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1次試験

総合原価計算の平均法と先入先出法について平成18年の過去問で解説




中小企業診断士1次試験の財務・会計では
総合原価計算がよく出題されています。

計算問題でも原価計算の問題って結構わかりにくいですね。
ブログ管理人の私もかなり苦労しています(苦笑)

個人的には平成18年第8問の問題がすごく難しくて
1日悩んだ経験があります。

そこでここでは平成18年第8問の過去問を用いて
総合原価計算の平均法と先入先出法について考えていきましょう。

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総合原価計算の平均法と先入先出法について

中小企業診断士1次試験財務会計平成18年第8問より

M社は甲製品を単一工程で大量生産している。
材料はすべて工程の始点で投入している。
月末仕掛品の評価は平均法による。

次の資料は甲製品の当月分の製造に関するものである。
当月分の甲製品の完成品原価として最も適切なものを下記の解答群から選べ。
(単位:千円)

注意:()は加工進捗度

数量データ

月初仕掛品:900㎏(35%)
当月投入 :1,100
合計   :2,000㎏

月末仕掛品:800(50%)
完成品  :1,200㎏

原価データ

直接材料費

加工費

月初仕掛品

7,000千円

1,600千円

当月製造費用

9,000千円

6,400千円

ア 8,400
イ 15,600
ウ 16,250
エ 18,400

以上で過去問題の引用終了

平成18年第8問は平均法が問われています。
この記事では平均法と先入先出法の両方の説明をします。

まず平均法ですがこちらの画像をご覧ください。

平均法

平均法は月初仕掛品と当月投入を足した平均値を
完成品と期末仕掛品に反映させる方法です。

これに対して先入先出法はこちらの画像をご覧ください。

先入先出法

先入先出法の場合には先に月初仕掛品を使って製造します。
また月初仕掛品では足りないから当月投入するわけです。

そう考えると月初仕掛品はすべて完成品に反映されます。
当月投入はある程度までは完成品になりますが、余りもでます。

当月投入の余りが期末仕掛品に反映されるわけです。

つまり月初仕掛品が期末仕掛品に反映されることはありません。

ここまで踏まえて平成18年第8問を一緒に解いてみましょう。

まず平均法で解いてみます。

直接材料費の計算(平均法)

平均法

月初仕掛品が900㎏で7,000千円、
当月投入が1,100㎏で9,000千円です。

それから月末仕掛品が800㎏、完成品が1,200㎏です。

ということで平均法は月初仕掛品と当月投入の平均を
完成品や月末仕掛品に反映させるわけですから・・・

1100㎏+900=2000Kg
7000千円+9000千円=16000千円

16000千円÷2000㎏=8千円/kg

1㎏あたり8千円ということですね。

なので完成品原価は1200㎏でしたから1200㎏×8=9600千円
ということです。

加工費の計算(平均法)

平均法

月初仕掛品の加工進捗度が35%です。
なので900㎏×35%=315㎏

315㎏に対して上記表より月初仕掛品の加工費は1,600千円ということです。

それから当月投入はここで何㎏か不明です。

完成品は1200㎏です。
月末仕掛品が800㎏で加工進捗度が50%ということは
800㎏×50%=400㎏。

なので当月投入は1200㎏+400㎏-315㎏=1285㎏

ということで
月初仕掛品+当月投入=315㎏+1285㎏=1600㎏
1600千円+6400千円=8000千円

したがって
8000千円÷1600㎏=5千円/kg

1㎏あたり5千円ということなので
完成品原価は1200㎏×5千円=6,000千円
ですね。

ということは直接材料費の完成品原価+加工費の完成品原価は
9,600千円+6,000千円=15,600千円。

よって正解はイの肢となります。

続いて先入先出法で平成18年の第8問の問題を解いてみましょうか。

もう一度問題を掲載しますね。

中小企業診断士1次試験財務会計平成18年第8問より

M社は甲製品を単一工程で大量生産している。
材料はすべて工程の始点で投入している。
月末仕掛品の評価は平均法による。

次の資料は甲製品の当月分の製造に関するものである。
当月分の甲製品の完成品原価として最も適切なものを下記の解答群から選べ。
(単位:千円)

注意:()は加工進捗度

数量データ

月初仕掛品:900㎏(35%)
当月投入 :1,100
合計   :2,000㎏

月末仕掛品:800(50%)
完成品  :1,200㎏

原価データ

直接材料費

加工費

月初仕掛品

7,000千円

1,600千円

当月製造費用

9,000千円

6,400千円

ア 8,400
イ 15,600
ウ 16,250
エ 18,400

以上で過去問題の引用終了

上記の平均法と書いてあるところを先入先出法と読み替えてください。

直接材料費(先入先出法)

先入先出法

まず月初仕掛品900㎏で7,000千円はすべて完成品原価に反映されます。
それから完成品は1200㎏ですから、残り1200㎏-900㎏=300㎏は
当月投入が反映されるわけです。

ところで当月投入は1100㎏で9000千円です。
このうち300㎏が完成品原価に反映されるので

(9000千円÷1100㎏)×300㎏=約2455千円

したがって完成品原価は9,000千円+2,455千円=11,455千円となります。

加工費(先入先出法)

先入先出法

 

先ほどの平均法から月初仕掛品が315㎏で1,600千円
当月投入が1285㎏で6,400千円でした。

ということで加工費の完成品原価は1,200㎏です。
月初仕掛品の315㎏と残り1200㎏に達するまでの当月投入分を
完成品原価に反映させればよいわけです。

まず月初仕掛品は1600千円。
それから当月投入ですが
1200㎏-315㎏=885㎏分だけ当月投入が完成品に反映されます。

なので(6400千円÷1285㎏)×885㎏=約4408千円

したがって先入先出法だったら完成品原価は
11,455千円+4,408千円=15,863千円となります。

以上で原価計算の平均法と先入先出法の計算方法についての解説を終わります。