参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
今回は内需拡大策についてわかりやすく
解説していきたいと思います。
ですが、内需拡大策について理解するためには
ISバランスアプローチ(貯蓄投資バランスアプローチ)
の理解が必須です。
まだご覧になっていない方は
先にこちらをご覧ください。
⇒ISバランスアプローチについて例題を使ってわかりやすく解説2
内需拡大策とは?
ISバランスアプローチの式は
EX(輸出)-IM(輸入)=(S(貯蓄)-I(投資))+(T(租税)-G(政府支出))
でしたね。
内需拡大策について理解するために
1980年代の日本の話をします。
1980年代の日本は思いっきり貿易黒字だったんです。
つまりEX-IMが思いっきりプラスってことです。
これは(S-I)が大きかったから。
日本国内における貯蓄の方が投資よりも
圧倒的に大きかったんですね。
ただ(T-G)は赤字でした。
今のトランプさんもそうですが、
当時のアメリカも(EX-IM)という日本の貿易黒字を
減らさせようとしました。
ISバランスアプローチの式
EX(輸出)-IM(輸入)=(S(貯蓄)-I(投資))+(T(租税)-G(政府支出))
で、EX-IMをマイナスにするために
右辺のS-Iをマイナスにさせようとアメリカは提案してきたのです。
つまりS(貯蓄)を減らしてI(投資)を増やしなさいとことです。
さらに、T-GのうちG(政府支出)を増やすようにもいってきました。
ところでお給料は税金を払った後、お菓子代などに消費し
残ったお金は貯金に回りますね。
なので、S(貯蓄)を減らすために
C(消費)を増やせばよいわけです。
つまり、C(消費)とI(投資)とG(政府支出)を
増やせば、EX-IMは小さくなるということ。
ところで
総需要Y=C+I+G+EX-IM
です。
「この式、よくわからないな」という方は
コチラの記事をご覧ください。
⇒総需要の式について分かりやすく解説
総需要Y=C+I+G+EX-IM
ですが、
EX-IMは外国からの需要なので外需、
C+I+Gは国内での需要なので内需といいます。
で、アメリカは「日本の貿易黒字をなくすてめに
内需を拡大しなさい」と言ってきたんですね。
内需拡大=C+I+Gの増加
ということです。
C+I+Gが増加すれば
ISバランスアプローチの式
EX(輸出)-IM(輸入)=(S(貯蓄)-I(投資))+(T(租税)-G(政府支出))
からEX-IMが減少し、貿易黒字が解消されるので
アメリカ側が貿易黒字になりやすくなるわけです。
日本が貿易黒字になればアメリカは貿易赤字になりやすいですね。
アメリカのEX(輸出)が増える=日本のIM(輸入)が増える
アメリカのIM(輸入)が増える=日本のEX(輸出)が増える
と考えていただければわかりやすいでしょう。
こういう理屈を内需拡大策といいます。
でも多くの学者は内需拡大策に異論を呈しました。
内需拡大策の問題点
なざえ多くの学者は内需拡大策に異論を呈したのでしょう?
そもそも
ISバランスアプローチの式
EX(輸出)-IM(輸入)=(S(貯蓄)-I(投資))+(T(租税)-G(政府支出))
は三面等価の原則からできているんです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
⇒ISバランスとは?わかりやすく解説します
三面等価の原則は統計上の原則であって
売れ残ったものは作った企業が買ったとして
つじつまが合うように操作しているだけなんです。
だから三面等価の原則は実際に起きたことを数値化したわけではないので
正確な数字ではありません。
つまり統計上、つじつまを合わせただけの式から
ISバランスアプローチの式
EX(輸出)-IM(輸入)=(S(貯蓄)-I(投資))+(T(租税)-G(政府支出))
を導き出し、内需拡大策を論じても意味がないのではないか?
と考えられているんです。