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なぜ待機児童は毎年増えていっているのでしょう?
たとえば東京都渋谷区の待機児童数は平成26年4月時点で120人でした。
ところが平成27年4月時点で252人に増えています。
待機児童が増える理由はいろんな視点から説明できます。
この記事では超過需要という経済学の用語を使って
待機児童が増える原因について解説したいと思います。
待機児童と超過需要の関係
まず超過需要とは何でしょう?
超過需要とは需要量が供給量よりも多い状態です。
需要量とは『買いたい』量、供給量とは『売りたい』量です。
ピンとこない方、詳しくはこちらの記事で解説しています。
⇒超過需要と超過供給の意味は?
要するに超過需要とは買いたい人の方が売りたい人よりも圧倒的に多い状態です。
買いたい商品やサービスが足りない状態です。物不足ってことです。
ここで待機児童の問題に戻ります。
保育園に入りたいという需要量が増えても、保育園の料金を上げればよいわけです。
値段が上がれば「保育園に入れるのはもったいないからやめよう」
と思う方が増えるため、待機児童数が減るはずだからです。
しかも保育料を上げれば保育園も儲かります。
ここは需要曲線と供給曲線の意味を理解しないと「?」となってしまうかもしれませんね。
⇒需要曲線が右下がりな理由とは?
⇒供給曲線が右上がりな理由とは?
とにかく値段は需要と供給のバランスで出来上がりますから
待機児童が増えれば保育料が上がって、ちょうどよいところで料金は固定されます。
保育料が高すぎたら、誰も保育園に入れようと思わなくなりますからね。
でも、待機児童は増え続けています
理由は保育料の大部分は税金で賄われていて
特に公立の保育園は値段を勝手に上げたり下げたりできないからです。
国や市町村の支配下に保育園は存在しているわけです。
たとえば公立保育園の保育料は毎月平均2万円です。
『平均』となっているのは、ご家族の年収によって保育料が変わるからです。
実際には1人あたり50万円くらい保育するのにかかります。
つまり平均して48万円足りません。
そこで1人あたり48万円の補助金を保育園はもらって運営しているのです。
とはいえ、月2万円の保育料はどう考えても安すぎるわけです。
補助金がなければ1人あたり48万円の赤字になるくらいですから。
だから需要量(保育園に入れたい)が供給量(保育園のサービスでお仕事したい)よりも、
どうしても多くなってしまいます。これが超過需要を改善できない理由です。
「じゃ、保育園を増やせばいいんじゃないの?」と思われたかもしれません。
保育園を増やすということは供給量を増やすことにつながりますから
その考え方は間違ってません。
ですが、保育園を増やそうとすると
年間で2兆円程度の税金を投入する必要があると言われています。
現在消費税を増税しないと国はやっていけないほど財政状態は悪いわけです。
だから2兆円の税金を使って保育園を増やすのは難しいでしょう。
最後にまとめますと待機児童が増える理由は
保育料が尋常じゃないくらい安いけど、それでも経営できているのは
国からの補助金で賄っているからです。
そのため、保育料を上げることができず
「保育料が安いからとりあえず自分の子どもを保育園に入れよう」
という方が増えてしまい、超過需要を生んでしまっているわけですね。