参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
景気循環の理論では
・価格が伸縮的か
・情報が完全かどうか
で派をわけることができます。
たとえば価格や物価が伸縮的で情報が完全を前提にしているのは古典派です。
これに対して価格や物価が硬直的なのを前提にしているのがケインズ派で
ヒックス=サミュエルソンの理論です。
それから物価や価格が伸縮的で情報が不完全なのを前提としているのが
マネタリストのフリードマンです。

この記事ではマネタリストのフリードマンにフォーカスして解説します。
フリードマンのk%ルールとは?
フリードマンは情報が不完全で物価や価格が伸縮的です。
伸縮的というのは価格の変動に対して素直に物価も変動するという意味です。
しかも情報が不完全です。
ですから短期的にみると裁量的な金融政策が実物経済に影響を与えるため
結果的に景気循環を引き起こすと考えます。
たとえば名目貨幣供給量を3倍にしたら
物価も3倍になるため商品の価格も3倍になります。
価格が3倍に上がるということは売上も3倍に上がるため
名目賃金率(お給料)も上がるわけです。
ここでフリードマンは情報は不完全という考えです。

労働者は「やったー!お給料が上がったぜ!」と喜ぶわけです。
情報が不完全、つまり物価が上がったからお給料が上がったと知らないわけですから。
たとえば物価が3倍になったとしたらお給料がいくら3倍になっても
世の中何も変わりません。
今まで100円で買えていたパンが300円になるわけですから。
とはいえ、時間とともに労働者もさすがに
「お給料が上がったのは物価が上がったからなんだ」と気づくわけです。
さすがに今まで100円で買えていたパンが300円になったら
「高い!」と感じるはずですから。
こんな感じでマネタリストのフリードマンは
金融政策が実体経済に影響を与えることを認めています。

ですが、ここからが本題です。
フリードマンは金融政策の効果がでるのに半年から2年くらいかかるといっています。
そうですね。
先ほど解説しましたが、金融政策をして給料が上がっても
労働者が意味に気づくのに時間がかかるわけですから。
そんなこともあって、金融政策をしてから効果が出るのに時間がかかるものの
焦って、さらに景気をよくしようといろんな政策をしてしまうと
かえって景気が過熱したりしてリスクもあるとフリードマンは主張しています。
やり過ぎてしまうってことです。
つまりフリードマンは裁量的な金融政策は結果的に経済を不安定化させると言っているわけです。

そこでk%ルールをマネタリストのフリードマンは主張しました。
k%ルールについて解説するために貨幣数量方程式をご紹介します。
貨幣数量方程式は以下の式であらわされます。
M=kPY
Mは貨幣供給量
kは定数なので一定
Pは物価
Yは完全雇用国民所得なので一定
です。
「完全雇用国民所得って何?」とよくわからない方はこちらの記事をご覧ください。
⇒完全雇用国民所得とは?
たとえば貨幣供給量Mを増やすとkとYは一定ですから
物価Pがひたすら上がることになります。
その結果インフレが起こります。

ところでM=kPYのPYは名目国民所得です。
なぜなら
実質国民所得=名目国民所得÷物価Pですから
物価P×実質国民所得Y=名目国民所得になるからです。
ということは名目国民所得PYが1%上昇したら
M=k×1%=k%
となるわけです。
これがk%ルールです。
「別に国が裁量的に金融政策を行わなくても
毎年k%だけ増えるくらいの貨幣供給量の増加でいいんじゃないか。
だって、裁量的に金融政策を行ったら景気が過熱したりすることがあるんだから」とフリードマンは主張しました。
要するに国が裁量的にいじらなくても自然に増える程度、
たとえば1%ならk%の方が景気にとっていいですよというのがk%ルールです。
フリードマンのk%ルール確認テスト

それでは中小企業診断士1次試験経済学の過去問を解いてみましょう。
平成17年度第8問
文中の下線部1について、k%ルールの説明として
最も適切なものはどれか。
ア 貨幣供給量を長期的な経済成長率にあわせて一定の率で増加させる政策
イ 公債を長期的な経済成長率にあわせて一定の率で増加させる政策
実際の問題は他にもウ、エ、オの肢がありますが省略します。
正解はアの肢ですね。
イの公債をが×です。
以上でフリードマンのk%ルールに関する解説を終わります。