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この記事では自由貿易協定と関税同盟の違いについて
中小企業診断士試験の過去問題を使って解説していきます。
自由貿易協定と関税同盟の違い
中小企業診断士1次試験経済学平成18年度第10問より引用
地域経済連合に関する記述として最も適切なものはどれか
ア 関税同盟は、域内貿易の自由化を推進する一方で、
域外に対しては加盟国が独自の貿易政策を発動するという特徴を持つ。イ 共同市場は、関税同盟を基盤として、
労働や資本など生産要素の域内自由移動を認めるという特徴を持つ。ウ 経済同盟は、自由貿易協定を基盤にして、
マクロ経済政策の協調を図るという特徴を持つ。エ 自由貿易協定は、域内貿易の自由化を推進し、
域外に対しては加盟国が共同で貿易政策を発動するという特徴を持つ。以上で引用終了
まず地域経済統合とは関税などの貿易の障がいとなるものを取り除くことです。

B・バラッサ先生によると地域経済統合は統合の弱い順に
自由貿易協定
↓ ↓ ↓
関税同盟
↓ ↓ ↓
共同市場
↓ ↓ ↓
経済同盟
↓ ↓ ↓
完全な経済統合
だと言っています。
つまり自由貿易協定は完全同盟よりも統合の度合いが弱いわけですね。
では問題の解説をしていきましょう。

まずアの肢。
関税同盟とは関税に関して同盟国同士で共通の制度を適用することです。
また域外、つまり外部の地域に対しても共通です。
たとえばタイとブラジルが同盟国だったとします。
同盟国同士は米に関して関税が10%と決めているとします。
でもたとえば中国相手に米の取引をするときには
タイもブラジルも共通の関税を適用しないと違反になります。
なので、アの肢で『独自の』の部分が誤りです。
『共通の』に変更すれば正解の肢になります。
次にイの肢。
イは適切な肢です。
そのままです。
ウの肢。
経済同盟は自由貿易協定を基盤にしていません。
共同市場を基盤にしているので不適切です。
エの肢。
自由貿易協定は地域経済統合の中でも最も緩いタイプです。
域内貿易の自由化を推進しています。
が、域外の貿易に対しては各国が独自に設定できます。
だから『域外に対して加盟国が共同で』というところが不適切です。

アの関税同盟とエの自由貿易協定からわかるように
関税同盟は域外も域内も共通の政策をとる必要がありますが
自由貿易協定は域内は共同でも域外に対しては各国が独自の政策をとれるところが違います。
そういった意味では関税同盟の方が自由貿易協定よりも縛りがきついといえるでしょう。
2017年1月、アメリカのトランプ大統領がTPPを離脱して
自由貿易協定を各国と締結しようとしていますが
TPPは自由貿易協定よりも縛りがきついわけです。
そういった意味ではTPPにそもそも参加していない中国にとってみれば
アメリカや日本などと独自の契約をしやすいので
メリットが大きいといえるでしょう。