参考文献・URL
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⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
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クラウディングアウトについて具体例を挙げて説明していきます。
とその前に、まずそもそものクラウディングアウトの定義から。
クラウディングアウトとは・・・
民間で使える経営資源が少なくなることをいいます。
「イマイチ、ピンときません」という方、
こちらの記事をご覧ください。
⇒クラウディングアウトをわかりやすく説明するとこうなる!
それではクラウディングアウトの具体例を挙げて説明していきます。
クラウディングアウトの具体例
2016年6月、イギリスがEUを離脱するというニュースがありました。
今、この記事を書いているのが2016年7月です。
まだ、明らかな不景気ではありません。
ですが、もしイギリスが本当にEUを離脱して、
その影響で日本が不景気になったとしましょう。
そんな場合に日本政府がよくやるのが国債発行です。
国債を発行すると総需要が高くなります。
総需要というのは「買いたい気持ち」のことです。
つまり日本政府が国債を発行したら「買いたい欲求」が強くなるということです。
ただ国債発行のやりすぎは禁物です。
もし国債発行をやりすぎると民間の金利が上がってしまいます。
国債の値段と金利は反比例の関係にあるからです。
「???」という方もいるでしょう。
ここで具体例を挙げて説明しますね。
ただここで挙げる具体例はわかりやすくするためなので
理屈はあっていますが、実際に行われている取引ではありません。
「おかしいぞ!」と思っても、ご愛嬌でお願いします。
国債と金利が反比例することを示す具体例
元本が100円で利率が1%の国債を発行したとします。
5年で償還される国債です。
国はこの国債を過剰にばらまきました。
ほとんどの人が持っているとします。
すると民間の国債みたいな債券は売れなくなります。
国債の方が安全そうですし、みんな国債を持っているわけだから
あえて民間の債券を買う意味がありません。
ただ民間もだまっていません。民間は今度は金利を上げます。
100円で利率が2%の債券です。
ここで国債は5年間で5円増えます。
1年で1%は1円ですから5年だったら5円ですね。
民間の債券は2%ですから、2円×5年で10円です。
となると、国債を売って民間の債券を買った方が得しますね。
ただ民間の債券の方が利率がよいですから、
あなたが利率1%の国債を売ろうとしても誰も買いません。
あなただったら、
利率1%の国債と利率2%の民間の債券が売りに出ていたらどっちを買いますか?
おそらく民間の債券でしょう。
そこで国債本体の値段を下げるわけです。
国債は5年で5円、民間の債券なら5年で10円。
ということは10円ー5円で5円の差があります。
だから国債を100円から5円引いて95円にするわけです。
つまり国債の値段を下げるわけです。
これだったら国債を買ってくれる人もでてきます。
と、国債を発行しすぎたことで民間の金利が上がり
国債の値段が下がってしまいましたね。
ただ、民間の金利は上がったままです。
金利の上昇は得する人もいれば損する人もいます。
債券を買う人は得しますが、借金する人にとっては損です。
政府が国債を発行する理由は需要の喚起です。
公共工事などをやってもらうために、国が国債を発行してお金を集めようとしていました。
公共工事は民間の業者が行います。国からお金をもらってです。
ただ金利が上がっています。
業者が工事用の機械や器具を買うにも多額の借金をする必要があります。
10万円や100万円の買い物ではありませんから。もっと高額です。
とはいえ借金しようと業者が思っても金利が上がっているわけです。
となると、「金利が高いから借金するの嫌だな。やめとこう」となるかもしれません。
こうやって需要を喚起するために国が国債を発行しすぎると民間の金利が上がります。
そのため民間の企業が借金して設備投資しなくなるため
かえって景気が悪くなってしまうことがあるわけです。
これがクラウディングアウトですね。