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前回の記事では需要の価格弾力性について解説しました。
⇒需要の価格弾力性についてわかりやすく解説
今回の記事では需要の価格弾力性の大きさと
財に対する支出額の関係について解説します。
支出額といってますが
お店の立場に立ってみると売上になってくるので
収入額と書いてある基本書もあります。
つまり、収入額=支出額
ってことです。
立場の違いです。
お客さんの立場なら支出であり、
お店の立場であれば収入となりますから。
目次
需要の価格弾力性と支出額の関係|Ed>1
まず、需要の価格弾力性の式を覚えていますか?
⇒需要の価格弾力性についてわかりやすく解説
ですね。
需要の価格弾力性の値が1より大きい場合、
つまりEd>1の場合、どうなるでしょう?
Ed>1というのは、価格の変化率よりも需要量の変化率の方が大きい状態です。
値段を安くしたらお客さんが殺到するケースがEd>1です。
つまり、お客さんの方が値段の変化に敏感に反応しているケースになります。
逆に値段を上げてしまうと、
お客さんが来なくなります。
これは価格の変化率よりも需要量の変化率の方が大きいからです。
くどいようですが
Ed>1の状況において、もしお店の側が価格を少し下げたら
お客さんが殺到しますよね。
だからお客さん側からしたら値段が安くなる以前よりも
支出額は増えます。
なぜなら、お客さんは財布のひもがゆるんでしまい
買いすぎてしまうからです。
逆にEd>1の状況で価格が少し上がると
お客さんは来なくなります。
なので支出額は減ります。
需要の価格弾力性と支出額の関係|Ed>1具体例
例1
2020年1月アナゴ1000円を2匹買いました(2000円の支出)。
2020年2月アナゴ800円(20%割引)だったので6匹買いました(4800円の支出)
とすると価格は20%しか下がっていないのに、
消費量は2匹から6匹に3倍増え、支出額も2.4倍に増えている。
こんな感じで20%割引に対して、
支出額が上記のように2.4倍増えていますね。
これは弾力性が大きいケースといえます。
要するに値段は20%しか下がってないのに
お客さんの方が2匹から6匹と3倍に増えています。
明らかにEdは1を超えています。
次に逆のケース。
例2
2020年1月ハマチ2000円2匹買った(4000円の支出)。
2020年2月ハマチ2200円(10%値上げ)だったので1匹買った(2200円の支出)。
価格は10%しか上がってないのに、
消費量は2匹から1匹へと半分に減少し
支出額も4000円から2200円へと大幅に減少している。
10%の値上げで2匹から1匹に減っています(半分に減少)。
これも弾力性が大きいです。
要するに価格の変化率よりも需要量の変化率の方が大きいです。
需要の価格弾力性と支出額の関係|Ed<1
次にEd
このケースでは価格の変化率と需要量の変化率を比べたときに
価格の変化率よりも需要量の変化率の方が小さいです。
だからあまりお客さんが急に増えたり、急に減ったりしません。
ある程度、お客さんの数が安定してしまっているケースです。
別の言い方をするとお客さんがある程度一定になっているんです。
このケースで多いのは生活必需品です。
価格を変化させても
そんなに大きく増えたり減ったりすることがないんです。
つまり需要量の変化率が小さいんです。
Ed需要の価格弾力性と支出額の関係|Ed<1具体例
例3
2020年1月みかん200円を20個買いました(合計4,000円)
2020年2月みかんが160円と値下げ(20%割引)され22個購入(合計3,520円)
とすると価格は20%下がっているのに、消費量は20個から22個と
10%しか増えていません。結果、支出額は減少しています。
値段は20%安くしているけど、
お客さんはそんなに増えないので、20個から22個と10%しか増えていませんし
金額も4000円から3520円と出費が減っています。
ですから需要の価格弾力性(Ed)が1より小さいケースとなります。
こんな感じでEd
例4
2020年1月灯油1L200円を10L分購入した。合計2000円の支出。
2020年2月灯油1L260円に値上がりしたので9L購入した。合計2340円の支出。
灯油の価格は30%値上がりしているのに、消費量は10%しか減っていない。
結果、支出額は増加している。
例4は灯油価格が30%値上がりしたことで
消費量は10%減りました。
お客さんが買っていく量がそんなに減っていませんね。
支出は2000円が2340円と出費が増えています。
お客さんから見ると、支出額が増えますね。
需要の価格弾力性と支出額の関係|Ed=1
今度はEd=1のケースを見ていきましょう。
Ed=1というのは需要量の変化率と価格の変化率がちょうど同じ場合になります。
このときは価格が上がっても下がっても
支出額が変わりません。
例5
2020年1月アイスクリーム200円を10個購入したので2000円の支出。
2020年2月アイスクリーム180円と値下がりしたので11個購入。1980円の支出。
価格が10%下がっているが、消費量は10%増加。
支出額は変化なし。
10%アイスクリームが安くなったから
10%分購入量が増加しました。
どちらも10%なのでEd=1となります。
ちなみに今回のケースでは1月は2000円の支出なのに
2月は1980円の支出なので
金額が一致していませんね。
20円の差額は計算上の誤差の範囲とご理解ください。
2000円と1980円はほぼほぼ同じということで
金額が変わらないと認識します。
需要の価格弾力性が1ということで
価格の変化率と需要量の変化率が等しい状況だと
価格を挙げても下げても消費者にとって支出額は変わらないということです。
以上で需要の価格弾力性の大きさと支出額の関係についての解説を終わります。