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今回は生産関数について
わかりやすく説明していくために、
消しゴムを作るメーカー1社だけにフォーカスして考えます。
消しゴムを作っている会社はたくさんありますが、
その中で1社だけを取り上げて考えるのが生産関数だからです。
生産関数とは?簡単にいうと
消しゴムの工場があったとしましょう。
そこにはたくさんの従業員が働いています。
もちろん、工場には大型の機械設備(資本設備とも)があるでしょう。
ただ通常は工場や機械設備って
そう簡単に減らしたり増やしたりすることはできません。
仮に増やしたり減らしたりは10年スパンでしょう。
短期的に大型の機械設備を導入するのは無理です。
そこで生産関数を考えるときには
機械設備(資本設備)は増減しないという前提になります。
ここ大事ですからね。
注目すべきは労働者(従業員)です。
生産関数では労働者の人数であったり労働時間の変化に注目します。
たとえば、消しゴム製造工場で一生懸命働いている従業員の人数を
来月から増やしたり減らしたりってことは
珍しくありません。
なので、労働時間や労働者数を増やしたり減らしたりといった
調節は比較的楽にできます。
逆に工場の大きさや大型の機械を増やしたり減らしたりは
そう簡単にできるわけではありません。
労働時間を増やしたり減らしたりすることで
どれくらい消しゴムの生産量が増えたり減ったりするか?
きちんと捉えるのが生産関数です。
生産関数はトンボ鉛筆のMONO消しゴム
ヒノデワシのまとまるくんシリーズとか、どこでもOKですが、
パートの従業員などの労働L(何人、何時間)と資本K(お金、設備)
から成り立っています。
資本Kというのはもともとお金のことです。
ただ、そのお金を使って大型の機械設備とか工場を建設したりするので
資本Kというのは設備と置き換えて考えることが多いです。
具体的には設備を何時間稼働させるか?というのが資本Kとなったりします。
ただ、先ほど言いましたように設備を短期間では動かせないので
資本Kは基本的に変動しません。
生産関数の式
生産関数の式は
Q=F(L,K)
となります。
Qはたとえば消しゴムの生産量です。
LはLaborで消しゴム工場で働いている従業員など労働者です。
Kは資本ですが、もともとお金ですが、お金で設備を購入したりしますから
機械設備などの意味合いがあります。
それからFはFunctionで関数になっていることを意味しています。
悩まないでくださいね。
よって、
生産関数の式
Q=F(L,K)
というのは、消しゴムなどの生産量はLとKの関数(F)になるという意味です。
生産関数の例
生産関数の例
労働L=10単位、資本K=100万円(機械10台)、Q=生産量1000個
この場合、生産関数は
Q=F(L,K)ですから、
1000個=F(10単位、100万円(10台))
となります。
1000個の消しゴムを作って、労働Lは10単位(10時間)働いた、
Kは100万円だけど、これで10台の機械を購入したってことです。
だから10時間働いて10台大型の機械があり稼働させる
すると1000個の消しゴムが生産できるということを
この生産関数では意味しています。
ただ、生産関数では10台の大型機械の部分は一定と仮定します。
先ほども言いましたが、大型の機械をそう簡単に増減させれないからです。
変動するのはLの10単位(労働時間10時間)の部分です。
なので、Lが増減すると消しゴムの生産量が増えたり減ったりします。
ここが分かっていないと生産関数が理解できないので
覚えておいてくださいね。
生産関数のグラフ
これがある消しゴムメーカーの生産関数だとしましょう。
形はS字カーブが基本です。
そうならないケースもありますが、基本、S字カーブとなります。
横軸が労働Lで労働時間とか労働者の人数を表します。
0から始まってたとえば、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間みたいになります。
縦軸が消しゴムの生産量です。
横軸の労働時間が0時間だったら、
縦軸の消しゴムの生産量も0になるので
原点を通ります。
そして、労働時間が1時間になれば10個消しゴムができる、
さらに1時間増えて2時間になったら消しゴムが20個、
3時間になったら消しゴムが35個みたいな感じで
横軸の労働時間が増えれば縦軸の消しゴムの生産量が増えます。
こんな感じで右上がりになるのですが、
上がり方が問題です。
上がり方が一様ではありません。
直線的に増えるわけではありません。
S字カーブになるのが生産関数の基本です。
そしてこの生産関数を使って
労働の限界生産力(MPL)を考えていきます。
労働の限界生産力(MPL)とは?
労働の『限界』生産力の限界はMarginalの日本語です。
経済学における限界は「体力の限界です!」みたいな意味の限界ではありません。
そうではなくて、
「ちょっと頑張ることが限界!」という意味です。
⇒限界効用とは?わかりやすく解説
ここでは労働者が1時間残業する、
でもそこからさらに頑張って1時間働いてみるというのが限界という意味です。
労働の限界生産力とは
この状況から1時間労働時間が伸びたときに消しゴムの生産量が何個増えるか?
ということです。
例を挙げますね。
労働Lが5時間だったけど、
そこから1時間労働時間が延長され6時間になってしまった、
これが限界という意味です。
限界は1時間増えることが限界という意味ですからね。
ここで労働の限界生産力は
という式になります。
ということは限界生産力は1時間労働Lが伸びたことで
消しゴムなどの生産量がたとえば、10個から14個に増えているなら
労働の増加分は1時間増えているので1、
生産量の増加分は10個から14個と4個増えているから4。
よって労働の限界生産力(MPL)=4÷1=4
となりますね。
生産関数を使って労働の限界生産力(MPL)を理解しよう
先ほど解説したMPL(労働の限界生産力)を生産関数上でとらえていきましょう。
生産関数はS字カーブを描くのが基本です。
で、生産関数上で接線を引っ張って傾きを作ります。
この傾きこそが労働の限界生産力です。
今、労働時間がLaとします。
で、上記グラフのように1時間労働時間増えたら
消しゴムが20個増えたとしましょう。
すると、MPLaは20÷1=20
となりますね。
こんな感じで労働の限界生産力は生産関数上に接線を引っ張って
傾きを作ることでわかります。
労働の限界生産力って時間帯によって変わってきます。
横軸で左側は1日のうちで働き始めた時間帯でやる気マックスです。
すると、
グラフ左半分は労働時間が増えると
傾きが大きくなり、MPLが大きくなります。
ところが、Z点より右側になると
仕事が続き、やる気がなくなってきます。
どんどん傾きが小さくなり、MPLが小さくなります。
これを労働の限界生産力逓減の法則といいます。
労働の限界生産力逓減の法則はZ点より右の時間帯で計測します。
労働時間Lが増えてくるとMPLが下がるという法則が労働の限界生産力逓減の法則です。
以上で生産関数についての解説を終わります。