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一般知識

中根千枝『タテ社会の人間関係』についてわかりやすく解説

中根千枝




中根千枝『タテ社会の人間関係』についてわかりやすく解説

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中根千枝『タテ社会の人間関係』

中根千枝さんは前回『罪の文化・恥の文化』のところで解説したルース・ベネディクトさんと同様、
女性の社会人類学者です。
罪の文化・恥の文化とは?わかりやすく解説
中根千枝さんは東京大学の東洋文化研究所というところがあるのですが、
そこの女性で初めての所長になった人です。
家族のいろんなアジアの研究をして有名だった人です。
中根千枝さんは『タテ社会の人間関係』という書籍を執筆しました。
タテ社会の人間関係 (講談社現代新書) [ 中根 千枝 ]

これは講談社の現代新書の中の1冊であなたも簡単に読むことができます。
西洋の日本研究者が日本の社会の特徴を研究するときのスタンダードなテキストとして
『タテ社会の人間関係』が最も広く読まれています。
日本社会の特徴を研究するなら
まずタテ社会の人間関係から読みましょうと言われているくらい重要な本です。

例えば日本語には尊敬語と謙譲語以外に丁寧語っていうのがありますよね。
自分を低くすることによって相手を相対的に持ち上げます。
これって明らかにタテの人間関係を意識していますよね。
日本語は横の平等な関係よりもタテの上下関係が明確になるような言葉の方が豊富に存在します。
相手が自分と同じなのか上なのか、下なのか
によって言葉を使い分けまくっているって感じです。

ということは常に人間関係において
上限関係を意識しながら私たちは言葉を使い分けていると言うことです。
『言葉は社会を映す鏡である』て言葉を聞いたことがありませんか?

上下関係を重んじる言葉の種類が豊富であると言うことは
常に上下関係を意識しながら
私たちの人間関係が営まれていることの反映であると言うことです。
すると西洋の横の人間関係よりも
タテの上下関係を日本の社会では重視されていると言うことです。

タテの人間関係が
重視されるのが日本の社会の特徴だと言うことです。

話を少し変えてインドの話も中根千枝さんはされています。

中根千枝さんはインド社会の研究が専門でした。
インドは生まれつきの身分というカースト社会でした。

中根千枝さんはカーストが当たり前のインド社会を研究してから
日本に帰国してみたところ驚愕したそうです。

日本とインドでは人と人との繋がり方が全く違うということに。

インドが特別ではなくて日本が変わっているという意味合いで書かれています。
インドと欧米は共通の社会で日本は別枠ということです。

インドや欧米はヨコ社会で日本はタテ社会というふうに
中根千枝さんはカテゴライズしました。

理解しやすくするために具体例を挙げて説明しますね。
労働組合をご存じですか?

日本の労働組合って企業別です。
マツダに入ったらマツダの組合です。
仕事の種類とは関係ありません。
経理の人も組立の人も上から下までいろんな立場の人がマツダならマツダの労働組合に所属します。
これがタテ社会です。

他にも日本の病院の組合だと
医者であろうが臨床検査技師だろうが、薬剤師だろうが
同じ病院の組合に入ることになります。

これに対して欧米の労働組合は職務別に組合があります。
欧米はヨコ社会です。
どこの会社に働いているかではなく、
どんな仕事をやっているかで入る組合が決まります。

欧米の病院だと医者だと医者の組合、
薬剤師だと薬剤師の組合に所属します。
どこの病院で働いているかではありません。
こんな感じで同じ立場の者同士で横繋がりで組合に入ります。
企業のつながりとは別枠です。
これがヨコ社会です。

ところでタテ社会では同じ場にいるということで集団への所属が認められます。
どんな資格があるかとか関係ありません。
いろんな種類の人たちがいます。

これに対してヨコ社会的な集団は
同じ資格を持つということでその集団に所属できます。
これを同質的な人たちのつながります。

まぁ要するにタテつながり(日本社会)かヨコつながり(インドや欧米社会)の区別だということです。
以上で解説を終わります。