参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
クラウディングアウトは中小企業診断士試験で
よく出題されます。
たとえば平成26年の第5問であったり
平成23年の第7問でクラウディングアウトの理解を問う問題が
出題されています。
そこでこの記事では
クラウディングアウトとは何か、
わかりやすく図を使って解説していきたいと思います。
クラウディングアウトとは?わかりやすく図を使って説明
まず拡張的な財政政策のケースを図を使いながら考えてみましょう。
拡張的財政政策についてはこちらの記事でわかりやすく解説しています。
⇒財政政策とは?わかりやすく解説
ここでは簡単に拡張的財政政策について解説しますと
政府支出(G)を増やしたり減税(T)をしたりする政府の政策のことをいいます。
拡張的財政政策をおこなうと
IS曲線が右にシフトします。
IS曲線に関してはこちらの記事で解説していますので
よくわからない方は先にこちらをご覧ください。
⇒IS曲線のシフト要因まとめ
⇒IS曲線とは?導出の仕方についてもわかりやすく解説
さらにIS-LM分析についても理解が必要になります。
⇒IS-LM分析についてわかりやすく解説
ここまでを踏まえて図を用いて説明します。
クラウディングアウトって前提知識がないとかなり難しい話なんですね。

上記図はIS-LM曲線です。
G↑は政府支出増加、T↓は減税を意味しています。
つまり拡張的財政政策をしたということです。
拡張的財政政策によって
黒線のIS曲線が右シフトし
ピンク線のIS曲線に移動しました。
で、もともとのIS曲線とLM曲線の交点(均衡点)はE1です。
拡張的財政政策によってE1がE2に移動しました。
なので、利子率がr1からr2に上昇し
国民所得もY1からY2に上昇しました。
ただ、もし利子率r1がr2に上昇しなければ
紫色の点にE1が移動し、結果、国民所得はY3まで
増加していたはずです。
なのに利子率の上昇によってY2までの上昇にとどまってしまいました。
Y2よりY3の方が大きいですから
利子率の上昇によって国民所得の増加が抑えられたわけです。
これは利子率が上昇してしまったために
国民所得の増加が抑えられたんです。

で、(Y3-Y2)の差額分(減ってしまった分)のことを
クラウディングアウトといいます。
クラウディングアウトとは?順序だてて解説
どうしてクラウディングアウトが起こるのか、
順序だてて解説していきますね。

まず拡張的財政政策を実行します。
これは減税であったり、政府支出の増加です。
すると、IS曲線が右シフトします。
結果、上記図のように国民所得Y1がY3に増加するわけですね。
ここまでは普通の話です。
ここから先がクラウディングアウトの話になります。

国民所得が増加し上記図のように取引需要が増加します。
「取引需要って何?」という方は
先にこちらの記事をご覧ください。
⇒貨幣需要の動機についてわかりやすく解説

次に取引需要(L1)が増えることで
貨幣需要曲線が右シフトします。
貨幣需要曲線についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒貨幣需要曲線ってどうやってできている?

貨幣需要曲線が右にシフトした結果、
上記図の赤丸のように利子率が上がります。
図を見ても「よくわからない」という方、
こちらで詳しく解説していますのでご覧ください。
⇒LM曲線導出のための3ステップについて分かりやすく解説

次に利子率が増えると投資曲線でみると投資量の減少につながります。
ここがよくわからない方はこちらの記事をご覧ください。
⇒IS-LM分析についてわかりやすく解説

それから投資量が減少すると総需要曲線が下にシフトします。
総需要曲線YD=C(消費)+I(投資量)+G(政府支出)
なので、投資量が減るとYDの値が小さくなり45度線分析の総需要曲線が下にシフトするんです。
その結果、国民所得が減少します。
この国民所得の減少分がY3からY2の減少につながっているんです。
この減少分のことをクラウディングアウトといいます。
ただ、クラウディングアウトって同じようなケースでも
起こらないことがあります。
詳しくは次回解説します。
⇒クラウディングアウト効果が起こらないケースについて解説