参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
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以前の記事で均衡予算乗数について解説しました。
⇒均衡予算乗数とは?求め方についても解説
今回は均衡予算乗数が1になる理由について解説します。
均衡予算乗数が1になる理由
均衡予算はプライマリーバランスということがあります。
均衡予算は
ΔG(政府支出の変化分)=ΔT(租税の変化分)
という状況を意味します。
たとえば、1億円で橋を建設するとします。
このとき、1億円の原資はどこから用意しましょう?
国債を発行して資金調達する方法もあります。
でも、今回は国債に頼らず全額そのまま国民から所得税という税金を
徴収して1億円全額資金調達するとしましょう。
均衡予算
ΔG(政府支出の変化分)=ΔT(租税の変化分)
なので、政府支出Gを1億円増やすなら、
租税(所得税)も1億円を増やす必要があるってことですね。
これが均衡予算です。
で、政府支出Gを増やすときに全額税金Tでお金を集める場合、
経済効果はどうなるでしょう?
前提として海外との貿易を一切考えない閉鎖経済で
税金は固定税(みんな支払う税金は同じ金額)とします。
橋の建設のために政府は1億円お金を増やします。
ΔG(政府支出の変化分)は+1億円です。
この場合、ΔY(日本全体の所得の変化分)は
となるんでしたね。
cは限界消費性向です。
詳しくはこちらで解説しています。
⇒乗数効果の計算式
また租税Tはこちらの式になります。
均衡予算の場合には税金も政府支出も同時に動くので
上記2つの式を足し算することになります。
よってΔYは・・・
となります。
で、政府支出の増加はプラスの経済効果となります。
なぜなら政府支出⊿Gが1億円増えたからです。
1/(1-c)をかけ算した分だけ⊿Yが増えます。
ところが同時に税金⊿Tも増えます。
税金が増えるというのは景気にとってマイナスです。
「やったー!税金増えたぜ!うれしいよ」って
なる国民はいないですよね。
なぜなら、⊿Tの前に-cとマイナスがついているので
国民所得が減るからです。
なので1億円の増税をすると
租税乗数をかけ算した分だけ所得が減ってしまいます。
今、政府支出を1億円増やすことと1億円の増税をすることを
同時にやっています。
ところで、
均衡予算
ΔG(政府支出の変化分)=ΔT(租税の変化分)
という前提がありますね。
だから
この式の⊿Tのところに⊿Gを代入しても
結果は変わりませんね。
なので、
となります。
すると、右辺で+を隔ててどちらも⊿Gが共通となるので、
となります。
よって均衡予算のときの乗数は1だといえます。
では1ってどういうことでしょう?
⊿Y=1×⊿G
なので⊿Y=⊿G
ということです。
今、1億円政府支出増やし1億円増税しましたね。
すると、結果、国民所得Yも1億円増えるという意味です。
これが均衡予算乗数が1となるという意味で、
政府支出を増やした分がそのまま国民所得に跳ね返ってくるということになります。
別の言い方をすると
均衡予算の場合、国民所得は⊿Gだけ増えるのであって、
増えないとか0というのは間違いですからね。
お間違いのないようにお願いします。