参考文献・URL
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前回、生産関数について解説しました。
⇒生産関数についてわかりやすく説明
⇒生産関数とは?グラフを使ってわかりやすく解説
今回の記事では生産関数を使って
利潤最大化条件がどうなるのか?解説していきたいと思います。
目次
生産関数を使った利潤最大化条件を考える意味
利潤最大化を考える前提として
民間の会社を想像してください。
たとえば消しゴムを作る会社とか
ビールを作る会社を想像してみてください。
民間の会社は儲けを増やすことが究極の目標になります。
民間の会社は利益を追求する主体ですから。
理解しやすくするために公務員と比較してみますね。
公務員は全体の奉仕者としてお仕事をするわけですから、
儲かるか儲かるかはどうでもいいことです。
なので公務員と民間の会社では考え方が違います。
民間の会社は儲からないことはやりません。
逆に公務員は儲かるか儲からないかではなく、
世の中の役に立つかどうかが重要です。
今回の記事では民間の会社目線で考えていくことになります。
なぜなら利潤最大化を考えるってことは利益の話になりますからね。
で、民間の会社の究極の目標は利潤最大化です。
さっきまで利益とか儲けといいましたが経済学では利潤という言葉を使うことが多いです。
今回の記事では
利益=利潤=儲け
と考えてください。
利潤最大化=儲けをどうやったらマックスまで高められるか?
という話です。
で、利潤を一度、式で考えていきましょう。
具体的には等利潤線になります。
等利潤線|生産関数を使った利潤最大化
等利潤線の式は
利潤(π)=価格(P)×生産量(Q)-賃金(w)×労働(L)
となります。
利潤を計算するときはまず売上を計算します。
上記等利潤線の中の価格(P)×生産量(Q)の部分が売上となります。
それからw×L=人件費です。
たとえば、消しゴムを作る会社があったとしましょう。
消しゴム1個100円で1000個売れたとしましょう。
そしたら売上は価格(P)×生産量(Q)なので
100円×1000=10万円となりますね。
で、
等利潤線の式は
利潤(π)=価格(P)×生産量(Q)-賃金(w)×労働(L)
でしたね。
もし賃金(w)が900円(w)で10時間(L)働いたとしましょう。
すると
利潤(π)=100円×1000個ー900円×10時間
よって利潤(π)=9万1000円
となります。
この関係を前回解説した生産関数のグラフに落とし込んでいきます。
⇒生産関数についてわかりやすく説明
縦軸に生産量Q(たとえば消しゴムの生産量)で、横軸に労働(時間)Lをとっています。
そこで等利潤線の式をQ=の式に変形していきましょう。
Qは縦軸ですから、中学校の関数でいうところのYを
式の左側に持ってくるということです。
すると
となりますね。
このQ=から始まる式が、
ある企業の利潤を表しています。
Qは縦軸でLが横軸になります。
なので、w/Pが傾きとなります。
同時にw/Pは実質賃金ということがあります。
そして利潤最大化ということは
πを最大にするのが目的となります。
実質賃金|生産関数を使った利潤最大化
先ほどQ=から始まる式に変形し
w/Pが実質賃金になると説明しました。
実質賃金というのは賃金wを価格Pで割ってできます。
経済学ではただの賃金を名目賃金といったりします。
これはGDPでも同じですね。
名目GDPを物価で割ると実質GDPになるような話です。
⇒名目GDPと実質GDPの求め方
話を元に戻します。
たとえば、名目賃金w(時給と考えてOK)が1時間900円で
消しゴムの価格Pが1個100円だったとしましょう。
w=900円というのは消しゴムに換算すると9個に相当しますね。
これが実質賃金です。
なぜなら、
となりますから。
この9というのは時給(名目賃金)wを消しゴムに換算させると
9個分だという意味です。
だから実質賃金は賃金を数量でカウントすることで算出できます。
等利潤線のグラフ|生産関数を使った利潤最大化
Q=から始まる等利潤線の式を
グラフにすると以下のようになります。
Q=から始まる等利潤線の式を
グラフにすると上のようになります。
そして、等利潤線、つまり、
等しい利潤の線ということですから
どの点をとっても利潤は等しいです。
たとえば、利潤が10000円なら、
どの点も10000円です。
それから
傾きと縦軸切片の関係は上の図の通りです。
そして傾きは実質賃金を意味しているんでしたね。
傾きはw/Pと賃金wと価格Pがマイナスになることは
ふつうありませんので、傾き全体も必ずプラスになります。
よって、等利潤線は普通、右上がりの線になるはずです。
縦軸切片はπ/P
ですが、企業の目的は利潤πを増やすことですから、
このπに注目していきましょう。
どんどん上に上がれば上がるほど
利潤πも増えることになりますね。
生産関数を使った利潤最大化
以下の図を使って、
利潤最大化を実現できるか、考えていきましょう。
このとき、消しゴムを作る会社の従業員たちが
何個消しゴムを作れるか?生産関数を考えましょう。
生産関数より下の領域(黄緑色の領域)なら生産は可能で
上の領域(紫色の領域)は生産はできません。
そういう前提で考えていきましょう。
そしてピンク色の線が等利潤線です。
さっき解説したように等利潤線は上に行けば行くほど利潤が増えるので
どうにかしてグラフを上に持っていきたいんでしたね。
そして生産関数は動かしません。
等利潤線を上にあげるということは利潤πが増えるということです。
どこまで上に上げれるでしょう?
ただ、生産関数より下の領域までしか生産できません。
ということはここまで上に(点Rまで)等利潤線を上げることができますね。
結論としては接点Rのところで
利潤最大化となっています。
MPLについては前回の記事をご覧ください。
⇒生産関数についてわかりやすく説明
利潤最大化になっているときというのは
w/PとMPLが等しくなっています。
なぜなら等利潤線が生産関数の接線になっているところが
利潤最大化するからです。
生産関数の接線がMPLでしたね。
⇒生産関数についてわかりやすく説明
またそもそも等利潤線の傾きはw/P
ですから、
利潤最大化条件というのはMPL=w/P
となります。
このとき利潤が最大になります。
以上で解説を終わります。