財務会計では資金調達手段について問われるケースがあります。
以下、詳しく解説していきます。
株式会社の資金調達手段について
株式会社の資金調達手段は
・外部金融
・内部金融
の2つがあります。
外部金融とは企業の外から資金を調達することです。
さらに外部金融には
・直接金融(株式発行や社債発行)
・間接金融(日本政策金融公庫などからお金を借りること)
・企業間信用(買掛金など)
があります。
特に直接金融の株式発行は株式会社特有の資金調達手段といえるでしょう。
それから内部金融とは企業内部で資金を留保することです。
内部金融には
・株式会社の活動で得られた利益
・減価償却費
などがあります。
以上を踏まえて中小企業診断士の過去問を解いてみましょう。
中小企業診断士1次試験財務会計平成21年第12問より引用
資金調達手段の説明として、最も不適切なものはどれか。
ア 株式発行による調達は、長期資金であり外部金融である。
イ 企業間信用による調達は、長期資金であり外部金融である
ウ 減価償却による調達は、長期資金であり内部金融である。
エ 利益の内部留保による調達は、長期資金であり内部金融である以上で引用終了
過去問で長期資金という専門用語がわかりにくかったかもしれません。
長期資金というのは1年以上動かない資金のことだと思ってください。
たとえばアの肢で株式発行を一度したら1年以内に話が終わるわけありません。
株式は中小企業の場合、
長期保有する方がほとんどですから。
デイトレ目的で株式を購入する方は中小企業では考えにくいです。
ウの肢の減価償却も機械を購入して毎年減価償却していくわけで
1年で終了とはなりません。
エの利益の内部留保も1年以内に利益を食いつぶす会社って
未来がありません(苦笑)。
だから利益の内部留保も長期資金です。
ではイの肢はどうでしょう。
企業間信用による調達は買掛金が考えられます。
買掛金はたとえば文房具屋さんならペンを卸業者から仕入れたら
普通は、その場で仕入れ代金を支払うことはありません。
ペンを仕入れたらたいてい1か月後くらいに
他の仕入れた商品の代金と一緒に業者さんに支払います。
だから仕入れてから支払うまでの間にお客さんにペンを売ってお金に換え、
利益を得た後に卸業者にお金を支払えばよいわけです。
そういった意味で買掛金は資金調達手段の一つと考えることができます。
こんな感じでその場で支払わずに後日に支払うお金を買掛金といいます。
つまり買掛金は1年以上支払いを猶予してくれるわけがありません。
したがって買掛金は長期資金ではなく短期資金です。
したがって正解の不適切な肢はイです。
以上で株式会社における資金調達手段についての解説を終わります。