参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
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今回は不完全競争市場の中でも独占市場に焦点をあてて
解説していきます。
不完全競争市場は完全競争市場の知識が前提になります。
なので、もし完全競争市場の記事をご覧になっていない方は
先にこちらをご覧ください。
⇒完全競争市場の4つの条件についてわかりやすく解説
⇒完全競争市場で利潤最大化するのはどんな時?
独占市場とは?4つの条件がある
独占市場とはどんな市場なのでしょう?
独占市場は不完全競争市場の一種です。
不完全市場のことを理解するために
まずは完全競争市場のことを理解しておいてくださいね。
⇒完全競争市場の4つの条件についてわかりやすく解説
独占市場は以下の4つの条件を満たす市場になります。
条件1
企業の数でみると完全競争市場ではたくさん存在していますが
独占市場だと1社しか存在していません。
条件2
独占市場の場合、製品は同質的です。
これは完全競争市場と同じですね。
同質的というのは以下のようなものをいいます。
たとえば地域で評判で、
一度食べたらやめられないほどおいしいドーナツ屋さんとか
コンテストで優勝経験のあるドーナツ職人もいます。でも同質的とはそういうドーナツを指しているわけではありません。
どのドーナツ屋さんも、みんな同じドーナツを販売しているのが
同質的という意味です。
また同質的な商品を作ることができる企業は当然
1社しかありません。
独占市場ですからね。
また1社しかその市場に存在しないので
自由に価格を決定することができます。
このことをプライスメーカーといいます。
価格を作るってことですね。
完全競争市場ではプライステイカーでしたね。
⇒完全競争市場の4つの条件についてわかりやすく解説
条件3
情報の完全性はあります。
これは完全競争市場と同じです。
情報の完全性とは商品に関する情報を
買う側も作って販売する側もよく知っている
ということです。
条件4
完全競争市場では新規参入は自由でした。
ですが、独占市場の場合、参入は不可能な状態です。
以上4つの条件を満たす市場を独占市場といいます。
独占市場における需要曲線
完全競争市場における需要曲線は
こんな感じで水平の直線でしたね。
なぜ完全競争市場における需要曲線は水平だったのか?
理由はこちらで解説しています。
⇒完全競争市場の需要曲線は右下がり?水平?
これに対して独占市場における需要曲線は
一般的なものと同じで右下がりになります。
どうして独占市場だと需要曲線は右下がりになるのでしょう?
まず独占市場における企業はプライスメーカーでしたね。
自社で自由に価格を決めることができます。
ただ、価格を思いっきり上げて儲けまくることが
できるのでしょうか?
そんなことはありません。
確かに1社しか存在しないから
お客さんはこの会社から商品を買うしかありません。
でも、「高いなら買わなくてもいいや」
と商品を買わなくなる人もでてきます。
だから、価格が高い(縦軸でも上の方)だと
買わない人が出てくるので数量Qは
0に近い数字になってしまうわけですね。
価格を下げれば下がるほど買ってくれる人が増えるので
数量が増えていくわけです。
だから独占市場における需要曲線は
右下がりになります。
こんな感じなので独占市場の場合、
価格をどれくらいにすると利潤を
最大化することができるのか?を検討していきましょう。
とその前に限界収入について解説します。
独占市場における限界収入
まず限界収入ってどういう意味か知ってますか?
詳しくはこちらで解説しています。
⇒限界収入(MR)とは何か?求め方についても解説
ここでは簡単に説明させていただきますと
限界収入とは1個増やしたら
いくら収入が増えるかを表したものです。
では独占市場における限界収入は
どんなグラフになるのでしょう?
限界収入は需要曲線の傾きの2倍になります。
すると数学の知識が必要になりますが
上記グラフの赤線のように長さが等しくなります。
ではどうして限界収入(曲線)は
需要曲線の傾きの2倍になるのでしょう?
限界収入とは1個増やしたらどれだけ収入が増えるか?でしたね。
たとえばまんじゅう1個だけなら200円だったけど
2個だったら160円になったとします。
だいたいまとめ買いした方が商品って安くなりますよね。
で、1個200円、2個買ってくれたら1個160円というときに
2個目だけが160円になれば問題ありません。
つまり2個買ったときに1個目は200円で2個目は160円でなく
2個とも160円になるってことです。
こんな感じで価格を下げると増やした分だけでなく
元の分も値段が下がってしまう分、
傾きが2倍になってしまうってことです。
独占市場における利潤最大化条件
先ほどのグラフに限界費用曲線(MC)を加えました。
限界費用曲線は右上がりになりますね。
限界費用について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
⇒限界費用とは?求め方についても解説
MC(限界費用曲線)と需要曲線の交点が
一番効率的です。
ただ、ここで数量が決まるか?というと
決まりません。
なぜ数量が決まらないのでしょう?
数量ってどうやって決まるんでしたっけ?
MR(限界収入)とMC(限界費用)が等しくなるところで
数量が決まるんでしたね。
これが利潤最大化条件です。
理由を解説すると相当長くなるので
こちらをご覧ください。
⇒完全競争市場で利潤最大化するのはどんな時?
で、MR=MCとなる点は以下のピンクのところです。
このときの数量をQ1としましょう。
すると価格はP1に決まりでしょうか?
独占市場の場合、
そんなに簡単に価格が決まるわけではありません。
完全競争市場では価格が一定だったので
簡単に価格が決まったわけです。
⇒完全競争市場で利潤最大化するのはどんな時?
でも独占市場は価格が一定ではありません。
プライスメーカーですからね。
独占市場における価格決定
Q1という数量だったら、P1でなく
もっと高い価格でも買ってくれそうです。
そこで、このように価格が決定されます。
上記のように数量はQ1における需要曲線上の
オレンジの点で価格が決定されます。
この点をP2としますね。
このP2のことを独占価格といいます。
需要曲線の需要はお客さんが欲しいという気持ちですから
P2でも商品は売れます。
また、以下の点のことをクールノーの点といいます。
クールノーの点とは独占市場において
価格が決まる点のことをいいます。
独占市場って非効率
独占市場って非効率です。
どういうことでしょうか?
社会的に見たら需要曲線とMCの交点上の数量が効率的です。
でも、独占市場なので数量が減ってしまっています。
これって非効率ですね。
本当はもっと作れるのに独占であるがゆえに
ある意味調子乗って会社は商品を作らないわけですから。
ちなみに以下の青線の部分は死荷重になります。
死荷重について、こちらで詳しく解説しています。
⇒外部不経済の余剰分析についてわかりやすく解説