参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
前回、寡占市場について解説しました。
⇒寡占市場とはどんな特徴をもつ市場なのか解説
で、寡占市場を学習するときに避けては通れない需要曲線に
屈折需要曲線があります。
今回の記事では屈折需要曲線について
わかりやすく解説していきたいと思います。
【わかりやすく解説】屈折需要曲線とは?
屈折需要曲線とはどんな需要曲線になるのでしょう?
屈折需要曲線は以下のようなグラフになります。
需要曲線が屈折をしているのが屈折需要曲線といいます。
ではどうして屈折しているのでしょう?
上記グラフで、まず価格がPAで決まっているとしますね。
そして生産量がQAで決まっているとします。
もし価格をPAより上げたとしたらどうなるでしょう?
独占市場なら他に会社がありませんでした。
ですが寡占市場だと他にライバル会社があるわけです。
ライバル会社にも、価格がPAより上がったという情報が
当然入ってきます。
お客さんだって価格が上がったという情報が入ってくるんですから、ライバル会社の耳にも情報が入るのは当然です。
ではライバル会社も価格をPAより上げるでしょうか?
結論として、ライバル会社は価格を上げません。
寡占市場です。
寡占市場は複占市場よりも企業の数が多いです。
3社くらいあるわけです。
ある会社が価格を上げた、そしてライバル会社である自分の会社も追随して価格を上げたとする。
でも、残り1つの、3つ目の会社は価格を上げなかったら
どうなるでしょう?
お客さんは価格を上げなかった会社にいくはずです。
そうならないようにライバル会社は価格を上げません。
商品は同質的(まったく同じ商品ということ。
差別化ができない商品だということです)、しかも情報の完全性(商品に関する情報はみんな知っている状態)があるのが寡占市場です。
すると、価格を上げた会社の商品なんて買わなくなりますから
需要が大きく落ちてしまうので、、、
上記グラフのピンク線みたいに価格を上げるとPAのときより
急激に需要が落ちるため、需要曲線が屈折してしまうのです。
では次に価格をPAより下げたらどうなるでしょう?
情報の完全性があるので、お客さんは価格を下げた会社の商品を買うようになります。
そうなるとライバル会社は困るので
同じように価格を下げます。
牛丼屋さんや電気屋さんでよくみられる光景ですね。
すると、お客さんは最初に価格を下げた会社に
殺到するわけではありません。
需要がそこまで増えるわけでもないわけです。
だからピンク線の折れ曲がり方が変わってくるので
屈折需要曲線といいます。
屈折需要曲線についてさらにわかりやすく解説
次にMR(限界収入曲線、オレンジ線)が不連続になるというのも屈折需要曲線のポイントになります。
どうして限界収入曲線は不連続になるのでしょう?
前回の記事で限界収入曲線というのは
需要曲線と比べて傾きが2倍で切片が同じだという解説をしました。
そして実際に傾きが2倍という理屈を利用して
生産量を求める例題を解きました。
⇒独占市場における利潤最大化と価格決定についてわかりやすく解説
⇒クールノー均衡とは何か?生産量の求め方も解説
こんな感じでこちらのMR(限界収入曲線)の傾きは
需要曲線の傾きの2倍です。
そして、こちら青で囲んだ領域の需要曲線と限界収入曲線が対応しています。
で、青で囲んだ限界収入曲線を①のように
点線で伸ばしていくと、②の部分に切片がくることがわかります。
なので③のようにオレンジ線で限界収入曲線まで引いてみると、、、
こんな感じで、青で囲んだ限界収入曲線の傾きは
青で囲んだ需要曲線の傾きの2倍になっています。
だから上記グラフのように横軸切片をみると
長さが等しくなるんです。
以上のような理屈があるために
限界収入曲線は不連続になります。
価格の下方硬直性とは?
限界収入曲線が不連続になるとどんな不都合が
生じるのでしょうか?
まず生産量、数量はMC(限界費用)とMR(限界収入)が等しい点に決まるんでしたね。
⇒クールノー均衡とは何か?生産量の求め方も解説
そして決まった数量によって価格(P)が決まるわけです。
なので、MC1が限界費用曲線の場合には
限界収入曲線(オレンジ線)の交点QAで数量が決まります。
そして価格がPAと決まるわけですね。
次にもしMC2にまで限界費用曲線が下がっても
結局限界収入曲線との交点はQAとなるので
価格は変わらないという結論になるわけです。
こんな感じで限界収入曲線(MR)が
不連続になってしまうことによって
数量や価格が変わらないということになってしまいます。
こんな感じで価格が変わらない(下がらない)ことを
価格の下方硬直性といいます。
せっかく限界費用がMC1からMC2に下がったから
値下げをしてもいいのでは?
となるのかもしれません。
でも、そう簡単に価格は下がらないということを
価格の下方硬直性っていうわけですね。
この価格の下方硬直性というのは
寡占市場の特徴になりますので理解しておいてくださいね。
ここの論点は中小企業診断士試験経済学平成28年23問にも
出題されていますので重要ですよ。