参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
以前の記事で需要の価格弾力性について解説しました。
⇒需要の価格弾力性とは?グラフを使ってわかりやすく解説
需要の価格弾力性と似た用語に
需要の所得弾力性があります。
この記事では需要の所得弾力性とはどういうもので
どういう公式なのか、解説したいと思います。
需要の所得弾力性とは?なぜ単位が%?
需要の所得弾力性とは所得が1%増えたときに、買いたい量(需要量)が
何%増えるか?を表したものをいいます。
需要の所得弾力性の単位は%です。
なぜ単位を%にしているのでしょう?
たとえば所得(お給料)が1円増えたら、
買いたい量が何個増えるみたいな感じで円や個の方が
見ているこちらとしてはわかりやすような気がします。
ですが、もし需要の所得弾力性の単位を円とか個にしてしまうと
人によって感じ方が違います。
たとえば、小学1年生の男の子ならお小遣いが100円増えたら
大喜びでゲームセンターに行って1回100円のゲームをやるかもしれません。
でも、彼女を探している20代男性のお給料が100円増えたくらいでは
「100円じゃ、彼女とデートできないよ」と
うれしくないかもしれませんね。
ではどう考えたらよいか?
お給料とかお小遣い全体からみて
どれくらいもらったか?割合がわかったほうが理解しやすいですね。
これは需要量(買いたい量)も同じです。
たとえば、1個需要量が増えたとしましょう。
この1個がゴマ粒1個だったとします。
ゴマ粒が1個増えても
あなたが気づかないかもしれませんね。
少なくとも私はゴマ粒が1個増えたことに気づかないでしょう。
ですが、これがベンツだったらどうです?
仮に今、あなたはベンツを1台持っていたとします。
これにもう1台ベンツが増えるんですよ。
めちゃくちゃインパクトありますね。
うれしいやら、毎年やってくる税金にビビったりとか(苦笑)。
こういった個数や台数よりも
全体の何%需要量が増えたかを考えた方が
理解しやすいでしょう。
だから需要の所得弾力性(exm)の単位は%になっているんですね。
需要の所得弾力性の公式
需要の所得弾力性の公式は以下のようになります。
ただ公式だけ見ても「???」となると思います。
そこで具体例を挙げてみますね。
たとえば、お給料(所得)が最初、月収20万円だったとします。
ところが、平社員から突然、昇進し部長になりました。
お給料も月収60万円になったとしましょう。
なかなかこんなことないと思いますが。
すると
需要の所得弾力性の分母に当たる、
⊿M/Mの⊿Mは変化量なので、20万円が60万円に40万円増えたことから
⊿Mは40万円となります。
そしてMは最初のお給料20万円です。
なので⊿M/M=40万円÷20万円=+2(200%)となります。
これが所得の変化率に相当します。
次に需要の所得弾力性の分子に当たる、
⊿x/x(需要量)を見ていきましょう。
最初、ギターを1本持っていました。
お給料が増えたので2本増えて3本になりました。
すると需要量の変化率は2÷1=+2(200%)となります。
すると需要の所得弾力性は
所得が200%増えたときに需要量が200%増えるわけです。
需要の所得弾力性は所得が1%のときを聞いているから
200%を1%にしないといけないので200で割ります。
すると需要の所得弾力性は1となりますね。
これは所得が1%増えたら需要が1倍の1%増えるという意味です。
奢侈財と必需財
ちなみに今回の例では需要の所得弾力性が1でしたが
これは奢侈財といいます。
奢侈品は需要の所得弾力性が1以上のものをいいます。
奢侈財の奢侈(しゃし)とは贅沢という意味です。
たとえば所得が20%増えたときに需要量が60%増えたとしましょう。
すると60÷20=3なので奢侈財になります。
こういう奢侈財はお金が入れば入るほど、
ものすごい勢いで買うようなものが該当します。
ぜいたく品のことですね。
奢侈財の場合、所得が20%減ると需要量は逆に60%も減るので
所得の影響をものすごく受けやすい財だと言えるでしょう。
逆に需要の所得弾力性が1未満の場合、
必需財といいます。
たとえば所得が20%増えるのに需要量は2%しか増えないとすると
需要の所得弾力性が0.1ですから必需財ですね。
逆に所得が20%減っても需要量は2%しか減りません。
必需財は所得の増減に対する需要量の変化が少ないって感じですね。
どうして所得が減ってもちょっとしか需要量が減らないのでしょう?
生活に必要なものだからです。だから必需財だというわけです。
で、前回解説した上級財や下級財に当てはめてみますと
⇒上級財と下級財についてわかりやすく解説
所得が増えると、奢侈財も必需財もどちらも需要量は増えるので
上級財だといえますね。
これに対して中級財は所得が増えても需要量が増えない財のことでしたね。
⇒上級財と下級財についてわかりやすく解説
たとえば所得が100%増えても需要量は0%のものが中級財となります。
なので中級財だと需要の所得弾力性は0となります。
あと、下級財は所得が増えると需要量が減る財のことなので
たとえば所得が20%増えると、需要量がマイナス20%みたいな財のことです。
なので需要の所得弾力性はマイナスとなります。
良く間違いやすいのが下級財と必需財です。
必需財は上級財の一種で、需要の所得弾力性はプラスです。
下級財は需要の所得弾力性がマイナスです。
イメージ的に下級財と必需財は似ていますが
需要の所得弾力性的には真逆の概念です。
間違いないようにお願いします。
続いてこちらの記事をご覧ください。
なぜ需要の所得弾力性がプラスかマイナスで上級財か下級財か分け、
1より大きいか小さいかで奢侈品か必需品を分けるのか理解できるようになりますよ。
⇒需要の所得弾力性が高い時とマイナスの時の違いをわかりやすく解説