参考文献・URL
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今回はギッフェン財についてわかりやすく
解説していきたいと思います。
ギッフェン財を理解する前提知識を解説
ギッフェン財について理解する前提として
まず以下の図(グラフ)をご覧ください。

X軸が通常の下級財という設定です。
Y軸は上級財です。
(注意:図のタイトルはギッフェン財ですが、
本物のギッフェン財は記事の下の方で掲載しています)
「上級財とか下級財って何?」という方、こちらの記事をご覧ください。
⇒上級財と下級財の違いを例を挙げてわかりやすく解説
で、X軸の財の価格が安くなってきているという設定です。
上記の図(グラフ)にピンとこない方は
先にこちらの記事を読んでいただいた方が
理解が早いと思います。
⇒所得効果と代替効果を図(グラフ)を使ってわかりやすく解説
X軸の財は『カルピスソーダ』としましょう。

オレンジ色の線がカルピスソーダが安くなった後の
予算制約線です。
そして、

ピンク線に注目してください。
元の無差別曲線U1と
接するような形でオレンジ色の線を平行にずらします。
「???」となっている方はこちらの記事でくどいくらいに
説明しているので、先にご覧ください。
⇒所得効果と代替効果を図(グラフ)を使ってわかりやすく解説
ここまでは上記リンク先の話と全く同じです。

紫色の予算制約線が定価のカルピスソーダです。
スーパーのセールでカルピスソーダが安くなったので
①として縦軸切片(Y軸に当たっている点のこと)はそのままで
予算制約線の傾きがずれ、オレンジ色の予算制約線となります。
次に⓶オレンジ色の予算制約線が平行に戻し
ピンク色の予算制約線ができます。
スタートポイントは無差別曲線U1と予算制約線が
ピタッとくっついているE1です。

ここからカルピスソーダの価格が300円と安くなり
代替効果でE´に動きます。
これは全パターンで共通です。
代替効果は個人差がありませんから同じです。
⇒代替効果と所得効果をわかりやすく解説
たとえばカルピスソーダが1杯600円でした。
個人差が出てくるのはここから先です。
X財(カルピスソーダ)は通常の下級財です。
⇒上級財と下級財の違いを例を挙げてわかりやすく解説
下級財というのは、「またジャガイモか・・・」みたいな
料理などで出てきたら残念な感じがするもののことです。
ここでは「またカルピスソーダが出てきたよ」
みたいな感じです。
ただ、今回のケース、カルピスソーダの価格が600円から300円に
値下げされています。
なので実質的な所得が増えているので
普段よりカルピスソーダをたくさん飲めます。
「実質的な所得?」と疑問に感じる方はこちらをご覧ください。
⇒代替効果と所得効果をわかりやすく解説
で、この人、カルピスソーダはうんざりしている感じです。
「もう飲みたくないな」くらいの感覚です。下級財ですから。

代替効果として上の図のように
E1からE´に移動し、カルピスソーダの消費量は増えます。

ですが、「嫌ちょっと待てよ。
私、カルピスソーダにうんざりしてるからな」
ということで所得効果でブーメランのように消費量が
X´からE2(X2)まで上の図のように戻ってきてしまうんです。
所得効果は個人差があるんでしたね。
⇒代替効果と所得効果をわかりやすく解説
で、所得効果によりX財であるカルピスソーダの消費量は減りましたが
Y軸をみると、E2の点というのは元のE1よりも高い位置にありますね。

点でいうと、Y1からY´に代替効果で移動し、
Y´からY2に所得効果で移動しています。
なのでY財の消費量は増えています。
つまり所得効果によりX財の消費量は減り、
Y財の消費量は増えています。
なぜなら、X財は下級財、Y財は上級財だからです。
ちなみに代替効果ではX財の消費量は増え、Y財の消費量は増えます。
これはどんな状況でも同じです。
変わってくるのは所得効果だけです。
そうすると
X財が下級財だという前提でいくと
本人の気持ちの中で葛藤が起きています。
代替効果でX財は増えていますが、これは安いからです。
でも、所得効果ではX財の消費量を減らそうとします。
下級財だから本当は飲みたくないからです。
安いから飲みたいという代替効果と飽きているから減らしたいという所得効果で
お互いの気持ちで葛藤が起きるんです。

だからX1⇒X´⇒X2というように
ブーメランのような動きをすることになります。
ところで、代替効果、所得効果でどちらの効果の方が強いでしょう?
普通は代替効果の方が強いと言われています。
安さには勝てないんですね。
だから、代替効果で増え、所得効果で減るものの、
スタート地点であるX1よりも所得効果で落ち着いたX2の方が
消費量が多いですね。
結局、代替効果の方が効果としては大きく
所得校の方が効果としては小さいということになります。
だから結局、X財(カルピスソーダ)の消費量は一応増えます。
これがX財が通常の下級財のケースです。
ギッフェン財とは?わかりやすく説明
ギッフェン財とは下級財の一種であって、
かつ、所得効果が代替効果を上回る財のことです。

Yは一般的な上級財でXがギッフェン財です。
X財であるカルピスソーダの価格が600円から300円に下がったという
設定はここまでの解説と全く同じです。
グラフの見方も同じです。
代替効果も所得効果もまったく同じです。
ただ、所得効果としてはギッフェン財も下級財だから
減らそうとするのですが、
減らそうとする気持ちが尋常じゃありません。
よっぽど飽きています。
だから代替効果で増えたX´から
所得効果によりすごく減少し、X2のところまで減ります。
結果、最初のX1よりもX2の方が消費量が少ないです。
なので、カルピスソーダを安売りした店はビックリです。
安くしたのに、消費量(売れた量)がいつもより減ったわけですからね。
これがギッフェン財です。
ギッフェン財の具体例は?
ギッフェン財の具体例はありません。
こんな財、世の中に存在しないからです。
商品をいつもより安く売ったら
いつもより売れなくなるなんてありませんからね。
こんなことあったら、お店の人、びっくりですよ。
しいて具体例を挙げるとすると
昔の化粧品がありますね。
化粧品は見栄っ張りな商品なのかもしれません。
値段を下げると売れなくなり、値段を上げると売れるんだそうです。
他にもウェディングドレスもそうです。
ウェディングドレスも値段が上がると売れ、
値段が下がると売れなくなります。
一生に一度のものだから
こんなことが起こるのかもしれません。
でも今の時代だと、こんなことないと思いますけどね。
最後にわかりやすくまとめますと
ギッフェン財というのは値段を安くするとお客さんがいなくなってしまう財です。
ギッフェン財は下級財のカテゴリーで
代替効果より所得効果の方が強いです。