新古典派)が貨幣数量説を提唱しました。
そもそも貨幣数量説とはどういう説なのでしょう?

日本銀行(中央銀行)がお金を増やしても物価水準が比例的に増える『だけ』だという考え方を
貨幣数量説といいます。

ところで

貨幣数量説には

・フィッシャーの交換方程式
・ケンブリッジの現金残高方程式

の2つがあります。

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ヘリコプターマネー

ヘリコプターマネー

ところでヘリコプターマネーという用語をご存じですか?

ヘリコプターを使って上空からお金をばらまくことで
景気がよくなるでしょうか?

ヘリコプターマネー

結論としては景気がよくなるとかの問題ではなく、意味がありません。

上空からお金をばらまいたら、
世間に存在するお金は増えます。

でも、このとき物価も比例して上がってしまうんです。

たとえばお金が降ってきて、
一般人がみんなお金をもらってみんなが持っているお金が2倍に増えたとしましょう。
すると物価も2倍に増えてしまうんです。

となると私たちの生活は変わりません。

たとえば、2020年ウイルス感染症の影響で不況になり、
政府は定額給付金10万円を国民全員に給付しましたね。

これをバラマキだと言われたりしますね。
こんな感じでお金をばらまいても、
物価も比例して上がってしまう可能性があります。

まぁ、2020年の給付金は本当に緊急時なので
意味があったかどうかは、今後の検証が必要
になりますけどね。

ただ、一般論としてお金のバラマキ(ヘリコプターマネー)は
物価も比例して上がるから意味がないと考えるのが古典派の貨幣数量説
です。

貨幣数量説というのは
中央銀行(日本銀行)が上空からお金をばらまいて、
貨幣供給量(マネーサプライ、私たち国民の現金・預金)が増加したとしても
物価が比例して上がってしまう『だけ』だと考える説のことです。

で、貨幣数量説を説明するものに、

・フィッシャーの交換方程式
・ケンブリッジの現金残高方程式

の2つがあります。

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フィッシャーの交換方程式

フィッシャーの交換方程式は

MV=PT
M:マネーサプライ(貨幣供給量)
V:(貨幣の)流通速度(一定)
P:物価水準
T:取引量(一定)

となります。

まずMは貨幣供給量(マネーサプライ)で私たちが持っている現金とか預金のことです。
マネーストック(マネーサプライ)とは?簡単にわかりやすく解説

Vは貨幣の流通速度です。
これは取引回数のことなので、
速度といっても時速何Kmでなく『何回』と回数で考えます
あと、Pは物価水準で、Tは取引量です。

たとえば、

文房具を購入

受験勉強のために文房具屋さんに行って100円のペンを10本買ったとしましょう。
もちろん、あなたは文房具屋さんに100円×10本=1,000円支払います。

1000円を銀行に預ける

1,000円受け取った文房具屋さんは、この1,000円を銀行に預けます。
まぁ、1日全体の売上を銀行に預けるのが一般的ですけど、ここは説明のために
売上の1000円を銀行に預けるとします。

次に、あなたは一生懸命受験勉強します。
中小企業診断士試験の勉強でもいいですし、公務員試験の勉強でもいいです。
10本のペンを全部使い切りました。

銀行

ペンが手元にありません。また文房具屋さんでペンを買わないと受験勉強が進みません。
でも、あなたは手元に現金がありません。
そこで銀行のATMに行って1000円お金をおろします。
また、1本100円のペンを10本買います。

1000円受け取った文房具屋さんはまた1000円を銀行に預けます。
こういったことを繰り返します。

で、この繰り返しを1か月間に5回やったとします。

これをフィッシャーの交換方程式に当てはめてみますと、

Vは5回、Pはペン1本の値段で100円、
Tは1回10本でこれを5回繰り返しているので10本×5回=50本となります。

よってフィッシャーの交換方程式より
MV=PT
M×5回=100円×50本
5M=5000
M=1000円
となりますね。

つまり、あなたはいつも現金で1000円持っていれば
今のサイクルは成立する
わけです。

ここまでを前提にして、

MV=PTの両辺をVで割りましょう。

フィッシャーの交換方程式を変形

となりますね。

ここでフィッシャーさんは「VとTはほとんど変化しない、一定でしょ!」
って考えたんです。

Vは1ケ月に5回という回数で、Tは1ケ月合計で50本という意味でしたね。
このVとTというのはほとんど変わらないはずだから一定だろうと考えたんです。

一生懸命勉強する受験生ならペンを毎月50本消費することに
変わりないでしょうというわけです。
習慣的なものですからね。

他にも毎月お米を10㎏食べる家庭なら来月も再来月も10㎏お米を消費するでしょうってことです。

とるすと、T/Vは一定なので定数だと考えることができますね。

たとえば50本/5回=10という数字が変わることはないでしょう。
だから定数だと考えるわけです。

よって、M=定数×P
となります。

するとMとPは比例しますね。
中学校で勉強したy=axのグラフの考え方と同じです。

xが増えたらyも増えますし、
xが減ったらyも減ります。

M=定数×Pで
定数が10とすると、
Pが5なら、M=10×5=50
Pが10なら、M=10×10=100

とPが5から10と2倍になったらMも50から100と2倍になってますね。
こういう関係を比例するっていいます。

つまり、先ほどのヘリコプターマネーで給付金などを日本国民全員に渡してM(マネーサプライ)を増やしても
物価Pも比例して増えるわけです。

なのでお金が2倍になっても物価も2倍に上がるので
私たちの生活は楽になりません。

物価が2倍

物価が2倍ってことは
昨日まで牛乳1Lを100円で買えたのが今日からは2倍の200円になるってことですからね。

あなたが1000円持っていたけど、
国から1000円もらって、手持ち資金が2倍の2000円になっても
牛乳などが2倍になったら牛乳を買える本数は変わらないですから。

1000円持っていて牛乳1L100円なら10本買える、
2000円持っていて牛乳1L200円ならやはり10本買える
ということなので、お金が2倍に増えても物価が2倍に上がったら何の変化もないってわけです。

こんな感じでフィッシャーの交換方程式により
お金が2倍に増えても、物価も2倍に上がるから意味がないことがわかりましたね。

一言で言うと、
フィッシャー方程式は貨幣供給量Mと物価Pは比例するってことです。
ただ、前提条件は忘れないようにお願いします。
前提条件はVとTは一定ということです。

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ケンブリッジの現金残高方程式

ケンブリッジの現金残高方程式は

M=kPY
Y:実質国民所得
k:貨幣の流通速度Vの逆数
P:物価

となります。

ケンブリッジの現金残高方程式ははケンブリッジ大学の大学院生が考えた方程式です。
お偉い教授が考えたわけではありません。

上記式を導いていきましょう。

まずは先ほどのフィッシャーの交換方程式
MV=PT
より、先ほどと同様に両辺をVで割ります。

フィッシャーの交換方程式を変形

となりますね。

Tは1ケ月でペンを50本取引しますよみたいな取引量のことでしたね。
このTと実質国民所得Yはほぼ同じような概念だとケンブリッジ大学の大学院生は考えました。

ちなみに実質国民所得Y=名目国民所得÷物価Pです
実質というのは物価で割るという意味だと思ってください。
そして実質になると単位は個数(円でなく数量)になります。
~個って感じです。

ということは実質国民所得も取引量も数量を表している点で同じだということになります。
実質国民所得が~本という単位なら取引量も~本という単位です。

すると、

フィッシャーの交換方程式を変形

の式のTを実質国民所得Yに変えてもほぼ同じだろうと考えました。
さらに、分母のV(1/Vということ)も見にくいからkで置き換えます。

TをKに1/Vをkに置き換えると
M=kPY
となりますね。

これがケンブリッジの現金残高方程式です。

で、kはもとは1/VでVそのものは一定なので、kも一定ですね。
なぜなら1/Vの1はどう頑張っても1でしかないので、Vの数字が変わらないなら
全体のk(1/V)も変わらない、つまり一定となりますから。

実質国民所得YはそもそもT(一定でした)のことなので、
一定となりますね。

とすると、M=kPYは
やはりMとPは比例関係にあるとわかります。
Yとkは一定ですからね。

これはフィッシャーの交換方程式と同じ結論ですね。

ちなみにkはマーシャルのkという事もあります。

続いて古典派の二分法について解説します。
古典派の二分法とは?わかりやすく解説