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これからマクロ経済学を勉強していくうえで
三面等価の原則は重要です。
この記事では三面等価の原則でなぜ
生産=分配=支出
とGDPが一致するのか?解説していきます。
ですが、先に簡単に三面等価の原則って
どんな原則なのか説明します。
目次
三面等価の原則とは?
国全体の経済というのを経済学の世界では
3つの鏡に分けてとらえます。
三面鏡みたいな感じです。
たとえば三面鏡で笑顔の練習をしたり。
どこから見ても同じ笑顔が見れますね。
三面等価っていうのは見る方向は違います。
でも中身は同じ。これが三面等価です。
見る方向は違うけど、中身は同じ(金額は同じ)ってのが
三面等価の原則です。
なので、
・生産という鏡
・分配という鏡
・支出という鏡
という3つの鏡があるけど、
全部、金額が一致するというのが三面等価の原則です。
こんな感じで三面等価の原則というのは国民所得を3つの面から眺めるという話になります。
三面等価の原則:生産国民所得
生産という観点から見た国民所得をそのまま
生産国民所得といいます。
生産面から見た国民所得とは
具体的にどんな中身を持つものなのでしょう?
生産活動です。
生産国民所得=生産活動によって生み出される付加価値の総額
となります。
生産によって生み出されるものが付加価値。
その総額が国民所得です。
なので生産国民所得とは付加価値の総額のことになります。
三面等価の原則:分配国民所得
次に別の側面で見ると分配国民所得もあります。
分配国民所得というのは付加価値をどのように分配するか?(分けるか?)という話です。
たとえばホットドッグを1個100円で売るとして仕入れが60円の仕入れがかかっているなら
1個売れるごとに40円の利益になりますね。
40円がお店の懐に入るわけです。
でも、厳密には40円丸々自分の懐に入るわけではありません。
なぜならホットドッグ屋さんのお店の取り分だけでなく
ホットドッグ屋さんの社長の給料も必要だからです。
会社の40円の利益は会社の利益と社長(店長)の給料や従業員の給料などに分配されることになるわけです。
つまり利益の40円をいろんな人と分け合うことになります。
これが分配という観点からみた国民所得です。
では具体的にどんな風に分けられるのでしょう?
分配国民所得=雇用者所得+営業余剰+(間接税ー補助金)+固定資本減耗
雇用者所得:働いてくれたみんなの取り分
営業余剰:お店の取り分
(間接税ー補助金):政府の取り分
固定資本減耗:簡単にいうと生産設備のこと
となります。
(間接税ー補助金)を簡単にいうと政府の取り分ということです。
なぜ政府が登場するのでしょう?
さきほどホットドッグ1個100円で販売するっていいましたね。
でもこの100円というのは実はお店が丸々取るわけではありません。
100円のうちの10%分は消費税になります。
あなたが普段、買い物をするとき必ず『税』と書いてあって
10%分の税金は政府に納めることになります。
消費税は分類的には間接税と呼んでいます。
消費税だけでなく様々な税金がこのホットドッグ100円の中に含まれています。
それらはすべてお店ではなく、
あるいは従業員だけでなく政府の懐に入るわけです。
なので間接税というのは政府の取り分になります。
一方、補助金というのは税金の逆で
政府、行政側から私たち国民に渡されるお金のことです。
たとえばホットドッグ屋さん。
ホットドッグ補助金なんてないかもしれませんが
仮にあったとしましょう。
ホットドッグ1本売ったら10円補助します。
みたいなホットドッグ振興策が政府からあったとしましょう。
するとお客さんに本来110円で売らないといけないところを
10円分安く売ることができます。
10円分政府が補助金として肩代わりしてくれるからです。
この場合、政府からは10円分お金が出て行ってしまいますね。
だとすると入ってくるお金と出ていくお金の差額が
純粋な政府の取り分になるので間接税と補助金の差額分が政府の懐に残るお金になります。
それから固定資本減耗ですが、
固定資本という言葉は経済学ではよく出てくる言葉です。
わかりやすくいうと生産設備のことです。
生産設備=固定資本
ということです。
ホットドッグ屋さんならホットドッグを焼くための調理道具が固定資本です。
それから固定資本減耗の『減耗』は『すり減ること』です。
たとえばホットドッグを焼くための調理道具って
いつかは壊れますよね。
たとえば100万円で調理器具を購入したとしましょう。
だいたい10年くらいで使えなくなるとしましょう。
だとすると使えなくなるとホットドッグ屋さんを経営できません。
だから毎年10万円ずつ積み立てていきます。
すると10年後には100万円が貯まっているから
新しい調理器具に交換することができますね。
では毎年積み立てる10万円っていったいなんでしょう?
この10万円というのは調理器具の取り分です。
調理器具を人間とみなしたら調理器具さんのお給料みたいなものですよ。
調理器具が1年間、一生懸命働いた。
だから10万円積み立てておこう。
これが10年続けば100万円貯まって新しい調理器具にチェンジすることができます。
というふうに固定資本減耗というのは買い替えのための積立金のことです。
この積立金の分というのは調理器具が一生懸命働いてくれたことに対する見返りです。
だから取り分は全部で4つあります。
・雇用者所得(働いてくれる従業員たち)
・営業余剰(お店)
・間接税ー補助金(政府)
・固定資本減耗(買い替えのための積立金、生産設備)
で、この4者でホットドッグ1個売れたときの利益40円分を分けあうことになります。
三面等価の原則:支出国民所得
とても大事な式になるのでよく覚えておいてほしいのですが、
支出国民所得=民間消費+政府消費+固定資本形成+在庫品増加+(輸出ー輸入)
となります。
上記式で示されたものを支出国民所得といいます。
上記式で民間消費というのは民間人がどういったことにお金を使ったか?ということです。
政府消費というのは私たち民間人が消費するのと同じように政府がした買い物のことです。
それから固定資本形成というのは
分配国民所得のところで解説した固定資本減耗に該当した生産設備を作ることです。
・お店が新しいホットドッグの調理器具を購入してくれた
・調理器具を買い替えた
・新しい店舗を増やした
などが該当します。
それから在庫品増加というのはお店にある在庫のストックが増えていくことです。
どれくらい在庫が増えたか?ってことです。
それから(輸出ー輸入)ですが。
輸入は外国からみて日本のものをどれくらい購入したか?を表し
輸入とは外国から日本がどれくらい購入しているかを表します。
なので輸出から輸入を引き算すると
外国が純粋にどれくらい購入したか?を計算することができます。
ちなみに(輸出ー輸入)は問題によって用語が変わることがあります。
(輸出ー輸入)を純輸出と呼ぶ場合もあります。ご注意ください。
支出というのは『どんなことにお金が使われたのか?』ということを意味しています。
三面等価の原則ではなぜ生産、分配、支出と全部金額が同じになるの
ではなぜ三面等価の原則では
生産、分配、支出と全部金額が同じになるのでしょう?
上記図のように生産という鏡と分配という鏡と支出という鏡。
この3つの鏡が最終的には全部イコールになってしまうというのが
三面等価の原則です。
つまり、
生産額=分配額=支出額
ということです。
たとえば、生産額500兆円だったとしましょう。
で、あなたは缶詰の工場で缶詰を製造しているスタッフだとしましょう。
これは生産です。
経済は物を作らないと話になりません。
なのでまずはスターバックスでコーヒーを出すとか
車を作るとか、みんな生産活動です。
会社として生産したら売上が上がりますね。
これがお給料という形で労働者に分配されます。
今、日本のGDPは約500兆円です。
この500兆円のGDPが会社の売上となり
労働者にお金が分配されるので、
この時点で生産と分配という鏡がイコールになります。
生産=分配です。
次に分配されたお金(お給料)ですが。
労働者にも家庭(家計)があります。
もらったお給料はスマホ代金の支払や車のローンに当てられたり
イオンなどのスーパーで魚やお肉を買ったりします。
こんな感じで家計のお金は支出に当てられるわけです。
こうやって経済は回っています。
まず会社で物を作ります(500兆円分)。
そして売り上げになり、労働者にお金が給料として分配されます。
この分配されたお金も500兆円です。
生産=分配です。
そして分配されたお給料でスマホ代金を支払ったり
魚を買ったりするので、支出に使われます。
支出する先は会社ですね。
なので生産、分配、支出をグルっと1週まわって
イコールになっています。
だから生産、分配、支出の金額はイコールになると考えるんです。
これが三面等価の原則です。
ですが、この説明を聞いて違和感であったり
非現実的だと感じる方も多いでしょう。
なぜなら会社で作った商品って
全部売れるのでしょうか?
なので、作った商品が全部売れて
しかもそのお金を全部労働者にお給料として
渡すと考えるのって無理があるでしょう。
普通、お店って在庫を抱えますね。
作った缶詰だって、売れ残ってしまうこともあるでしょう。
在庫として残ってしまうわけです。
在庫があっても三面等価の原則が成り立つのでしょうか?
続きは以下をクリックしてご覧ください。
⇒三面等価の原則が非現実的である点について
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