今回の記事では予言の自己成就とは何か?
具体例を挙げながら解説していきます。
予言の自己成就とは?具体例とともに解説
ある状況が起こりそうだと人々が思い込んで、
その思い込みに基づいて行動すると、本来、みんなが考えなければ
起こらなかった現象が実際に起こってしまうことを予言の自己成就といいます。
これはマートンさんが提唱しました。
⇒マートンの予期的社会化とは?例を挙げながらわかりやすく解説
自然現象というのは人々の思い込みとは別物です。
自然現象=地震とか台風とか豪雨とかです。
自然現象は人々の思い込みとは関係なく発生していますね。
これに対して社会現象というのは人間が作り上げるものですね。
なので社会現象というのは人々がどう定義するのか?
状況の定義によって影響を受けてしまい、実際、起こることが変わってきます。
例を挙げましょう。
昭和の景気の良かった時代、バブルって言われた時がありました。
景気がよくて、不動産を買って売ればどんどん儲かると思って
銀行からお金を借りてどんどん不動産を買いまくるとしましょう。
すると不動産業者は少なくとも儲かります。
結果、不動産業者の給料やボーナスが跳ね上がり、
夜はスナックなどに行って遊びまくります。
するとスナックの売上が上がり、
ホステスの給料が上がり、ブランド物のバックを買うかもしれません。
するとブランドを扱っているお店の売上ががあります。
こんな感じで、実際に景気がよくなっていったりします。
逆に景気が悪いと思い込む人が増えたとしましょう。
そしたら、「もしかしたら会社の業績が落ちてクビになるかも」
と思って、将来のために貯蓄する人も出てくるでしょう。
経済学で解説しましたが、所得=消費C+貯蓄S
ですから、お給料を貯蓄に回したら消費(バックを買うとか)しなくなります。
するとお店の売上が落ちていき、
実際に景気が悪くなる可能性があります。
こんな感じで地震や豪雨みたいな自然現象ではない社会現象というのは
人間が作りあげるため、人間がどう定義するのか、思い込みによって
現実も変わっていくってことです。
予言の自己成就は3段階ある
予言の自己成就における3段階というのは
1段階目が予言で、2段階目が行動で3段階目が実現です。
具体的にいうと、
1段階目の予言を人々が受け入れて2段階目として人々が行動します。
人々が行動することによって3段階目として実現します。
例として
豊川信用金庫事件を挙げることができます。
参考元:豊川信用金庫事件
「銀行が倒産する」という噂が立ったんです。
(実際はそんなことありませんでした。デマです)
そこで人々は倒産する前に自分のお金だけでも引き出して
自分だけでも助かろうとするわけです。
結果、豊川信用金庫において、短期間に約14億円もの預貯金が引き出されてしまい
銀行の存続危機にまで陥ってしまいました。
実際、豊川信用金庫の財務状況は問題ありませんでした。
経済学でも解説していますが、信用創造機能なんかもありますから
銀行が倒産したり、お金を引き出せなくなる可能性なんて皆無でしょう。
⇒銀行の信用創造機能についてわかりやすく解説
⇒預金準備率・法定準備率とは?わかりやすく解説
銀行って支払準備率約1%くらいなので、
100万円の預金があったら、銀行の手元に1万円おいておいて
残りの99万円は誰かに貸し出してもOKです。
また、銀行というのは
みんなが一気にお金を引き出しにこないだろうという信用に基づいて成り立っているビジネスです。
でもみんなが銀行を信用しなくなってお金を引き出すってなると
手元にお金が残っていないので引き出せなくなります。
これもみんながデマを信じ込まなければ
銀行は問題なかったのに、みんながデマを信じたために
本当に危険な状態に陥ってしまったんです。
続いて予言の自己成就と似ている自己破壊的予言について解説します。
⇒自己破壊的予言とは?わかりやすく解説