参考文献・URL
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前回の記事では絶対優位と絶対劣位について
例題を挙げて解説しました。
⇒絶対優位とは?例を挙げてわかりやすく解説
絶対優位と比較優位では
以下の表で、結果が違ってきます。

自動車もウールもどちらも
X国が絶対優位でしたね。
だから絶対優位の考え方だと
そもそも輸出入が起こりませんでした。
では比較優位説ではどうなのでしょう?
比較生産費説とは?例題を使って解説
比較生産費説とは国内の生産要素で比較する考え方のことです。

なので、比較生産費説だと、まずX国の場合、自動車とウールで
比較することになります。
どういうことか?というと、まず自動車の2をウールの3で割ります。
2÷3をします。すると2/3となりますね。
これは何を意味しているのでしょう?
意味としてはX国では自動車を生産するのに
ウールの2/3の人数で作ることができるということです。
ではウールを計算してみましょう。
ウールの場合、3÷2=3/2
X国にとってウールを作るのに自動車を作るよりも
人が3/2必要だという意味です。
こうやって全部計算していきましょう。
以下の図のようになりますね。

Y国では自動車を作るのにウールの7/5の人数が必要で
ウールを作るなら自動車の5/7の人数が必要だとわかります。
こんな感じでまず最初に自国内の生産要素で比較をします。
こうやって比較生産費を計算したら同じ財ごとに
生産費を比較していきましょう。
するとまず自動車。
自動車はX国の2/3とY国の7/5を比較しますから
X国の2/3の方が小さいですね。
ウールだとX国の3/2とY国の5/7を比較するので
Y国の5/7の方が小さいですね。
今やったのは機会費用の比較です。
たとえばX国にとってウールを作るということは
自動車を作る代わりに、ウールを作るために働かせていると考えます。
別の言い方をすると自動車を失う代わりに
ウールを作っているわけです。
であるなら、自動車を作っている方が
効率がよいと比較生産費説では考えます。
一点集中ってやつです。
効率がよい、結果が出る方にフォーカスすることで
最大限の利益が生まれると考えるのが
比較生産費説です。
一方Y国にとってはウールを作るほうが
X国より効率がよいですね。
比較生産費説とは?例題の解答

自動車の場合はX国の2/3とY国の7/5を比べるので
数字が小さいX国の2/3が比較優位となります。
ウールはX国の3/2とY国の5/7を比べて
数字が小さいY国が比較優位となるわけです。
そして比較優位な方を輸出して
比較劣位(自動車ならY国、ウールならX国)を輸入することになります。
例題の解答としては
X国では自動車を輸出してウールを輸入し
Y国では自動車を輸入してウールを輸出する
となります。
こんな感じで比較優位説では生産するのに効率が良い方に特化して
お互いの国にとってプラスになるようなやりとりをすることになります。
絶対劣位と絶対優位とはまったく結論が違いますね。
⇒絶対優位とは?例を挙げてわかりやすく解説
比較生産費説|例1
ここまでの解説で「わかりにくかった!」
と感じた方もいるでしょう。
そこで別の例を挙げてみますね。

たとえば上司と部下の関係。
たとえば上司がX国、部下がY国と考えてみてください。

上司はその会社では部下よりも経験が長いし
社長からも認められています。
なので、その会社のどんな業務であっても
部下より効率よくこなすことができるでしょう。
これが絶対優位です。
⇒絶対優位とは?例を挙げてわかりやすく解説
ただだからといって部下に仕事をさせないと
上司もやらないといけない仕事が増えすぎるので
全部の仕事を終わらせるのに相当時間がかかってしまうでしょう。
また、部下は何も仕事をしないので
成長しません。
だからいつまでたっても、上司の仕事が減りません。
だから
上司にしかできないような重要な仕事をやり
そのほかの仕事は部下にやらせる。
これが比較優位説の考え方です。
比較生産費説|例2
他にも例を挙げてみます。
あなたが結婚しているとして料理の役割分担について
考えてみましょう。
調理するってことを考えると妻の方が
おいしい料理を作れるし、早く料理ができるかもしれません。
ただだからといって旦那さんはコタツで寝転がりながら
熱燗片手にお笑い番組を見ているより
料理に必要な具材を買いだしに行った方が
夫婦どちらにとっても効率的でしょう。
奥さんが重いものを持つより
おそらく旦那さんが重いものを持つ方が効率的でしょうから。
ここでは調理するスキルは奥さんが比較優位だけど
重いものをもつのは旦那さんが比較優位だという例になります。
あくまで一例です。
世の中には奥さんの方が力持ちで
旦那さんの方が料理がうまいご家庭だって
たくさんあるはずですから。